かつて東海道一の難所といわれた大井川。駿河湾に流れの注ぐ河口近くの大井川町藤守。昔から度重なる洪水で泣いてきた藤守の人々は、川除けの神の前に『田遊び』の芸能を奉納し平穏無事を祈願した。その伝統は今も絶えることなく、毎年３月１７日大井八幡宮に春の祭りを捧げる。流域にある茶畑に新芽が萌え出づるころ、大井川の流れとともに民俗芸能を守り続けてきた人たちは田を耕す。◆【重要無形民俗文化財】藤守の田遊び〔静岡県〕

信州人物風土記は、明治～昭和期に各界で活躍した長野県ゆかりの人物を取り上げ、その功績と生涯を解説するシリーズ。◆今回は、小説家、社会主義啓蒙運動家として知られ、日露戦争の際は非戦運動を展開した木下尚江（１８６９－１９３７）を解説する。◆木下尚江は、信州松本の下級士族の長男として生まれた。１８８８（明治２１）年、東京専門学校法律科を卒業後、松本で新聞記者や弁護士として働いた。キリスト教に入信し、１８９７年、同志と日本最初の普選運動を始めたが投獄され、１８９９年、上京して毎日新聞に入社した。以後、足尾鉱毒問題・廃娼問題など当時の主要な社会問題に取り組み、鋭い天皇制批判を展開した。毎日新聞に連載した『火の柱』『良人の自白』は明治社会主義文学の代表作である。その後キリスト教社会主義を旗印に雑誌『新紀元』を刊行。母の死を契機にそれまでの活動から離脱し、宗教的生活を送った。

１４世紀に登場した草原の覇者チムールの生涯を追いながら、オアシス都市の今昔を描く。◆中央アジアのブハラ・ヒワ・サマルカンドは、「３つの真珠」と呼ばれる美しい都市。いずれも古く豊かな歴史と壮麗な建物が群れをなす。サマルカンドは遠くアレキサンダー大王の時代から歴史に名を表す。この草原の王都の基礎を築いたチムールは、ジンギスカンと並び称される草原の英雄。イスラム世界帝国建設の理想に燃えたが、遠征の途次病で急死する。◆シルドール・メドレッセ、チイリヤ・カリ・メドレッセ、グル・エミール、ビビ・ハヌイム、シャヒー・ジンダ廟、アク・サライの宮殿跡

中学３年生と高校３年生の二人の兄弟が、家庭教師との交流を通して変わっていく様子を追いながら、現代の受験戦争の無意味さを訴える。原作：本間洋平。（１９８４年４月２０日〜７月１３日放送、全１１回）◆殿村和人（松田洋治）は両親と兄との４人暮らし。大地主で豪華な家の中は、ものは豊かでも血の通った暮らしがない。そんな家庭に型破りな家庭教師・吉本剛（長渕剛）が雇われてくる。勉強はそっちのけ、兄弟のわがままは腕力で押さえこむ変わり者だが、妙にこの家とは相性がいいらしい。

町の半分が水没するダム計画が山間の町を揺さぶっている。苦悩する小さな町の４年間の姿を追い、地方自治の厳しい現実を問いかけるドキュメント。岡山県奥津町。人口３８００人の過疎の町は、１９５７年（昭３２）に建設省が示した苫田ダムの計画によって、町の南半分４７７戸が水没することになっている。計画を強行しようとする国や県に対して、町はダム阻止を“町是”に掲げて阻止条例をつくり、あくまで抵抗する。

砂漠に生きる小さな昆虫の一生を通じて、大自然のリサイクルを描く動物ドキュメント。「フンころがし」はコガネムシ科の昆虫で、アフリカ大陸だけでも２０００種ちかくが観察される。なかでも「スカラベ」とよばれる種類は、動物のフンを丸めて後足でころがし、地中にうめてそのフンを食べ、そのフンの中に卵を産む。卵は、そのフンを栄養分として育つ。

比叡山延暦寺の門前町風景や人々の暮らしを通し、信仰のふるさと、大津市を描く。◆琵琶湖を中心に幾多の歴史を刻んできた近江の里。特に平安時代には多くの寺が建立された。荘厳さあふれる天台宗総本山・比叡山延暦寺。同じ宗派で激しく争った園城寺（別名、三井寺）。夏に行われる鐘供養の行事。そして近江八景の一つ堅田の浮見堂。また門前町の大津は寺院仏教とは別に、地蔵尊を敬う庶民信仰も根強く残されている。◆【国宝】延暦寺根本中堂、園城寺金堂、浮見堂〔滋賀県〕

核燃料輸送をめぐる安全対策を取材・特集したニュースリポート。◆原子力発電所の燃料が加工工場から東京都心を通って各地の原発へ運ばれる。その回数は１年に２００回にのぼる。輸送のたびに大勢の警察官がものものしく警備する一方で、事前には一切明らかにされていない。核燃料は使用済燃料に比べて危険度は低いといわれているが、核燃料をのせたトラックが都心をまかり通る現実は無視できない。◆星野誠記者によるレポート部分（６分間）を公開。