中国残留日本人孤児の大量帰国が急テンポで進もうとしている。２回目は、定住のための環境作りとして、異文化の同化、言葉、就職、就学、受け入れ施設、相談相手など多くの課題を、これまでの帰国者の実例と関係者の話を紹介しながら、１９５３年（昭２８）に長春から帰ってきた一橋大学助手の遠藤誉さんと、作家・井出孫六氏の見解を聞く。（１９８６年９月１５日〜９月１６日放送、全２回）

天平時代に生きた吉備真備と和気清麻呂は、吉備という同じ故郷をもち、しかも同時代に生きていながら、逢ったことがないというのが“常識”であった。しかし、真備は称徳天皇の東宮大夫であり、天皇腹心の広虫は、清麻呂の実姉であり、清麻呂は称徳にかわって帝位をねらう道鏡の野望をくじいている。このように時代背景は２人が関わらないはずがないほど２人を接近させている。そこで、“２人は逢っていた”という仮説をもとに、当時を再現していき、日本の“歴史の常識”に一石を投じる。

かつてネパールで密教修行の経験を持つ宗教学者・中沢新一さんが、真言密教の寺・東寺（教王護国寺）を訪ねる。◆東寺には、５０点の国宝がある。寺の中心・講堂の２１体の仏像は平安初期、空海が仏師に造らせたもの。このほか寺には空海が密教を広めるため中国から持ち帰った大量の図像や曼陀羅が納められている。ここを都で布教するための拠点とした空海は、やがて本来の山岳仏教に帰り高野山へ去る。しかし不動明王を始めとする東寺の仏たちは、密教の教義を超えて日本人の心をとらえ、今も人々の厚い信仰を得ている。

流政之氏は国際的彫刻家だが、その活動はあまり知られていない。スタジオを訪ねて作品を紹介、その芸術の源流と実像に迫る。◆流氏の彫刻は、ニューヨークや東京のビルの一角、地方都市の広場や岬に立っている。どれも日本の風土伝統に根ざした土俗的な作風で貫かれている。地方の風土こそが芸術の土壌であるという芸術観を持つ。アトリエは香川県庵治町の岬に建てられ、広大な庭には彼の作品群が林立している。

文明開化の地・横浜。開港とともにいち早く外国文化を導入して発展してきたために、横浜を発祥地とする事柄は数多い。様々なモノの事始めをテーマに、スタジオでのトークや解説、「はじめて劇場」のコントの他、関連の事跡や場所を訪ね、関係者へのインタビューなども含めて、紹介していくシリーズ番組。◆「写真」の回では、日本で初めて横浜の地で写真館を開いたアメリカ人に写真術を学び、野毛、馬車道で写真館をつくった下岡蓮杖の足跡を追う。（企画：横浜市教育委員会文化財課）

遠くイタリアまで赴きながら夢破れた女性が心機一転、現地で珍商売を成功させる。セゾンスペシャル。◆ファッションデザイナーを目指してミラノに渡った田代優子（大地真央）。しかし夢はかなわず、南国シチリアでタコ焼き屋を開店する。土地の温かい人々に見守られ、店は大繁盛する。やがて坂口（林隆三）という中年男と知り合った優子は、しだいに彼に惹かれていく。坂口はかつてオペラ歌手を目指し、挫折した過去をもっていた。

もうすぐ５歳になる、東京・田中家の五つ子ちゃんの５年間の成長記録を軸に、両親の子育ての苦労、５人の個性の芽生え、夏休みの様子など、家族の絆をさまざまなエピソードを交えて描く。◆結婚９年目で五つ子を授かった父親・幹彦さんは記者会見で「ゼロよりも５を選びました」ととまどいながらも語った。しかし５人一度の子育ては想像以上の厳しさ。入浴に１時間半かかり、離乳時には祖父母から友人までを総動員して食事をさせた。何をするにも５倍の労力、そしてお金。しかし母親・奈那子さんは見事に家計を切り回して乗り越えてきた。朝（はじめ）くん、翼くん、光くん、緑ちゃん、都ちゃん、５人それぞれの個性も育って、家族団欒は圧巻でさえある。

徳光和夫アナウンサーがキャスターを務める情報番組。この回の特集では東京・大阪の通勤の実態を体験調査、サラリーマンの生活に与える影響や元気の出る通勤方法を考える。◆国鉄駅の一日乗車人数ベスト５、混雑率２００パーセントを超える沿線ベスト５など、通勤ラッシュにまつわる様々なデータを紹介する。また司会の徳光アナが満員電車の体験乗車を報告、通勤途中に事故にあった場合、労災は適用されるかなど解説する。さらに通勤の有効利用法、疲れない電車の乗り方など少しでも楽な通勤方法を探る。