比叡山のふもと。うっそうとした木立と竹林に囲まれ、「竹の御殿」と呼ばれる曼殊院がある。幕府の朝廷に対する圧迫で皇位を去り、権力に文化で対抗した後水尾上皇。曼殊院は、上皇の義子であり協力者でもあった良尚法親王が１６５６年に造営した。◆すべて書院造りで建てられた雅やかな建物と、由緒ある美術品の数々。王朝文化の復興に心を寄せた宮廷サロンとして、幕朝間の時代背景を物語る。◆【国宝】古今和歌集（曼殊院本）〔曼殊院〕、不動明王像（黄不動）〔園城寺〕◆【重要文化財】曼殊院本堂、庫裏、玄関障壁画竹虎図（狩野永徳筆）〔曼殊院〕

最後の青函連絡船の乗客へのインタビューを通じ、青森・函館４時間の旅を同時進行で記録したドキュメンタリー。◆１９８８年３月１３日、本州と北海道を結ぶ青函連絡船が８０年の歴史を閉じた。廃止を控えた冬、乗り物マニアのフィーバーとは別に、人生の節目を連絡船とともに過ごした多くの人々が船に別れを告げに来た。思い出や暮らし、人生を語るそれぞれの顔。さまざまな出会いの中から連絡船に重ね合わせた人々の“心の軌跡”を描いた。

日本経済新聞紙上で１９５７年（昭和３２）３月に始まった「私の履歴書」のテレビ版。一時代を築いた人物が出演、自らについて語る。（１９８７年４月８日？１９８８年９月２８日、全７８回。出演者の肩書・年齢は放送当時のもの）◆第６８回はフランス文学者の佐藤朔さん（８２歳）。

本当の父は別にいた。肉親と信じて帰国した後、人違いと分かった中国残留孤児のとまどいと、間違えられた男のせつない思いを描く。◆紀代子は中国残留孤児。肉親捜しの結果、下谷で小さな惣菜店を営んでいる茂が父親と判明し、日本に帰国した。茂の姪の正代は一人暮らしの茂の土地を当てにしており、帰国した紀代子をうとましく思う。茂は紀代子との生活を喜んだが、自分にも亡き妻にも少しも似ていない彼女に一抹の不安を感じていた。ある日、弁護士が訪ねてきて紀代子は茂の子供ではなく、今は資産家になっている保子という人の子供・清子だと告げる。

「おばあちゃんたちの原宿」と呼ばれはじめた巣鴨とげぬき地蔵一帯に、関東一円から集まる１０万人ともいわれるおばあちゃんたちの心の風景を描く。◆ひときわ賑わう毎月４の日の縁日、地元の人は夜明け前に１番乗り。メインストリートの地蔵通りには昔懐かしい商品を売る店がならび、塩大福やだんごを手にしたおばあちゃんの会話が飛びかう。とげぬき地蔵こと高岩寺は明治２４年に上野からこの地に移り、昭和２０年には戦火で焼失したが戦後すぐに再建された寺。しかしこれほどの賑わいはここ１０年ほどのことという。

日本経済新聞紙上で１９５７年（昭和３２）３月に始まった「私の履歴書」のテレビ版。一時代を築いた人物が出演、自らについて語る。（１９８７年４月８日？１９８８年９月２８日、全７８回。出演者の肩書・年齢は放送当時のもの）◆第５７回は積水ハウス社長・田鍋健さん（７５歳）。

日本刀の柄元にある小さな金具「はばき」。刀身を支え、さや走りを止め、刀身を保護する重要な役目を持つ。一寸にも満たない刀身金具に実用性と装飾性があり、武将たちが意匠を凝らし存在の証とした柄に、白銀師たちも仕事の印として精魂を込めてきた。◆習熟した指先が自在に動く江戸職人・赤野栄一の気負いのない人柄と技の中に日本刀の奥深い美がひっそりと隠されている。

日本各地を漫遊しながらその土地の悪人たちをこらしめる、黄門さまこと水戸光圀一行の活躍を描く時代劇。原案：葉村彰子。（第１部開始は１９６９年８月４日。第１７部は１９８７年８月２４日～１９８８年２月２２日放送、全２６回）◆山陰の江津郷田は天領。公儀の目が届かないのをいいことに、代官の二見は近在の若い女たちに悪さをし放題。そのため女たちは町を離れ、山に隠れ住んだ。代官をいさめに行った庄屋の徳兵衛は、逆に牢につながれてしまった。黄門（西村晃）は弥七に命じて徳兵衛を救い出す一方、二見にワナをかける。