「ザ・カブキ」は、東京バレエ団の依頼でモーリス・ベジャールが「仮名手本忠臣蔵」を素材に振り付けた創作バレエ。演出も手がけたベジャールはベルギー２０世紀バレエ団の演出家。禅も体験した日本通で、彼が歌舞伎を見て感動して以来１０年間あたためてきたテーマだけに、作品に意欲がうかがえる。また、歌舞伎の衣装、形式、音楽といった要素と、どうマッチングさせて外国人にも理解できるようなバレエに仕上げたか、作品にその苦心のほどがよく出ている。音楽は黛敏郎が担当。東京文化会館で録画したもの。◆スタジオゲストは東京バレエ団芸術監督・溝下司朗、演劇評論家・藤田洋の両氏。案内役は後藤美代子アナウンサー。

　１１月２１日、２０９年ぶりといわれる伊豆大島の三原山の噴火は、噴火予知がかかえるさまざまな問題をうきぼりにした。今回の三原山大噴火の経緯をふりかえり、さらに那須岳や白根山の観測体制をレポートしながら、火山国日本の火山監視体制の現状を問題提起する。

広島市郊外で酒造会社を経営する一家の暮らしを追いながら、一家の主人が撮影した８ミリフィルムによる家族の戦後史をおりこみ、微妙におちる原爆の影の中、不安と希望の間でゆれながら生き抜く家族の絆を描く。◆代々続いた酒造業は彼で５代目。そして８ミリカメラで親、妻、子、孫と四世代のくらしを撮り続けて３万フィートになる。青春時代、結核に冒されて８年間病床にあった彼は、健康を回復してから酒造業の盛衰を体験しつつ老舗を支えてきた。妻は被爆者で、病魔と闘って２０年になる。

徳光和夫アナウンサーがキャスターを務める情報番組。この回の特集では、小笠原諸島の中心をなす父島とその周辺の島にスポットをあて、人々の生活や島の様子を紹介する。◆小笠原諸島は、東京から南南東約１０００キロの太平洋上に浮かぶ太陽と海と緑の楽園である。海底火山の隆起でできた島々は変化に富む景観をなし、亜熱帯性気候で１年中泳げる。また海の透明度は世界有数を誇っている。

動物園で生まれ、人間に育てられた未熟児チンパンジーの成長記録。◆多摩動物公園で生まれた雄のチンパンジー、ビリーは今１歳７カ月。超未熟児で、母乳に恵まれない状態だったことから人工保育で育てられた。この春には仲間の群れに復帰させる作戦が展開されたが、すっかり人間になついてしまったビリーは、群れに帰ることができなかった。ビリーは結局、別の動物園に行くことになる。誕生から別れの朝までのビリーと飼育係の愛と試練を描く。

ユージン・スミスが撮影した写真「ＴｏｍｏｋｏａｎｄＭｏｔｈｅｒ」について、アイリーン夫人と石牟礼道子さんが対話を重ねていく。◆スミス夫妻が地元・水俣の人々との間に築いた信頼とは何か。そして“被写体”の痛みを共有するためにどのような苦悩があったのか。被写体となった胎児性水俣病患者のひとりに「普通の人、とても話しやすい人」と言わしめた彼の人柄をしのび、ジャーナリストのあり方をさぐる。

手作りの味を忘れ去ろうとしている農家の人たちの食事情を、この地方で育った料理人の目で考えるリポート。その土地の産物は、その土地の料理方法で食べるのがもっともおいしいといわれている。しかし、その生産地である農村地帯ではすっかり食生活が変わってしまった。地元の産物の味を捨て、パック詰め食品が幅をきかせているのが当世の農村の食事情である。

もうすぐ５歳になる、東京・田中家の五つ子ちゃんの５年間の成長記録を軸に、両親の子育ての苦労、５人の個性の芽生え、夏休みの様子など、家族の絆をさまざまなエピソードを交えて描く。◆結婚９年目で五つ子を授かった父親・幹彦さんは記者会見で「ゼロよりも５を選びました」ととまどいながらも語った。しかし５人一度の子育ては想像以上の厳しさ。入浴に１時間半かかり、離乳時には祖父母から友人までを総動員して食事をさせた。何をするにも５倍の労力、そしてお金。しかし母親・奈那子さんは見事に家計を切り回して乗り越えてきた。朝（はじめ）くん、翼くん、光くん、緑ちゃん、都ちゃん、５人それぞれの個性も育って、家族団欒は圧巻でさえある。