表具で名品といわれるものには、必ずよい裂がついている。書画に応じて合わせる裂は、織り・色柄・風合いによって選び分けられ、金襴は古代裂の代表格である。◆広瀬敏雄は長年古代裂の復元に務め、修理された重要文化財の表装には広瀬の織り出す古代裂が使用されている。紋図の製作、金ぱくから金糸を作る工程など、複雑な織りの技に、表に出ない脇役に徹する工人の美への執念を描く。

約２００年前にその存在が明らかになって以来人々の心を惹きつけてきた南極大陸。南極越冬基地へ向かう砕氷船に同乗取材、基地の様子や周囲の野生動物の生態を紹介する。（１９８８年３月４日開始、全２回）◆南極大陸の南極半島は世界各国の観測基地が数多く置かれている。１９５２年、アルゼンチンはここに初めて基地を築き「エスペランサ」（希望）と名付けた。１９７８年からは家族を連れての越冬を認め、取材時は２０人の越冬隊員のほか子供を含め４家族１７人が暮らしていた。周りは野生動物の楽園で、２００万羽のアデリーペンギンをはじめ４種のペンギンが棲息している。

熊本県内各地で歌い継がれる「ふるさとのうた」を紹介するシリーズ（１９８８年４月３日～１９８９年３月１９日放送、全５０回）。『肥後シリーズ』は１９８６年日本民間放送連盟賞（放送活動部門）受賞。◆昔から米どころとして知られる阿蘇地方には、豊作を願う「田唄」が歌い継がれている。田植えのあとにおこなわれる二つの御田植祭を紹介しながら、「田唄」が阿蘇の生活に根ざしていることを考える。

一つの曲を背景に、戦争のはざまで運命を揺り動かされた音楽家・リヒャルト・シュトラウスとその周辺の人々の思いを描く。◆１９４０年（昭和１５）、ドイツの大作曲家Ｒ・シュトラウスは日本政府に依頼され「建国二千六百年祝典曲」を作曲した。彼は息子の妻・アリスを自らの娘のように慈しんでいたが、ユダヤの血をひくアリスはナチスに目をつけられていた。アリスへの迫害をやめることを条件に、シュトラウスはこの依頼を受けたのだった。

科学アカデミアで地球の未来を担う先端科学を学んでいた若者のうちの３人が人類を裏切り、武装頭脳軍ボルトのもとに行ってしまった。２年後、地球に残った勇介、丈、めぐみは「超獣戦隊ライブマン」として、かつての友に命の尊さを説くために立ち上がる。スーパー戦隊シリーズ第１２作。（１９８８年２月２７日～１９８９年２月１８日放送、全４９回）◆第１回。世界中の天才たちが集められた「科学アカデミア」の３人は、武装頭脳軍ボルトの首領・大教授ビアスの配下となる道を選んだ。一方、彼らの学友だった天宮勇介（嶋大輔）、大原丈（西村和彦）、岬めぐみ（森恵）は、超獣戦隊ライブマンとなって、ボルトに戦いを挑んでいく。

結婚・出産後、子連れタレントとして仕事に復帰したアグネス・チャンの子育てを様々な角度から取材、彼女の方針とその実践を追うドキュメンタリー。◆テレビ・ラジオのレギュラーが週７本、雑誌に５本の連載、ほかに対談や講演、大学講師までつとめるマルチタレントのアグネス。仕事先にはいつも息子の和平くんも連れていく。復帰当時この“子連れ出勤”は世間に一大論争をまきおこしたが、当のアグネスは故郷香港の習慣に従っただけだったという。親子の香港への里帰りを含めた密着取材を通して、働く女性と育児についても考えていく。

作家の永井路子さんが京都・大徳寺を訪ね、日本の書道史に独特の地位を占める禅の書の神髄に触れる。◆大徳寺の真珠庵に伝わる大燈国師の書「看経榜」は、およそ６５０年前に書かれたもの。全文８２行・３１７字、横の長さは８メートルを超える。看経榜とは「看読真詮榜」の略で、看読とはお経を黙読すること、真詮とは真理を表わす言葉、榜とは木の札を意味し、法要の趣旨や読むべきお経の名前などが記され、法要の時に掲示されたものと思われる。◆「書には芸術の書と志の書があるというが、大燈国師のそれは志の書だ」と語る永井さん。「その墨跡から国師の志を見る思いがする」と感想をもらす。

問題山積で改革の必要が叫ばれて久しい日本の教育。一方、欧米各国も２１世紀を展望した教育改革の波に洗われている。教育に焦点をあてて日本の姿を浮かびあがらせるシリーズ。（１９８８年１１月３日〜１１月１３日放送、全３回）◆知識偏重のつめこみ教育といわれる日本の教育システム。一方、イギリスやアメリカでは日本の知識重視の教育を見習おうとしているという。各国の現状を取材し、義務教育レベルに絞って国際的な視野から教育改革の問題点をレポートする。