高齢化社会が急ピッチで進み、労働力の高齢化も一段と加速している。なかでも中高年齢者の雇用の安定、再就職の促進は大きな社会問題となっている。５７歳や６０歳という“若さ”で定年退職を迎える人たちをとり巻く環境はどんなものだろうか。また、退職者自身の意識はどう変わるのか。５７歳で定年を迎えた一人のサラリーマンを通して、その日常的断面を見る。

世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズ。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆アマゾンのシングー川流域では１６部族２千人のインディオが独自の伝統的生活を営んでいる。急激な文明化を避けて最北端に住むシュカラマエ族は、現代的な医療法より薬草やおまじないの力をいまだに信じている。ある日、病気の子どもが急死した。女たちはナタを取って自分の頭を叩き傷つける。死を悼む女たちの悲しみの表現である。

文学作品のゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人、その作品に影響を与えた人にふれることで、文学作品のもつ「もうひとつの世界」を探る、文学紀行番組の新シリーズ。第２集まで制作・放送された。（第１集／１９８１年１０月４日～１９８２年３月２８日放送、全２６回）◆第９回は夏目漱石の「三四郎」（１９０８年）を取り上げる。作品の舞台である東京大学および、本郷・森川町界隈での取材と、再現映像を交えながら、作品の世界観とその背景に迫る。当時の東京大学構内、本郷界隈の市電の様子などの話とともに、松永伍一が三四郎の視点を解説。学問と恋愛の間で迷子（ストレイシープ）になる三四郎を、ラジオＤＪの小林恵子が導いていく。

国際障害者年にちなみ、体にハンディをもつ人たちの自立と理解を、音楽を通して深めてもらおうと開かれた「加藤登紀子＆みなみらんぼうジョイントコンサート」の模様を放送。コンサートには、テレビを通して結ばれた岡山、高松の施設の人々も参加。加藤、みなみの歌声が広がる温かい雰囲気の中で、会場には健常者と障害者のふれあいの輪がひろがっていく。

広島の心を伝えるオペラ「はだしのゲン」が上演されるまでのキャスト、スタッフの苦闘を通して、新しい地方文化の担い手たちの人間像を描くドキュメンタリー。◆ミュンヘン留学中に「自分は広島の人間である」と自覚したという声楽家の小野村和弘さんは、帰国後原爆を描いた劇画「はだしのゲン」に出会う。中沢啓治作のこの作品は当時劇画として初めて原爆を描いたことで評判になっていた。この劇画を原作にオペラを上演しようと集まった小野村さんをはじめとするスタッフに、数々の難題がふりかかる。

国際政治の仕組みと全体像を解明しながら、複雑に絡みあう国際社会の中で、いま日本に何が求められているかを考える。全３回。２回目は、ソ連のアフガン介入以来、対決の度合いを増したと見える米ソ両超大国間を結ぶ多重多層のつながりを探る。ソ連のアフガン侵攻に使われたトラックは、アメリカの資本と技術で製造された。アメリカ製の精密工作機械が、ソ連の戦略ミサイルの精度を高めた。１９２１年レーニンと親交を結んで以来、米ソ貿易を手がけてきたオクシデンタル石油ハマー会長へのインタビューを交え、技術・資本・経済をめぐる、入り組んだ両国関係を検証し、日本への示唆としたドキュメント。

満３歳で初舞台を踏んで以来約５０年、半世紀を役者として演じ、「日本一うまい役者」といわれる藤山寛美の世界を追及したヒューマンドキュメント。松竹新喜劇の屋台骨を支え、「役者とは何か」「役者の一生とは何か」と自ら問い続ける“最後の役者”藤山寛美の人柄と役者根性を描く。

夫に先立たれたあと、姑に仕える一人の女性を主人公に、主婦の幸せ、本当の自由とは何かを問いかけるホーム・ドラマ。水木洋子の書き下ろし。（１９８１年１１月１０日～１９８２年４月２０日放送、全２４回）◆柔道場と接骨院を経営していた夫と死別して一年。いまなお福山家を切り盛りしているこま子（池内淳子）は大忙し。姑の千巻（北林谷栄）の喜寿の祝いで一族が集まるからだ。次々と顔を見せる義姉たち（新村礼子、野村昭子、稲野知子）の誰もこま子を助けようとしない。それどころか、せっかく作ったこま子の料理にケチをつける始末。そこへこま子の父・佐太郎（金子信雄）がやって来た。お手伝い代わりに働かされるこま子を引き取りたいという。が、残された母のことを思うと、こま子は即答できなかった。