坂の街・長崎の、坂の途中にある小さな八百屋を舞台に、この街の人間関係を描く。◆長崎は坂の多い街である。斜面にびっしりとはりついた家々、住居は狭く車は通れず、年寄りが目につく。ある長い長い階段の途中には小さな八百屋がある。坂を上り下りする人はこの八百屋で一息入れたり、座り込んで世間話に興じたり、いわば溜り場になっている。日常の何でもない会話や人々の営みから、けなげでしたたかでやさしい、そんな生き方や人とのかかわりが伝わる。

北緯６６度３３分の緯線、またはそれ以北を「北極圏」と呼ぶ。アジア・アメリカ・ヨーロッパを最短距離で結べる交通ルートとして、また資源の宝庫として注目されるこの地域を取材、北極圏の姿を伝える。（１９８９年４月３０日～１９９０年３月２５日、全１２回）◆第９回は、北極海の流氷上に築かれた有人ステーション「北極点」を紹介。先端技術の不足に苦しみながらも、国家の威信を賭けて極地探査を行う４０人近い隊員の現状を伝えるとともに、レニングラードの北極・南極研究所や国家気象委員会の活動も紹介する。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆北島忠治：明治大学ラグビー部監督。１９０１年新潟生まれ。１９２９年から明大ラグビー部監督、１９４９年から経済学部教授。他に、関東ラグビーフットボール協会会長。

ベルリンの壁が崩れ、東西冷戦の構造が変わったいま、最後の冷戦構造地域となった朝鮮半島。１９５０年６月に始まった戦争により北緯３８度での民族分断は決定的になった。新資料や証言をもとに朝鮮戦争の実像に迫る。◆情報公開の進むソ連では当時参戦していたパイロットの証言などが得られ、スターリンの思惑を推測することができるようになった。アメリカと中国に残された文献や戦争指導の中枢にあった人々の証言を加え、今まで西側に偏って捉えられがちだった戦争の真相を探る。

ロシア革命から７０年余、社会主義はどこへ向かおうとしているのか。社会主義国で起こっている変動を２０世紀の歴史の中で捉え直すシリーズの第５集。（プロローグ含め４月２２日〜１２月２３日放送、全９回）◆第５集は結成１０年を迎えたポーランドの自主管理組合・連帯の歴史と、ポーランド民主化への道のりをたどる。１９８０年夏、食料品値上げに反対して各地でストライキが起こり、それをきっかけにワレサ氏を議長に「連帯」が正式に発足した。翌年１２月の突然の戒厳令によって解体の危機に迫られもしたが、カトリック教会の支援を受けながら根強い地下活動を続け、１９８９年の総選挙でついに圧倒的勝利を収めた。

原爆資料館に展示される数々の遺品にまつわるエピソードから、戦争体験の風化が叫ばれる戦後４５年を検証し平和への祈りをつづる。◆広島市平和記念公園にある原爆資料館には、現在１０００点もの被爆資料が展示されヒロシマの原爆被害を今に伝えている。資料の中には遺族から寄贈された「遺品」も少なくない。遺品にまつわる３人のエピソードを紹介し、ヒロシマの被爆体験継承の大切さを訴える。◆報道特別番組

時代の最先端で活躍する、分野を異にする二人が現代的なテーマをめぐって徹底的に語り合うトーク番組の最終回。（１９８８年４月２３日開始）◆日本の土地無策は国内だけでなく世界の批判の対象となっている。タイム・ライフ特派員のチャング氏は、土地問題は民主主義に関わる根本問題であるとの認識に欠けていると指摘、神戸大学教授・早川和男氏と国際的視野に立った土地哲学を展開する。

上方では澤村藤十郎が和事を創作して上方歌舞伎の特徴とした。『心中天網島』を例にとって、そのリアルな芸を見る。◆心中物は近松門左衛門の作品に数多く見られるが、この作品も紙問屋の主人治兵衛、その妻おさん、そして遊女小春の三角関係を描く。和事は、心の動きをどう表現するかということを一番大切にする。