自らの人生のスタート点となり、思考の原点となった郷里と母校。各界の第一線で活躍する人々がその母校の教壇に立ち、後輩たちに自らの培ってきた“知識”を伝えようとするとき、そこにはどんな授業が展開されるのであろうか。その姿を追いながら、知ることの楽しさ、学ぶことのすばらしさを伝える。全３回。◆第２回は、瀬戸内の人口４千人ほどの広島県生口島で生まれ育った日本画家・平山郁夫さん。小学校時代に絵心にめざめた平山さんが描いた、当時の瀬戸内の島々の絵はいまも手元に残してあるという。こうした絵を使いながら、広島県豊田郡瀬戸田町立瀬戸田小学校の子どもたちに図画の授業を行う。

世界で最も権威ある賞といわれているノーベル賞。その受賞者がどのようにして決定されるのかは、これまで秘密のベールに包まれていた。３年越しの交渉の結果、ノーベル財団はＮＨＫ取材班に対して内部の撮影や関係者のインタビューを初めて許可した。１９８７年、ノーベル医学生理学賞には利根川進さんが選ばれた。番組ではその受賞をケーススタディに、１０年以上もかけて有能な学者の業績を見守ったり、世界中に調査員を送り込みその業績を徹底的に調べあげるという受賞者決定のメカニズムを明らかにするとともに、１９０１年の第１回受賞者発表以来、ノーベル賞が果たした役割を紹介する。

東京から北海道の原野に移り住んだ父・息子・娘の家族生活を中心に描くドラマ。１９８１年（昭５６）１０月から半年間、連続ドラマとして放送された彼らの“その後”。今回は、思春期をむかえた息子・純の初恋物語。◆黒板吾郎（田中邦衛）一家が北海道・富良野に来て６年の歳月が流れた。長男の純（吉岡秀隆）も中学３年生になり、高校受験や将来のことについて悩みはじめた。そんな純がひそかに思いを寄せる少女・れい（横山めぐみ）が、自分は東京で働きながら定時制高校に通うつもりだと純に打ち明ける。ある日、れいの母親がトラクターの下敷きになり死亡する事故が起きた。れいの胸中を思う純。だが、クリスマスの前夜、れいの一家は夜逃げしてしまう。

大みそか恒例の特別番組、１９８７年（昭和６２）第３８回ＮＨＫ紅白歌合戦。多様化する音楽状況に対応して出場歌手の幅を広げ、クラシックからシャンソン、ロック、ニューミュージック、歌謡曲までと内容を一新した。司会は加山雄三、和田アキ子、総合司会は吉川精一アナウンサー。

瀬戸内海に浮かぶ大之島にある大山祗神社。全国の国宝級武具類の８割がこの神社に納められているという。そこに並ぶ名品の甲胄のほとんどが、牧田三郎の手によって修復されている。◆１９３１年（昭和６）から甲胄修理の道をただ一筋に歩みつづけ、正倉院御物の修理も手がけた。武士の生命観と美意識の象徴である甲胄の心をとらえ、有職故事を丹念に調べ、たしかな技術で現代に再現させる隠れた名人芸を見る。

本場結城紬は、古くは天平の昔から、結城を中心とした地帯で農家の副業として織られてきた絹織物。真綿から指先で紡ぎ出す糸つむぎから織りまで４０以上ある工程を家族ぐるみですべてが手作業。◆きらびやかさを押さえた手触りと使うほど深まる味わいとぬくもり。「糸紬」「絣くびり」「織り」の３工程が技術指定されている。茨城と栃木にまたがる１４００戸の機屋、２千人以上の織り子など２万人の手により伝統の誇りを守る。

１９８７年４月１日の分割民営化を前に、国鉄では公共企業から民間会社への転身が着々と進んでいる。組織と人事が固まり、経営の青写真が練り上げられつつある新会社のうち最大の東日本と最小の四国に、官から民への転換の意味を検証する。◆首都圏を抱えて最大規模となる東日本では、営業体制の強化、旅行業への参入ばかりでなく、駅ビルを中心とした不動産業への進出など、民営化で可能になる様々な事業展開に向けて準備が進められている。いっぽう、最小最悪とも言われ最も経営基盤の脆弱な四国では、特急のダイヤ改正、中古レールや中古座席のかき集めなど苦心の準備作業が進められている。

１９８７年３月３１日、長い歴史の幕を閉じる日本国有鉄道。日本人の生活を支えてきた“国鉄”の終焉、そして民営化の第一歩をレポートする。◆国鉄からＪＲとなる瞬間を各地からの中継で伝え、続いて報道特別番組として国鉄最後の日の模様、国鉄１１５年の歩み、ＪＲへの期待や職員の抱負などを紹介していく。