４０年間夢見てきた日本に帰るか、それとも養父母のもとにとどまるのか。肉親とめぐりあえた中国残留日本人孤児は、新たに困難な選択に直面する。孤児・実母・養父母の３者の心の揺れ動く姿を追い、その苦悩のうちに戦争の影の重さを浮き上がらせる。

昭和の御神火と恐れられた伊豆大島・三原山の１９８６年１１月２１日の大噴火は、溶岩流が外輪山を越えて町に接近し、全島民避難の事態となった。火山活動の推移とともに、島外避難の決定から、噴火の休止による一時帰島に至るまでの関係者と島民の動きを追う。◆番組では、２１日から蓄積された１００時間を超える三原山の火山活動の映像を再構成するとともに、東京都や大島村役場など行政側の「一時帰島決定」に至る過程を追い、島民の生活と安全対策という火山の島のジレンマを描いた。２週間ぶりに帰島した人々の島への愛情を追った放送当日の映像とインタビューが、火山国日本に共通する問題を提示した。

東京に唯一残された緑のオアシス・皇居。中でも特に野生味あふれる道潅濠の晩夏から春にかけての四季のうつろいや動植物の姿を、昭和天皇の愛された散歩道“道潅新道”にカメラを置いて追っていく。◆千代田区千代田１丁目１番地、東京のほぼ中心。総敷地面積１１５万平方メートル余りの広大なスペースのなかは草木が生い茂り、いまなお武蔵野の面影を残している。晩夏にはイヌタデ、ノハラアザミ、秋はヒガンバナ、ガマズミの実、冬にはツワブキ、梅、寒椿などがそれぞれ彩りを添え、野鳥が餌や住みかを求めて訪れる。◆登場者：平栗徳雄、田中直、国方島夫

１９２８年（昭３）６月４日、中国政府の大元帥・張作霖の乗った列車が日本軍によって爆破され、張作霖は死亡した。その現場を撮影したそれらの写真を手がかりに、“満州某重大事件”を検証する現代史ドキュメント。◆山形県に住む元陸軍特務機関員の男性が、事件現場などを撮影した貴重な写真を密かに保管していた。現場の下見から張作霖の葬儀まで、事件のてん末を示す６１枚の記録写真である。１９３９年（昭１４）中国の太原で勤務していた時に上司から預かり、そのままになっていたという。

中国残留孤児の帰国が進められている中、この問題を振り返り、現在とこれからの問題を総合的に考えるシリーズ。（１９８６年９月１６日終了、全２回）◆第１回は、孤児と肉親との再会について、具体列を紹介する。

明治維新に出発した近代日本は、アジアの大国になりながら、昭和で敗戦の破局に至った。作家・司馬遼太郎氏がその昭和へ至る歴史を、明治・幕末まで遡って語るシリーズ。（全１２回）◆江戸期、日本のリアリズムは、独特の発達をとげる。また、儒学はアジアには珍しい清廉な官吏の伝統をつくっていく。しかし、儒教倫理の束縛の強い中国、朝鮮は停滞を続けた。アジアとは一体何か。第２回では、福沢諭吉の“脱亜論”の新しい読み取りを通し、私益と公益が複雑にからんだアジアの実像に迫る。

国際社会の中で、今やモノ、カネの輸出から文化の輸出まで注目を浴びる日本。世界各地の若い世代、若い指導者たちとの出会いやインタビュー、討論、ルポルタージュを素材に、いま世界の最先端の新ニッポン論を展開、世界の中の日本の存在感を明らかにすることにより、新しい日本の役割を考える。◆第１部は宮崎緑のオクラホマ・レポート、第２部は「アジア報告」と題してシンガポール国務相と韓国双龍財閥会長の衛星中継対談。第３部「ヨーロッパの新日本ブーム」は磯村尚徳のレポート、第４部は「キッシンジャー博士世界と日本を語る」としておくる。

日本が高度経済成長期に入った昭和３４年（１９５９年）ごろの東京下町の台所と夕食の再現に挑戦する。当時の東京の人たちは一体どのようなものを食べていたのだろうか？◆昭和３４年といえば皇太子御成婚の年である。そのころの東京の人たちの生活を、当時の食卓を再現することから探ってみる。しかし、台所用品をそろえるところから難しい問題が待ち構えていた。ご飯を炊くのに使われていた鉄の釜や、当時は一般的だった足付きのまな板などは既に幻の商品となっていたのだ。それらの幻の台所用品を求めて広島、埼玉から長野まで足を伸ばすがはたして見つけることができるのか？　その他、古道具を並べている骨董館への訪問、駅構内食堂の当時の人気メニューの再現などを行う。