島根県の山間部で、住職のいない寺や荒れた寺が急増している。寺をなんとか存続させようと奔走する住職たちを通して、過疎地の現状を描く。◆島根県石見地方の山間部にある２３９の寺を調べたところ、７７の寺には住職がおらず、うち２９は本堂や庫裏が倒壊した荒れ寺であった。夏の終わりにこの地方に西本願寺の視察団が入った。３０年前に住職が去り、本堂が倒壊した寺。住職が亡くなり、後継ぎのいなくなった寺。吸収合併の話が進む寺。一極集中の進む日本列島の片隅で何が起こっているのか。

“食”をテーマに、素材、調理、また一般家庭の食卓から有名人の食卓、プロのテクニックなど、様々な角度から「食の世界」をクイズ形式で紹介する。司会は古舘伊知郎。◆第１回の問題は、金箔料理について、松坂牛の育成についてなど。料理のルーツ、料理法、実験、未来食、まちがい探しほか、４問を出題する。

四国の四万十川を舞台に、ひ弱な少年がひと夏で成長していく姿を詩情豊かに描く。◆四万十川のほとりの山あいの村。病気をして以来無気力な父（小林稔侍）に代わって母（泉ピン子）がきりもりしているよろず屋の次男・あつよし（伊崎充則）は体も弱いが気も弱い。転校してきた貧しい家の娘千代子（吉村淳）がいじめられても、あつよしはかわいそうに思いつつも止めることができず見ているだけだった。しかし姿を隠した猫をさがすのを手伝ってくれた千代子に、あつよしは淡い思いをよせるようになり、いじめられる千代子をかばう勇気をもてるようになる。

進行性筋ジストロフィーに侵されながらも、自由でハッピーな世界を知りたいと車椅子でアメリカへ渡った福嶋あき江さんの手記をドラマ化。◆あき江（沢口靖子）は六歳で発病、十四歳で歩けなくなり、車椅子の青春。闘病はつらく耐えがたいが、恋に、自由にあこがれている。ボランティアの協力を得て、渡米したあき江は、アメリカの障害者福祉の実情を知り、３か月の自立生活をする。この体験でひとりで生きる自信を得たあき江は、帰国後、周囲の助けで自立する。◆解説副音声あり

離婚した妻から４人の子どもを押し付けられたプレイボーイが、子育てに悪戦苦闘する。（１９８８年４月８日〜７月１日放送、全１３回）◆第１話「パパなんて大ッきらい！」。新進作曲家の巽耕作（田村正和）は、いきなり４人の子どもを育てなければならなくなり、大変な毎日だ。長男・克麻は小学４年のわんぱく盛りで、耕作の手を煩わせる。長女・涼は耕作になつかず、次女・静華は泣き虫、三女の美加はハチャメチャな幼稚園児。耕作は大苦戦の連続だった。

明治の初め、イギリス人医師と結婚した薩摩藩士の娘がたどる波乱の生涯を描く。◆１８７１年（明治４）、薩摩藩士江夏家の３女・八重子が英人医師のウィリスと結婚した。父の十郎は二人の結婚に理解を示したが母の多加は猛反対、婚礼の席には江夏家からの出席者はひとりもなかった。ウィリスは鹿児島医学校で教鞭を取るかたわら患者の治療に当たっていたが、排他的な土地柄で士族たちは二人を迫害した。

熊本県内各地で歌い継がれる「ふるさとのうた」を紹介するシリーズ（１９８８年４月３日～１９８９年３月１９日放送、全５０回）。『肥後シリーズ』は１９８６年日本民間放送連盟賞（放送活動部門）受賞。◆福岡県との県境にある鹿本郡鹿北町。茶どころの鹿北町は、八十八夜を境にして目の回るような忙しさになる。茶畑に流れるのは「鹿北茶山唄」。のぼり（もどり）唄とつみ唄・もみ唄・仕上げ唄といった構成になっている組曲風民謡である。

西はローマから、紅海、アラビア海、インド洋を経て、東南アジア、中国へと到る“海のシルクロード”。インドの胡椒、東南アジアの香料、中国の絹や陶磁などの産物や、宗教・文化の伝播に大きな役割を果たした航路をたどる。（１９８８年４月２４日〜１９８９年３月２６日放送、全１２回）◆第９回は、東西交易の中継地であったベトナムを訪れ、今なお残る遺跡と統一後の人々の暮らしぶりを紹介する。海道の王国ベトナムの産物は、珍味・つばめの巣と香木。孤島の洞窟でのつばめの巣獲りを紹介、黄金よりも高価とされている香木の最高級品・伽羅木を求めて、かつての激戦地・中部山岳地帯に分け入る。