作家が自作とその背景を語るシリーズ。（１９８９年７月２４日～７月２６日放送、全３回）◆第２回は中沢けい「水平線上にて」を取り上げる。この作品は、戦争体験と従来の女の倫理感をふりかざす母親に反発し、「全共闘」にコンプレックスを感じている女性主人公の日常と心象風景を描いたもの。中沢の原風景となっている千葉県館山や幼年期を過ごした横浜などを訪ねながら、彼女の戦争観・戦後観を聞く。

日本人の鯨肉への愛着と捕鯨に対する国際世論を背景に、かつて捕鯨に携わっていた男と東京の下町でクジラ料理店を営むおかみとの恋を描く。◆小野田潮（津川）はかつては南氷洋捕鯨のスター砲手だった。しかし捕鯨が禁止になって以来失業状態で毎日をウツウツと過している。潮はクジラ料理屋「金華山」へときどき手伝いに行く。この店のおかみ・波（加賀）と潮は故郷が同じ宮城県の鮎川で、潮は波に好意を抱いていた。

瀬戸大橋の建設で、瀬戸内海をとりまく地域の状況は激しく動き始めた。検証・瀬戸大橋時代をメインテーマに、瀬戸内エリアの観光・経済などの新しい動きをタイムリーに伝える。（１９８８年５月７日～１９８９年９月３０日、全６９回）◆市制１００周年記念事業として誘致された「倉敷チボリ公園」の計画を紹介する。

人・モノ・カネが国境を越えて動く現代、世界の市場は急速に無国籍化しグローバル化している。２１世紀の企業の生き残りを決めるのはいかに迅速に変化に対応し変革していけるかである。このシリーズでは企業のグローバル化戦略をテーマに、企業戦略家やトップ経営者の話を聞く。（全４回）◆第３回は、ハーバード・ビジネススクール教授マイケル・ポーター氏を迎える。他の企業との差別化戦略決定のポイントを示した著書「競争の戦略」は世界の企業経営者のバイブルとして信頼を得ている。氏は日本の企業に新たな変革への挑戦を望み、提携やＭ＆Ａ戦略（買収・合併）に対する疑問を指摘する。出演はほかに一橋大学教授・竹内弘高氏。◆副音声は英語

没後５０年を迎えた作家・泉鏡花の幻想世界を豊かな水のイメージを通して描き、大地を崇拝し一木一草に神を見ていた日本人の失われた原風景への挽歌とする。◆鏡花の地元・金沢をはじめ、各地で“鏡花ルネッサンス”とでもいうべき動きが高まりつつある。竜神を封じた池の物語「夜叉ヶ池」、飛騨深山幽谷での怪異な行脚を語る「高野聖」など、鏡花が描いた世界はついこの前まで日本人の多くが持っていた妖怪や天変地異への恐れと根源的に結びついている。

日本の仏像彫刻に大きな変化をもたらした、平安初期貞観期の優れた仏像が集う室生寺。都から遠い深山を切り開いた蓮の花の底のような地形に、千年を超えるさまざまな時代の堂塔が静かに立ち並ぶ。◆日本最小の五重塔をはじめ、清らかで気品のある諸堂が山中を彩る。その中に納められた木彫の仏像類は、貞観期の傑作ぞろい。「女人高野」としても異彩を放ち、里は竜神信仰伝承の地、日本の桃源郷でもある。【国宝】室生寺本堂、金堂、五重塔、十一面観音立像、釈迦如来立像、釈迦如来坐像〔室生寺〕◆【重要文化財】如意輪観音坐像、十二神将立像〔室生寺〕

２４年間連れ添った夫に愛人がいることを知った妻が、二人を別れさせるために愛人の結婚を画策する。◆広告代理店の社長である夫・徹吉が、受付嬢の光子を愛人にしている。妻・元子はそれに気づいても気づかぬふりをしつつ、別れざるを得ない状況に追いこもうと、光子と社員の萩原とを見合いさせた。光子が萩原にひかれはじめたのを見計らって萩原をライバル代理店に引き抜かせ、戦力を失ったと徹吉が怒ると「これで愛人の結婚式に出ないですむんですよ」と告げる。

減反政策が２０年目を迎える今年、農家にとっては米価の引き下げ、諸外国からの市場開放の声が追いうちをかける。国の場あたり農政に振り回された農民の姿を浮き彫りにする。◆１９８７年（昭和６２）、秋田県大潟村の４軒の農家は食管を無視し、米の直販会社を作り、減反にも協力せず自由に米を販売することにした。そのため食管を守ろうとする農家や秋田県農協青年部の委員長らと激しく対立した。