坂の街・長崎の、坂の途中にある小さな八百屋を舞台に、この街の人間関係を描く。◆長崎は坂の多い街である。斜面にびっしりとはりついた家々、住居は狭く車は通れず、年寄りが目につく。ある長い長い階段の途中には小さな八百屋がある。坂を上り下りする人はこの八百屋で一息入れたり、座り込んで世間話に興じたり、いわば溜り場になっている。日常の何でもない会話や人々の営みから、けなげでしたたかでやさしい、そんな生き方や人とのかかわりが伝わる。

『高松塚古墳壁画』や『吉祥天女像』に見られる古代上流階級の化粧。古く、化粧の持った意味に始まり、絵巻物に残る王朝時代の美への執念。下って江戸文化の華を咲かせた華麗な町人社会の化粧の様々。白と黒と赤を基調とした日本人の化粧の独自性。◆「おはぐろ」の風習や結髪術の高度な発達の中に、女性美へのあくなき追求の姿を見る。浮世絵に触発されていく江戸庶民の流行と風俗の変遷を軸に、化粧美の系譜を手繰る。◆【国宝】高松塚古墳壁画〔奈良県〕、吉祥天像〔薬師寺〕、源氏物語絵巻〔徳川美術館〕、紫式部日記絵詞〔五島美術館〕、平治物語絵詞〔東京国立博物館〕

神奈川の今昔を多角的に紹介するシリーズ。テーマは歴史、文化、民俗、自然など多岐にわたり、県内全域を取材対象としている。◆赤穂義士と並び称されている曽我兄弟の仇討ち事件は「曽我物語」として文学の世界に登場し、能や歌舞伎に演じられている。この事件の顛末を追いながら、関連の史跡や、仇討ちに由来した小田原の「傘焼まつり」を紹介する。

昭和５０年代後半から６０年代にかけての、大和路にある古寺の復興造営・解体修理の記録をたどる。◆奈良の西の京にある薬師寺では、天平時代の７３０年に建立された東塔のみが残り、西塔は１５２８年に焼けて失われたままになっていた。この西塔が１９８１年（昭和５６）、見事に再建された。先に再建された金堂とあわせ、東西両塔の並び立つ姿は、天平の昔をしのばせてくれる。西塔の再建と相前後して、桜の名所・吉野では金峯山寺蔵王堂の解解体修理と、修験道で知られる大峯山寺の解体修理が行われた。

不思議な宝石“ブルー・ウォーター”を持つ少女ナディアと発明好きの少年ジャンが、宝石のナゾをめぐって繰り広げる夢と冒険の大活劇。原案：ジュール・ベルヌ「海底２万マイル」。（１９９０年４月１３日〜１９９１年４月１２日放送、全３９回）◆第１回「エッフェル塔の少女」。１８８９年、フランス・パリの人々はパリ万博と相次ぐ船舶の遭難のふたつの話題で持ちきりだった。万博の催しのひとつ、国際飛行コンテストに参加するためにおじさんとルアーブルから来たジャンは、褐色の肌の異国的な少女・ナディアに一目惚れする。ジャンは友達になろうとエッフェル塔でナディアに話しかけるが彼女は冷たい。そこへ怪しい三人組が現れ、ナディアの持つ青いペンダントを渡せと迫る。

４回に渡って、ヨーロッパの食文化にスポットをあてる「食べものと人間」シリーズ。◆第２回「牛肉の旅」。東欧、ソ連で起こった民主化運動の根底には、食糧不足とりわけ肉不足への民衆の不満があった。長い肉食の伝統を持つヨーロッパを中心に人類の肉食文明をふりかえる。肉料理は中世貴族の食卓に起源を持つ。伝統的なフランス料理の神髄はアバ、すなわち臓物料理にあるという。パリの有名シェフが牛の脳みそ、心臓、膀胱を調理する姿や、アメリカからはバッファローのステーキを紹介する。

東京下町の普通の女子高校生ユウコが、ひょんなことから神様に伝説の戦士「美少女仮面ポワトリン」になることを命じられ、町内と、宇宙の平和と安全を守るため数々の怪人を相手に奮闘する。魔法少女シリーズの第三弾。原作：石ノ森章太郎。（１９９０年１月７日〜１２月３０日放送、全５２回）

芝居が庶民の最大の娯楽だった江戸時代、観客と役者は一体で芸域を広げ、質を高めた。◆目の肥えた観客に役者は変化物に五変化・七変化を作るなどして趣向を凝らす一方、踊りにも江戸の四季を取り込み、日常生活に登場する人々が主人公になる踊りを次々と生みだしていった。◆陰の主役・囃子についても音と振りの関係を、実演を交えて説明する。