金沢城の歴史について、橋本澄夫さん（県立埋蔵文化財センター所長）に聞く。◆金沢城は、一向宗王国の拠点・金沢御堂の跡にある。前田利家によって１５８３年（天正１１）に築かれ、三代利長の時代に完成した。長い藩政の後、明治には国家が兵舎に転用するが、明治初期に石川門と三十間長屋を残して火災で焼ける。現在は金沢大学のキャンパスである。◆利常に３歳で嫁いだ家康の孫娘珠姫と家臣の住んだ江戸町の遺跡が、望郷の念をしのばせる。今後の開発には、市民の意見も求められている。

「鉄は国家なり」といわれた時代、鉄鋼業は国の根幹を支えていた。第２次世界大戦前、日本は製鉄原料の半分を鉄くずに頼っており、その８０パーセントをアメリカに依存していた。太平洋戦争・日米開戦の前年、アメリカは鉄くずの禁輸に踏み切り、日本を封じ込めた。“鉄”にかかわった日米人物群像と経済裏面史を描く。

常陸の国の医師、太田重按は、医師とは名ばかりで勝負事に明け暮れていた。女房の言葉で一念発起をして医療の路に戻るが、薬もなく、処方も出来ないなかで、偶然みみずで人の命を救う。これがキッカケで、長崎で修業をし、ついには将軍家の御典医となる。◆作／房前智光、曲師／玉川美代子

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々の生活を描く。◆今回は「朝の紅茶」と題して、イギリスの保存鉄道・ワイト島鉄道を紹介する。

アメリカ移民の子として生まれ、米国人女性と結婚、日米両国の架け橋たらんとした画家・野田英夫の生涯を描く。◆彼は戦前のアメリカ画壇で注目を集めた画家であるが、ゾルゲ事件ともかかわり、アメリカ共産党のスパイともいうもう一つの顔をもち、３０歳という若さで死去した。

中東・イスラム・アラブについて、ヨーロッパとの関係や歴史を振り返りながら東京大学教授後藤明氏が解説する３回シリーズ。（１９９１年３月５日〜７日放送）◆第２回は国を越えたアラブの大義とは一体何かを明らかにする。

三重県津市にある専修寺を訪ね、如来堂を中心に大建築の見どころを解説し、あわせて落慶法会の模様を紹介する。◆津市一身田町にある専修寺は、浄土真宗高田派の本山。高田教団中興の祖とされる十世真慧が、東海・北陸の布教の拠点として開いたもの。広大な寺域を擁し、山門・御影堂・如来堂がその威容を誇っている。◆この専修寺で１９８３年（昭和５８）から行われていた如来堂（本堂）の半解体修理が７年ぶりに完了し、「如来堂落成慶讃法会」が営まれた。今回修理された如来堂は２７年がかりで１７４８年に完成した大建築で、軒の尾垂木には龍や象などの彫刻が施されている。

文楽の人形の魅力をさぐる。『艶姿女舞衣』のお園の人形で、女方の動きや型を解説する。◆文楽では人形の着付けや遣い方で師匠から教わることはない。“肩の使い方で色気を、指先と目線で感情の表現を”と、生きているように動く人形の基本の技法はあっても、演ずる人に心や感情を美しく表現する気持ちがなければ、魂の入った動きにはならない。◆副音声は英語