突然、妻を母を失った父子が、悲しみから立ち直り、共に強く生きようと誓うまでを描く。作：黒土三男。◆大塚常雄（武田鉄矢）の妻・光枝（原日出子）が、くも膜下出血で急死した。一人息子の大介（伊崎充則）は１０歳だったが、涙ひとつ見せず気丈なところを見せていた。それに引き換え、常雄は人目をはばからずおいおいと泣き通し。その夜、常雄は大介が自分の部屋でこっそり泣いているのを見る。その姿に常雄はもう泣くまいと誓う。

日本近海の漁獲の半分近くを占めるイワシの、意外と知られていない生態を中心に、回遊魚の集まる潮目の魚たちを追う。◆潮目とは沿岸と沖合との境で、大量のプランクトンが吹きよせられるために、イワシ・サバ・アジといった魚たちの格好のエサ場になっている。小さい体のイワシは、身を守るために群を作る。大きなものでは幅８００メートル、長さ２キロメートルにも及ぶ。それをめがけて大型の回遊魚が集まり、さらに人間が巻網で一網打尽にする。まるで食べられるために生まれてくるようなイワシだが、それを上まわる繁殖力で命をつなぎつづける。

ひとりっ子どうしのカップルが結婚にこぎつけるまでの茨の道を描くホームドラマ。（１９８８年１０月８日〜１０月２２日放送、全３回）◆双方の家族に結婚を大反対されている宗太と郁子は、ついに同棲という最後の手段に出た。しかし家出同然のところからスタートした新生活であり、親がかりで暮らしていた二人には不自由極まりない。すぐに音を上げて帰ってくると見た親たちだが、一カ月たっても戻らないので様子を見にいく。あまりにひどい暮らしぶりを見て二人の覚悟を知り、結婚を許すことにする。ところが当の二人が耐え兼ねて家に帰ってきてしまった。今度は立場が逆転、親がふたりを励ますことになる。

茶道が廃れた明治中期、没落寸前の茶道家元を支え、再興に力を尽くす女性を描く。土曜ワイド劇場スペシャル、新春ドラマ特別企画。原作：宮尾登美子。◆千利休の血を引く京都の後之伴家は家元とは名ばかりで家計は火の車になっていた。１３代目を継いだ文吉（堤大二郎）は貿易商の妹・益子（檀ふみ）と結婚するが、益子は健康を害してしまう。次男・舜二郎（本木雅弘）は茶の修業に耐えられず家を出てしまい、一家の危機は大きくなる一方。死に際の祖母に「おまえが観音様になって、家を再興しておくれ」と言われていた由良子は、父に自分の出生の秘密を聞き、益子の兄・盛行（滝田栄）と再婚する決意をする。

日本刀のこしらえや甲胄に添えられた金具には、武器としての猛々しさと華やかな装飾とが一体になった美しさがある。刀装、甲胄製作に携わる職人を白銀師という。◆宮島市郎は父から伝統の技術を受け継ぎ、白銀師の命である細工の美しさ、こしらえの確かさで数々の日本刀の名品の製作復元を手掛けた。たけきものを美しく装う、日本人の美意識である雅の心を今に伝える。

瀬戸大橋の建設で、瀬戸内海をとりまく地域の状況は激しく動き始めた。検証・瀬戸大橋時代をメインテーマに、瀬戸内エリアの観光・経済などの新しい動きをタイムリーに伝える。（１９８８年５月７日～１９８９年９月３０日、全６９回）

現代の中学生に取材し、抱えている問題をドラマ化して伝える長寿番組。関心の高いテーマをいち早く取り上げることにも定評があり、１９８８年は「校則」をテーマに２回連続シリーズとして放送した。◆校則への反発から私服登校を始めた昌子だが、予想以上の目だち方に気疲れして制服に戻る。しかし校内放送で校長が一人のわがままな行動に惑わされないように、といったことに再び反発、今度は自分が納得するまでは止めまいと思う。同調する者もあらわれ、校則について皆で考えようという動きもおこるが、ＰＴＡの動きや受験優先の発言で結局しぼんでしまう。少しづつ輪を広げようという担任の言葉も空々しく聞こえ、昌子はここはいつまでもいる学校ではないと心に決める。

熊本県内各地で歌い継がれる「ふるさとのうた」を紹介するシリーズ（１９８８年４月３日～１９８９年３月１９日放送、全５０回）。『肥後シリーズ』は１９８６年日本民間放送連盟賞（放送活動部門）受賞。◆下益城郡小川町の「オロロンベー」はユーモラスな踊りを伴った賑やかな子守唄。以前は雨乞いにも登場した民俗芸能である。そして天草郡有明町の「大浦の子守唄」は、子どもへのあたたかい愛情に満ちた優しい響きを持つ。二つの子守唄には次の世代への願いが込められている。