伊藤博文の青年時代、幕府の目をくぐっての英国留学を命ぜられた五人の長州藩の若者の一人として選ばれた伊藤は、時代を先見する考察力と、行動力で経費の調達をはかり、大きな成果を収めて帰国する。英国へ旅立つまでの逸話を、一鶴が駄洒落を交えて語る。

芳村五郎治さんと杵屋五三郎さんの演奏による長唄にのせて、日本舞踊界の重鎮、花柳壽楽さんが「石橋」を能に近い形で舞う。そして写真家の白川義員さんが能楽のもととなった伝説の清涼山（中国の五台山）を紹介する。◆「石橋」では文殊浄土にかかる石橋の神秘が木こりによって語られ、やがて獅子が現われ豪快な舞を披露する。◆壽楽さんは法師、木こり、獅子を一人で踊り分ける。前半の険しい山を登る描写そして後半の獅子の勇壮な舞いが見どころである。

世界にまれな日本の蒔絵にひかれ、その名品を多く収集するアメリカの女流画家イレイン・エーレンクランツ。蒔絵の持つ透明な美しさ、複雑な工程から生まれ出る独特の漆と黄金の輝きに無類の美を感じ、彼女自らの画風も蒔絵の影響を受ける。◆金を薄く伸ばした金ぱくに漆を重ね、小さな器に宇宙を描く蒔絵の世界。日常品を芸術の域に高めた江戸の蒔絵師・小川破笠などが登場、欧米人が蒔絵に寄せる芸術観を数々の名品群とともに紹介する。◆鏡箱（１７世紀）〔ニューアーク美術館〕、提重弁当（１８世紀）、香合（１６世紀）、手箱（１７世紀）、料紙箱（１８世紀）、硯箱（１８世紀）、提げ箪笥（１８世紀）

１９９１年６月１０日に逝去した歌手、ディック・ミネさんをしのび、昭和歌謡史の中で彼が残した足跡を資料映像でふりかえる。◆曲は「ダイナ」「月光値千金」「上海ブルース」「二人は若い」「旅姿三人男」「或る雨の午後」「人生の並木道」「愛の小窓」「夜霧のブルース」「リンゴの木の下で」「モダン・エイジ」。

長女と無理心中しようとした男の友人が、次女の婚約者として現れた。家族のなかに波紋が広がる。◆昭和１３年、東京の池上。里子は夫亡きあと３人の子供と静かに暮らしている。長女のいち乃は商工省に勤める誠一と結婚して家を出た。８年前、出版社で働いていたいち乃は作家・石川に突然無理心中を迫られた。結果いち乃は助かり石川は死んだ。このことは家族では里子しか知らない。ある日次女のまき恵が恋人の中原を連れてきた。彼は石川の友人だった。

韓国の国宝の世界を、陶磁器と石造文化財に分け２夜連続で紹介する。◆韓国が生み出した最高傑作「高麗秘色」と讃えられる高麗青磁は、その翡翠の青が幻の色とされ、最近まで復元できなかった。また、李朝白磁は日本がその技法を学んでいる。韓国陶磁器の美の世界を、ソウル中央博物館蔵の逸品の数々や青磁の復元などで紹介する。

「戦争の放棄」という日本国憲法第九条の歩んできた波乱の歴史を、新しい証言と資料を交えながら検証する。シリーズ憲法記念日特集。出演は東海大学の佐藤功教授。（全２回）◆後編。立法当初の姿から大きく変質したといわれる第９条の解釈が、時代とともにどのように変わっていったのかをたどる。自衛隊の前身、警察予備隊が設置されたのは、憲法施行のわずか３年後の１９５０年。その後、政府の第９条解釈は拡大の一途をたどりながら現在に至っている。

母親がいないだけに、ちょっと恋人同士のような父娘。娘が２０歳を迎えた日から、２５歳で嫁ぐ日までを描く。（１９９１年４月１９日〜６月２０日放送、全１０回）◆第１回「ひとり娘　夏実誕生」。１０年前に妻を亡くしてから、志村五郎（田村正和）は一人娘の夏実を掌中の玉のように育ててきた。友人が開いてくれた２０歳の誕生パーティーで、夏実（小泉今日子）は初めての失恋を経験する。