日本人の戦後の歩みと思いを、戦後の廃墟の中から歌いはじめてついには女王とまで呼ばれた美空ひばりのヒット曲やエピソードに重ねあわせてふりかえるシリーズ。（１９８９年６月２９日〜７月１日放送、全３回）◆繁栄と挫折に彩られた昭和３０年代、美空ひばりは１８歳でマドロスものの歌謡曲を次々とヒットさせていた。１９５６年（昭和３１）には沖縄公演をを行い、大成功をおさめる。高度成長期に入った日本社会の中で、少女歌手ひばりは大人への転身の時期を迎えていた。１９６０年（昭和３５）安保闘争の嵐の中で「哀愁波止場」が町に流れる。

インディアンのネズパース族は白人軍隊に最後の抵抗をした部族。１８７７年先祖代々のオレゴン州のワラワ渓谷を追われ、政府によって強制的に居留地に押し込められようとした彼らは自由の大地を求めて一族郎党全員が出奔した。ネズパース族との生活経験を持つ坂本ひとみ、平福貞之両氏が、かつての戦士の子孫とともに先祖がたどった闘いの道を再びたどる旅をする

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆加瀬俊一：外交評論家、初代国連大使、東京外語大教授。１９０４年東京生まれ、ハーバード大学院卒。１９２３年外務省に入省、初代国連大使のほか、駐ユーゴスラビア大使や駐ブルガリア公使などを歴任。１９６０年に退官し、外務省顧問に。

吉野ヶ里遺跡の発見を契機に、古代史最大の謎「邪馬台国」が新たな注目を集めている。最新の考古学、歴史学。民俗学の研究をふまえ、ＣＧや実験を交えながら日本の古代国家成立の謎を３回シリーズで探る。（１９８９年５月１７日〜５月１９日放送、全３回）◆佐賀県神崎町の吉野ヶ里遺跡は広さ約２５ヘクタール、弥生時代後期の遺跡としては最大規模の集落。今回発見された甕棺の中から出てきた把頭飾付き銅剣やガラス製菅玉をみると、中国、韓国、はてはシルクロードを越えてローマ帝国につながるものがあるという。

没後５０年を迎えた作家・泉鏡花の幻想世界を豊かな水のイメージを通して描き、大地を崇拝し一木一草に神を見ていた日本人の失われた原風景への挽歌とする。◆鏡花の地元・金沢をはじめ、各地で“鏡花ルネッサンス”とでもいうべき動きが高まりつつある。竜神を封じた池の物語「夜叉ヶ池」、飛騨深山幽谷での怪異な行脚を語る「高野聖」など、鏡花が描いた世界はついこの前まで日本人の多くが持っていた妖怪や天変地異への恐れと根源的に結びついている。

一枚の絵を差し示しながら物語る、それを「絵解き」といった。絵解きは仏教普及の有効な手段だった。当麻寺にある４メートル四方の曼荼羅は、女人の受難と救済をテーマとした壮大な仏教説話である。当麻曼荼羅は縮小して複製され、末寺に広まった。極楽浄土を願う庶民は絵解きを聞き、現実離れの世界に酔った。◆テレビのある現代社会になお残る絵解きの寺を訪ね、映像文化のルーツを探る。◆【国宝】当麻寺本堂（曼荼羅堂）、綴織当麻曼荼羅図〔当麻寺〕、玉虫厨子〔法隆寺〕◆【その他】当麻曼荼羅絵解き〔徳融寺〕、太子伝絵解き〔瑞泉寺〕

地元住民にはほとんど利益がなく、逆に公害や人権侵害をもたらしている円借款の現状を報告する。「検証・海外援助２、フィリピン・レイテ島の現状を探る」レポート：堂本暁子、キャスター：料治直矢。◆ＯＤＡ政府開発援助は発展途上国に政府が行っている援助。このうち、二国間政府貸し付け（有償援助）を円借款という。フィリピンのレイテ島には、円借款で総額３２８億円をかけた３つのプロジェクト「西レイテ道路整備計画」「トンゴナン地熱発電所」「レイテ工業団地港湾開発」がある。しかし、工業団地への電力供給を目的とする発電所の近隣住民には電気はなく、工業団地からの廃水で海が汚染されている。日本の援助は誰のために行われているのだろうか。

フランス革命が起こってから２００周年に当たる１９８９年。フランスで行われている様々な行事を中心に、革命当時と今日のパリを篠沢秀夫教授が紹介する。またフランス革命がなぜ起こったかを当時の庶民の生活、華やかな貴族の生活などの再現を通して解説する。