ＮＨＫが全国２千人に行ったアンケートと、「思い出のメロディー」観客７千人の調査をもとに、日本人の心に残る「昭和の歌ベスト２００曲」を選出。カウントダウン方式で全曲を紹介する。（１９８９年９月１５日〜１０月１０日放送、全３回）◆最終回はいよいよベスト６０位からベスト１。「星影のワルツ」「北の宿から」「高校三年生」「恋人よ」「人生の並木道」「悲しい酒」「影を慕いて」などを、ＮＨＫの録画資料の中からオリジナル歌手の熱唱を精選して紹介していく。

名古屋生まれで８３歳、旺盛な創作活動を続ける杉本健吉画伯が、また新たな大作に挑む姿を追う。◆世界デザイン博覧会のパビリオンに展示される「水と音楽」をテーマとした高さ３．５メートル、横６メートルの大陶壁画を制作する画伯、その構想から完成までのドキュメント。壁画の中心は３体の迦陵頻伽（かりょうびんが）像で、これは極楽に住む鳥で美女の頭をもち美しい声で鳴くという。このまわりにモザイクで樹木を浮かび上がらせ、さらに陶製の鳥を数羽配する。

瀬戸大橋の建設で、瀬戸内海をとりまく地域の状況は激しく動き始めた。検証・瀬戸大橋時代をメインテーマに、瀬戸内エリアの観光・経済などの新しい動きをタイムリーに伝える。（１９８８年５月７日～１９８９年９月３０日、全６９回）

一枚の絵を差し示しながら物語る、それを「絵解き」といった。絵解きは仏教普及の有効な手段だった。当麻寺にある４メートル四方の曼荼羅は、女人の受難と救済をテーマとした壮大な仏教説話である。当麻曼荼羅は縮小して複製され、末寺に広まった。極楽浄土を願う庶民は絵解きを聞き、現実離れの世界に酔った。◆テレビのある現代社会になお残る絵解きの寺を訪ね、映像文化のルーツを探る。◆【国宝】当麻寺本堂（曼荼羅堂）、綴織当麻曼荼羅図〔当麻寺〕、玉虫厨子〔法隆寺〕◆【その他】当麻曼荼羅絵解き〔徳融寺〕、太子伝絵解き〔瑞泉寺〕

作家・動物学者であるムツゴロウ（畑正憲）が自ら建国した動物王国を中心に、自然と動物と人間のふれあいを描くファミリードキュメント番組。◆子猫のマイケルは、柴犬ピコに育てられたため、自分は犬だと思っている。ほかに、新しく動物王国に仲間入りしたメキシカンヘアレスドッグのアダムとイブ、ニュージーランドの牧羊犬やアホウドリなどを紹介する。

江戸時代に作られた、からくり人形。まるで生きているように多様な動きをする人形は、当時最高の精密機械だった。江戸中ころ『機巧図彙』まで出版され、人形師は先端技術者だった。◆歴史上、多くの科学者は時の権力から迫害された。奇才・大野弁吉（１８０１〜１８７０）も金沢へ身を置き、銭屋五兵衛のひ護を受けた。からくり儀右衛門と弁吉、高山祭の屋台など、江戸に花咲いた技巧から現在の最先端技術への系譜をたどる。◆【重要有形民俗文化財】高山祭屋台〔高山屋台保存会〕◆【その他】ねずみからくり人形、三番叟人形（大野弁吉作）、春駒人形、鼓笛児童〔個人〕

一人のコンピューター研究者に焦点をあて、彼の子供とコンピューターがことばを獲得していく過程を長期取材する中で、人間のすばらしさ、機械を人間に近づけることの難しさを描くとともに、完成を目指す夢のコンピューターの可能性を探る。◆新世代コンピューター技術開発機構ではコンピューターに人間の日常話すことばを理解させようという試みを始めた。中心になっている田中裕一さんは、長男の大悟くんが生まれた時に家庭用コンピューターを購入、「第五」と命名。大悟くんが言葉を覚えてゆく過程を記録しながら新しいアイディアを生み出そうとする。

現在使っている「職人」という言葉が生まれたのは、室町時代末期の１６世期末からである。都市で手工業者の需要が高まり、貨幣の流通とともに代金仕事という生産様式が成立したころ、『東北院職人歌合』に職人の姿が表われる。以後、様々な職人尽絵が描かれ、京都や江戸の百様百態の職人や庶民の姿が、それぞれの時代背景とともに生き生きと歴史の中に登場する。機械の発達により急速に姿を消しつつある、職人に思いをはせる。◆【重要文化財】洛中洛外図屏風〔上杉家管理事務所〕◆【その他】職人尽絵〔喜多院〕、江戸図屏風〔東京都立中央図書館〕