１９８９年８月１９日、日中の山男１１人が中国甘粛省の未踏峰阿爾金山（５７９８ｍ）の初登頂に成功した。未知の山を目指して日中の山男たちがくりひろげる人間ドラマを軸とした自然紀行、ヒューマンドキュメンタリー。◆日中合同登山隊のメンバーは秋田側２３人、中国側１６人で大半のメンバーが５０００ｍ級の山は未経験。ベースキャンプでの高度順応訓練、ルート工作、荷上げなど不安だらけの中で、登山隊は言語、習慣、民族の違いの壁を乗り越えて一歩一歩山頂へと迫る。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆岩村英郎：川崎製鉄相談役。

１・２審での死刑判決後、一貫して無実を訴え続け、１７年目にして最高裁で破棄差し戻しの判決を勝ち取った山中事件での霜上則夫さんの裁判を通して、捜査・裁判のありかた、誤審はなぜ生じるのかを考える。◆１９７２年に石川県の林道で白骨死体が発見された事件で、地元のＡ青年が逮捕された。Ａ青年の自白で、当時２６歳の霜上さんが主犯とされた。物証はなく、Ａ青年の自白も当初から二転三転しており矛盾も多い。番組では、被害者の傷と凶器とされた物との不整合などの矛盾を突く。（１９９０年７月、名古屋高裁は１審判決を破棄して無罪とし、検察側は上告を断念して無罪が確定した。）

世界中の小さな町を気の合うタレントが二人で訪ね、３泊４日の旅をしながら見どころや珍しい食べ物などさまざまな魅力を紹介する旅番組。（１９８９年４月１０日〜１９９１年９月１６日放送）◆第１回はドラマで共演して以来の呑み友達という梅沢富美男と萬田久子が、スペイン・カタロニア地方の村々を訪ねる。カタロニアの中心地バルセロナでは工事中のサグラダ・ファミリアを見物、そこからオロットの村へ。それを超えればフランスというピレネー山脈の山裾で、羊飼いの老人と歌を贈り合う。さらに車で２０分、人口２千人のちいさな村ベサルウで、仔羊の肩肉のグリルや鴨と洋梨の煮込みなどの料理に舌鼓をうつ。

兵庫県小野市にある極楽山浄土寺は、鎌倉初期に浄土宗の高僧重源が建立。８００年の時を経た今日も当時のままの姿を残す、貴重な国宝の１つである。宋風建築様式の浄土堂と同時進行で作られた阿弥陀三尊像は、若き日の快慶作といわれる。◆山辺に沈む夕日が堂内の床板に反射し、堂内の三尊像が黄金色に浮かび上がる。まるで極楽浄土がそこにあるように弥陀の本願が地上に具現され、衆生救済の道を開く。◆【国宝】浄土寺浄土堂（阿弥陀堂）、阿弥陀如来及両脇侍立像〔浄土寺〕、山越阿弥陀図〔禅林寺〕◆【重要文化財】當麻曼荼羅図〔當麻寺〕

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆吉野俊彦：山一證券経済研究所特別顧問。１９１５年千葉生まれ。日本銀行調査局局長、理事を経て１９７２年山一證券経済研究所所長に。のち会長。

日本人は桜の花に特別な感情を持っている。桜は春を告げる花。華やかに咲き乱れ、春の嵐で散っていく。花の命を限りある人の一生になぞらえて、咲き匂う花に「もののあわれ」を感ずる。◆「都おどり」に見る京の春。美術工芸に残された桜の意匠。里にそびえる淡墨桜の古木と能との不思議な縁。華やぎの対極にある、ほの暗い美の世界。心の中に咲く日本の花、桜のすべて。◆【国宝】金峯山寺本堂、寝覚物語絵巻〔大和文華館〕◆【重要無形民俗文化財】能郷の能・狂言〔岐阜県〕

８７歳にしてなお新しい芸術世界を目指す画家・猪熊弦一郎の作品創造過程を追い、彼の人間像に迫る。