豪華な副葬品で注目を集めた藤ノ木古墳。その石棺の中から３７０に及ぶ絹織物の断片が見つかった。いったいどんな織物だったのか。復元作業から当時の華麗なにしきの世界がよみがえった。古代錦染織の高度な技術を探り、被葬者の謎に迫る。

元禄時代、友禅染が他の染色文様を圧倒して大流行した。文様を着ることは女の命。◆王朝以来、友禅染の出現は庶民の女性が日本の歴史の中で初めて手にした女の華やぎだった。知恩院の門前に住んでいた扇面絵師宮崎友禅斎によって呉服屋に持ち込まれ、小袖の文様が爆発的に流行した。今でいうファッションデザイナーの始祖といえる。一説に、友禅斎は恋に破れ、加賀で京への思いを抱きながら８３歳で没したという。◆【重要文化財】洛中洛外図屏風〔東京国立博物館〕◆【その他】竹垣に梅模様文字入り単衣〔遠山記念館〕、源氏絵風景模様小袖〔京都丸紅〕

担任する生徒に嫌われている中学校教師。教室で起きた事件を通して、教師と生徒の葛藤を描く。◆哲朗（斉藤洋介）は中学の社会科教師。本人は熱血教師のつもりだが、担任する２年１組の生徒たちからは嫌われている。掃除の仕方が悪いといって当番の生徒を叱ったり、要領を教えようとして指示棒で叩いたりする。試験の答案用紙を返す時、点が悪い生徒には手渡さずに投げて拾わせるので、教室の空気は重苦しい。ある日、女子生徒がフルート紛失を訴えた。

北緯６６度３３分の緯線、またはそれ以北を「北極圏」と呼ぶ。アジア・アメリカ・ヨーロッパを最短距離で結べる交通ルートとして、また資源の宝庫として注目されるこの地域を取材、北極圏の姿を伝える。（１９８９年４月３０日～１９９０年３月２５日、全１２回）◆第２回は、モスクラから一番遠いシベリア最東端の１年間をリポートする。ソ連で最もアメリカに近いチュコト半島には、両国に引き裂かれたイヌイットたちが暮らしている。ベーリング海をはさんでわずか５０キロメートルの距離を、冷戦という強固な壁が隔ててきた。しかしソ連の開放政策により、２年前から交流が再開された。

戦国時代末期ともいえる１６００年代初め、関ヶ原の戦いのころ、武将たちは競って城を築いた。しかしやがて太平の世になり、武の象徴・天守閣は無用のものとなる。徳川２６０年を経て、創建時のままの天守閣は今わずか１２を残すのみ。古風な趣を残す松本城、装飾性に富んだ彦根城、白鷺城の別名を持つ壮大華麗な姫路城など。◆往時をしのびつつ、武威を誇示した巨大建築の内に武士の美学を顧みる。◆【国宝】姫路城の西小天守、乾小天守、東小天守、ロの渡櫓、松本城天守、彦根城天守◆【重要文化財】彦根城の佐和口多聞櫓、天秤櫓

ユネスコ主催のシルクロード調査隊を、中村敦夫が黒海沿岸のオデッサからカスピ海のバクーまで同行取材。約３０００年におよぶシルクロードの歴史と現在を、８０００キロにわたって再検証する。二夜連続。

作曲家・團伊玖磨さんが二条城を訪れ、書院づくりとよばれる二の丸御殿の内外を見て回る。◆京都のほぼ中央にある京都御所。それと広さを競いあう二条城の総面積は２８万平方メートル。天下を取った徳川家康が御所に匹敵する建物が必要だと考え、２年がかりで完成させた。その二の丸御殿は、６棟の書院が鍵型にガンの飛ぶ形に配置され、桃山時代の様式美を今に伝えている。◆「初めて夜の城に来た。大広間に座っていると木が生きているのを感じる。どこからともなく音がする。城全体が何百年たっても生きているということが音として伝わってくる」と、團さんは語る。

１９８９年８月１９日、日中の山男１１人が中国甘粛省の未踏峰阿爾金山（５７９８ｍ）の初登頂に成功した。未知の山を目指して日中の山男たちがくりひろげる人間ドラマを軸とした自然紀行、ヒューマンドキュメンタリー。◆日中合同登山隊のメンバーは秋田側２３人、中国側１６人で大半のメンバーが５０００ｍ級の山は未経験。ベースキャンプでの高度順応訓練、ルート工作、荷上げなど不安だらけの中で、登山隊は言語、習慣、民族の違いの壁を乗り越えて一歩一歩山頂へと迫る。