日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆藤林益三：元最高裁長官。１９０７年京都生まれ。弁護士、司法研修所教官、最高裁判事を経て、１９７６年最高裁長官。のち日本法律家協会会長。

松尾芭蕉が「奥の細道」の旅に出てから３百年。改めてその足跡をたどり、芭蕉が求め続けた俳諧の世界を探る。◆旅の起点、東京・深川から日光、松島、平泉、金沢、大垣。芭蕉はどんな思いを巡らせたのだろうか。また、意外と知られていない芭蕉の生い立ちから旅立ちまでを追う。

大分県宇佐平野の広大な神域の中に、朱と金に彩られた華麗な本殿をもつ宇佐神宮は、全国に散らばる八幡社の総本宮である。作家の黒岩重吾さんがこの宇佐神宮を訪ね、その威容を紹介しながら、九州から中央へ、さらに全国へと信仰を広めた過程を探る。◆宇佐神宮では、八幡大神、比売大神、神功皇后を祭ったそれぞれ別の神殿をひとつに連ねて本殿としている。飾り金具にはすべて金箔が施され、高価な朱と漆を混ぜた丹塗りの朱色とあいまって、荘厳な美しさをかもしだす。この栄華は、宇佐神宮がすぐれた柔軟性をもち、中央の権力と巧みに結びついてきたことによってもたらされたのではないか、と黒岩さんは推測する。

ドイツの都市・ベルリンを分断し、東西対立の象徴となってきた「ベルリンの壁」が崩壊した。１９８９年１１月、壁を越えてきた東ベルリンの人たちは、西側の親戚や知り合いと抱き合った。壁崩壊・激動の１０日間をルポするとともに、米ソの冷戦構造の中で苦悩してきた東西ドイツ、そしてヨーロッパの戦後史を振り返り、来たるべき欧州新秩序の展望を試みる。

戦争体験を持つ女性が、子どもたちに戦争の悲惨さを直接語りかけるシリーズ。この年は海外の女性も語る。◆終戦後の混乱の中で日本へ引き揚げられず、帰国まで４０年間、中国に留まっていた上野カツエさん（７４歳）。日本に帰り着くまでの長い道のりを、中学生・高校生に語る。

１９世紀半ば、あたかも奇跡のごとく出現した「明治国家」日本。万延元年の幕府使節団の訪米から１８８９年の明治憲法公布まで、近代国家成立の軌跡を作家・司馬遼太郎が独自の史眼でとらえ直し、明治草創の精神を語るトーク・ドキュメントシリーズ。（全６回）◆国家として基礎が固まった明治初めからの１０年は、一方で新政府に対し士族の不満がうっせきした時代でもあった。士族の反乱・西南戦争は、結果的に１２世紀以来７００年にわたる“侍”を滅ぼした。武士制度廃絶の最高責任者・西郷隆盛こそ、誰よりもその侍とその心を愛していた。しかし、その武士道の精神が明治を貫く時代精神として継承された。

新潟のシンボル・万代橋にまつわる秘話を交えたドキュメンタリー。◆１９８９年新潟市は市政１００周年を迎えた。初代万代橋が建設されたのは１８８６年。３代目の現在の橋は１９２９年の建設で今年で還暦を迎えた。まさに新潟市と歩みを共にしてきた橋である。この橋は当時の架橋技術の粋を集めたもので、その美しさと力強さは市民の誇りとされてきた。特に新潟地震にも耐えぬき、市民の愛着は一層強いものとなった。

昼は小粋な常盤津の師匠、夜は黒装束に身を包む義賊「ねずみ小僧」。女ねずみ・お凛（大地真央）の活躍を描く痛快娯楽時代劇。原案：菊島隆三、安藤日出男「ねずみ小僧異聞」。（１９８９年４月１２日〜７月５日放送、全１２回）◆第一回「闇夜の屋根から愛のおひねり　」。