１９４５年（昭和２０）に厚生省派遣の看護婦として満州へ渡り、今も中国で生きる女性を通し、年老いて望郷の思いも深まる中国残留婦人の問題を探る。◆彼女の出身は山口県。敗戦後も病人の看護を続けるうちに帰国する機会を失った。同じくソ連国境に近い黒龍江省訥河県に住む女性は、義勇隊開拓団の花嫁だったが、病気で動けなくなり中国人男性のもとに売られた。この２人は戦後になって偶然再会し、励まし合って生きてきた。１９８８年（昭和６３）２人は一時帰国することになる。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆今泉今右衛門：陶芸家。１９２６年佐賀生まれ。１９５７年日展入選、１９７５年十三代今右衛門を襲名。色鍋島技術保存会会長、佐賀県陶芸協会会長などを歴任。

作家・谷崎潤一郎のエッセイ「陰翳礼讃」を基に、一人の男の回想というストーリーを設定し、日本の伝統的な美意識をドラマ仕立てで再現する。◆時代は大正末期から昭和にかけて。“陰影”を礼賛する一人の男が少年時代を回想する。陰翳の世界を失いすべてを明らかにして装飾する現代に、見えすぎるものを闇に押し込め無用の装飾を取り払ったような家が一軒くらいあってもいいではないかと問いかける。

改修前の京都・南座の歴史や千秋楽恒例の素人顔見世を紹介し、１９８９年（平成１）１２月に南座で上演された「種蒔三番叟」を鑑賞する。◆９２歳を迎える（公演当時）とは思えない清元志寿太夫さんの美声と華麗な語りで、歌舞伎舞踊の第一人者・中村富十郎さんが踊る。◆「種蒔三番叟」はご祝儀もので、めでたい言葉が連ねられ、子孫繁栄、千秋万歳を唄う。

障害者への差別や偏見をなくし、あらゆる場で真の仲間として受け入れる「開かれた社会」の実現について考える“障害者の日”特別番組。◆第１部「人間らしく生きたい」では、生きることに挑戦し、自己の可能性を広げようとする障害者の姿をドラマやドキュメンタリーで伝える。◆埼玉県の児童相談所で働く山内志保さんは、３年前交通事故の後遺症で車椅子の生活を余儀なくされた。自由できままな旅をしてみたいと長期休暇をとり、１週間の旅程で京都と宮崎へ向かう。中学校の修学旅行で訪れた思い出の京都、清水寺では階段や急坂にあえぎながらも自力で登っていく。障害に遭い、つらくても極力助けを乞わず自立の精神で旅をする山内さん、十数年ぶりに宮崎の祖母を訪ね涙を浮かべる。

昭和４０年代から５０年代前半にかけての、大和路にある古寺の復興造営・解体修理の記録をたどる。◆復興事業の中でも、斑鳩の里の法輪寺の三重塔の再建と東大寺大仏殿の大修理は、大和路の歴史を彩る大イベントであった。法輪寺の三重塔は１９４４年（昭和１９）の落雷のために焼失したままだった。再建のための調査は１９６７年（昭和４２）から始められ、作家の幸田文さんらの奔走によって、１９７５年（昭和５０）に工事が完成した。一方東大寺大仏殿の昭和の大修理が始まったのもちょうどこの頃。明治の大修理以来１００年ぶりの修理とあって、６年の歳月をかけた大工事である。

４回に渡って、ヨーロッパの食文化にスポットをあてる「食べものと人間」シリーズ。◆第１回「ジャガイモの旅」。南米から４００年程前に、スペイン人によってヨーロッパに伝えられたというジャガイモの歴史と、現代のヨーロッパで食生活に果たす役割などを紹介する。アンデスの厳しい自然の中で生まれ、ヨーロッパに渡り、北国のやせた大地で栽培されたジャガイモ。ドイツには日本の米屋に相当する「ジャガイモ屋」があり、各家庭の地下には貯蔵庫がある。ポーランドは国民１人あたりの生産量が１．４トンと日本の４０倍。又、アイルランドからジャガイモ飢饉の歴史を伝える。

日本テレビと読売テレビの交互制作でおくる平日深夜のワイドショー番組。（１９９０年４月２日～１９９４年４月１日放送）◆この回は火曜「ＥＸ　Ｏｓａｋａ」第２回。コーナー「Ｎｅｗｓ　ＥＸ・ＴＶ」に続き、テレビ論について語る特集で「視聴率」を取り上げる。視聴率は全国３０００万世帯から無作為に２６００世帯が選ばれ、その各々の家庭で見ている番組をもとにして出される数字。年間、スポンサーが番組に提供する広告費は１兆３０００億円。その膨大な金額を左右し、テレビ界の動向に重大な影響を及ぼす視聴率の意味を考える。視聴率調査機がある世帯に向けて送るという形で進行し、番組の最後では無茶なお願いが飛び出す。司会は上岡龍太郎と島田紳助。