“美の画家”といわれるルノワールの作品の数々を紹介し、彼の人生を追って曾孫のソフィ・ルノワール（女優、当時２０歳）の話を聞く。またゲストに岸恵子、ジャンヌ・モローを招いて話を聞く。◆ルノワールの生涯、名作を訪ねてパリを始めフランス各地やアルジェリア、アメリカ、イギリス等を取材。紹介した作品は約９０点、その６割は今まで日本に紹介されたことがなかった。

中国、青蔵高原。富士山より千メートルも高い高原が、日本列島の３倍もの面積で広がる世界最高最大の高地である。その中央にそびえる処女峰グラタンドンに挑む登山隊の活動を追い、揚子江の源流、神秘の氷河をさぐる高地縦断２５００キロの記録。

動物の生態を紹介する科学番組。今回はホンドギツネを取りあげる。熊本県阿蘇山ろくの矢部町に住む高校教員・中園敏之さんは、２０年間ホンドギツネの研究を続けてきた。春から秋の１２０日間、子ギツネが誕生してから独り立ちするまでを、中園さんが取材した記録を通して追う。夜行性で警戒心が強いキツネの生態をとらえるため、巣穴の対岸１００メートルの場所にテントを張り、夜明けから日没まで観察を続けた。その間、キツネに気づかれないよう、会話もできなければトイレにも行けなかった。（シリーズの第２９回）

自らの人生に疑問を感じはじめた女性３人が、それぞれの悩みを胸に“グルメ旅行”へ出発、旅先で新たな人生を発見する。（１９８６年４月１日〜４月３日放送、全３回）◆みつ江（酒井和歌子）は、女子高時代の先輩・栄子（香山美子）と後輩の百合（岡江久美子）を誘い、長崎・雲仙、博多、神戸へ３泊４日の旅に出た。みつ江には実は、皆に内緒の目的がある。夫へのあてつけにはじめた浮気がただの火あそびでは済まなくなりそうなので清算したいのだ。

画家の平山郁夫さんが、新薬師寺を再訪し、長年関心を持ち続けてきた十二神将像を紹介する。◆新薬師寺本堂内の円形土壇上に、本尊薬師如来を囲む形で安置される日本最古の十二神将像。１２体のうち宮毘羅大将は昭和の補作。各像が憤怒の表情と威嚇の姿勢を示すが、その表情は東大寺法華堂の執金剛神立像（国宝）に比べ、かなりおだやかに抑制されている。１９１２年（明治４５）の修理の際に、因陀羅大将の台座裏に「天平」の墨書が発見され、これらの像が天平年間（７２９〜７４９）の造立であることが確認された。

京都・祇園祭の山鉾を例に、伝統行事を支える人々の姿を紹介する。◆八坂神社の礼祭として繰り広げられる祇園祭は、京都の夏を彩る風物詩。人々が心を躍らせるその祭りの歴史は、１０００年をさかのぼることができる。祇園祭の呼び物である「山鉾」は、現在３２基。その維持・管理は各町の人たちが行っている。中京区の小結棚町では「放下鉾」を受け継ぎながら、最も伝統的な形を今に伝えている。祇園祭山鉾連合会の会長を務める田中常雄さんは、祇園祭は“人の祭り”だ。後継者の育成が大切だと語る。田中さんの、祭りのしきたりと心意気を若い人たちへ、そして未来へ残したいという熱意がうかがえる。

　混迷するカンボジアを逃れ父の祖国日本に帰国する夫婦を追うドキュメンタリー。（１９８６年３月１６日開始、全２回）◆カンボジアで２０年を生き抜いて妻とともにタイの難民キャンプに逃れてきた渡辺史遍（しへん）さん。かつてロンノル政権の混乱の中で父が子に与えた日本国籍が決め手となり夫妻に日本への渡航許可が下りた。１９８５年１１月成田空港に到着、生まれてはじめての日本での暮らしが始まる。言葉、気候、習慣すべてが異なる環境の中、史遍夫妻と周囲の人々の交流そして心情を描く。

都会の片隅で、失業中の男と、不倫の恋をしている孤独な女とが、女の捨てたゴミをきっかけに心を通い合わせるというドラマ。◆マラソンランナーとして企業に就職したが、腰を痛めて失職してしまった和彦は、ある夜捨てたゴミに語りかける若い女を見て、思わずそのゴミを拾ってきてしまった。女の一人暮らしを物語るゴミの中に、不倫を暗示するメモが混じっていた。