パルテノンを創造したペリクレスとフェイディアスの２人の人間像と、人類史上初めて“人間”を理想においたギリシャ文明の栄光を探る。◆メソポタミア・エジプトなど当時の先進文明地域と全く違う風土に生まれたギリシャ文明。『エルギン・マーブル』に代表されるように、他の文明には見られない進歩の速さが特徴である。“人間こそこの世の主役”と市民平等の社会を志向。神殿の大理石に密かに人の姿を刻んだ。

首都圏から押し寄せる生ゴミおよび産業廃棄物に対する過疎地区の住民の怒りを描く。◆１９８９年（平成１）５月、千葉市の生ゴミが青森県田子（たっこ）町に運び込まれていたことが明らかになった。わずか１９日間で、田子町の１年分にあたる２２７０トンが処分されていた。都会のゴミが過疎地方を狙っている。折しも下北半島むつ市二又地区は大規模な産業廃棄物処分場の建設問題の渦中にあった。大量生産、大量消費、大量廃棄の社会システムの中で捨て置かれたゴミ問題の現状と課題を追う。

能の大成者・世阿弥の「風姿花伝」、世阿弥の作品、その功績を中心に話をすすめる。ゲストに能楽界の展望を聞く。◆前回までのおさらいを資料映像と実演で見る。世阿弥については『屋島』『箙』を中心に、能の二番目物である修羅物について説明する。また増田正造に能楽界の今後の見通しや能の現代性について語ってもらう。

北緯６６度３３分の緯線、またはそれ以北を「北極圏」と呼ぶ。アジア・アメリカ・ヨーロッパを最短距離で結べる交通ルートとして、また資源の宝庫として注目されるこの地域を取材、北極圏の姿を伝える。（１９８９年４月３０日開始、全１２回）◆最終回は東西歩み寄りの中でも最大の動きであるソ連のペレストロイカ（立て直し）の行方を探る。ゴルバチョフ最高会議議長が進めるペレストロイカの切り札は、１９８７年１月に施行された合弁企業法。西側企業との合弁会社を作り、資本や技術の導入によって国内産業の活性化を一挙に推進するのが狙いだった。果たして成功しているのか。その現状をリポート。

上方では澤村藤十郎が和事を創作して上方歌舞伎の特徴とした。『心中天網島』を例にとって、そのリアルな芸を見る。◆心中物は近松門左衛門の作品に数多く見られるが、この作品も紙問屋の主人治兵衛、その妻おさん、そして遊女小春の三角関係を描く。和事は、心の動きをどう表現するかということを一番大切にする。

現在の日米安全保障条約が締結されてから３０年、アメリカの政府関係文書が公開される年限を迎えた。ワシントンの国立公文書館から入手した２万５千点の資料を分析、最高機密だった交渉の全貌を探る。◆東西冷戦の中、アメリカはアジアでの戦略拠点を求めていた。その状況下での条約締結だったため、軍事同盟の性格が強いと批判された。１９６０年の改定時には国論は二分され、学生を中心とした反対デモが激化した。交渉の中心にあった当時の駐日大使ダグラス・マッカーサー２世の書いた条約草案などの新事実も発見された外交文書から、交渉の全容を明らかにする。

欧米では子供たちをどのように捉えているのか、テレビ番組に現れる子供へのメッセージを通して探る。２夜連続。◆第１夜はヨーロッパ編。子供の文化と権利を大人のものと同等に扱う伝統のあるヨーロッパでは、子供と正面から向きあう姿勢が現れている。暴力や人種差別、恋愛などをリアルにとりあげるイギリスＢＢＣ制作の学園ドラマ「グレンジヒル」は、対象世代の４０％が視聴している。ほかに独特のシステムで子供が自由にテレビに出る場を提供するオランダＶＰＲＯ制作の「テレビの中のお尻」などを紹介する。ゲストは慶応義塾大学教授の石黒ひでさん、ＮＨＫ放送文化調査研究所の小平さち子さん、司会は作家の片岡輝さん。

結婚願望は強いが、恋人もいないＯＬが理想にぴったりの“三高”（背が高く、高学歴、高収入）の男性と出会う。◆北村祥子（高橋ひとみ）は結婚をひたすら夢見る一流企業のＯＬ。恋人もいないまま２８歳になった。ある日、祥子はカフェバーで理想の男性・田村弘（美木良介）と出会う。祥子は弘を射止めようと必死になるが、なんと彼はかつて祥子の同僚で、いまは犬の訓練士を目指している池田みちる（小林聡美）に思いを寄せていた。