日本人の美に対する感性とそれが生み出した造形や色彩、また技術や文化を紹介するシリーズ。◆この回は「いにしえの色」と題して、数々の美術品や伝統の中に日本人の色彩感覚を探る。縄文人の土偶土器の赤、万葉人が露草で染めた青、平安初期に書かれた延喜式にある韓紅、蘓芳、黄櫨など３０種の色。東大寺の法要には大陸渡来の原色が用いられたが、やがて日本化されてゆく。墨の濃淡で表された水墨画。ぜいたくが禁じられた江戸時代、江戸者は四十八茶百鼠を誇っていた。移り変わる日本人の色彩感覚を追う。

自らの人生のスタート点であり、思考の原点となった郷里と母校。各界の第一線で活躍する人々がその母校の教壇に立ち、後輩たちに自らの培ってきた“知識”を伝えようとするとき、そこにはどんな授業が展開されるのであろうか。その姿を追いながら、知ることの楽しさ、学ぶことのすばらしさを伝える。全３回。◆第３回は、石油化学のエキスパートの昭和電工会長・岸本泰延さん。石油を原料とするものを例にとって、その性質を調べながら、それを利用して生活にどう役立てるかを教える。授業を受けるのは岡山県岡山市立可知小学校の子どもたち。

作家の井上靖さんが法隆寺金堂に安置されている釈迦三尊の魅力を語り、壁画の模写が制作された当時へ思いをはせる。◆「釈迦三尊」は６２２年、病に伏した聖徳太子の回復を祈り、后らが等身像の造像を発願。翌年、太子の没後に止利仏師の手で完成した。「面長な顔立ち、杏仁形の眼、微笑を浮かべた口元などは大陸の影響を受けているとはいえ、まぎれもなくこれは日本の仏像である。日本文化の原点ともいうべき像である」と井上さんは話す。

アメリカ中央部を横断して流れるミシシッピー川を、小松左京が約２ケ月間・１６０００キロにわたって旅し、川にかかわりながら暮らすアメリカ人の生活を紹介する。◆カナダ国境に近いミネソタ州のイタスカ湖からわずか３メートルの川幅で流れだし、メキシコ湾に膨大な水量を注ぎ込むミシシッピー川。その長さは３７８０キロに及び、本流だけでも１０以上の州を横切り、ミズーリ州、テネシー州、オハイオ州などへ無数に走って網の目をなす支流とともに重要な交通路となっている。

日本の地価は世界でも類をみない勢いで上がり続けている。この高騰が日本社会に与える影響を調査・分析し、提言を試みるシリーズ。（１９８７年９月２０日終了、全３回）◆第１回は「都心単身赴任」「相続税ジプシー」「土地代９９％の公共投資」など人々の生存権を脅かしているとさえいえる状況や、土地売買の実態をレポート。このまま地価が上昇した場合の日本社会のシミュレーション、地価上昇を支える“含み資産”のメカニズムのルポを交えて新しい視点からアプローチする。

日本経済新聞紙上で１９５７年（昭和３２）３月に始まった「私の履歴書」のテレビ版。一時代を築いた人物が出演、自らについて語る。（１９８７年４月８日〜１９８８年９月２８日、全７８回。出演者の肩書・年齢は放送当時のもの）◆第４回はソニーの名誉会長・井深大さん（７９歳）。

新憲法下で発足して４０年になる最高裁判所に初めてカメラを持ち込み、建物内部や機構、組織をはじめ、裁判官へのインタビューや裁判の過程など知られざる内側を紹介する。◆司法の頂点に立つ最高裁は年間３０００件以上もの訴訟を扱っている。政治・経済・社会に大きな影響を及ぼすその裁判は、どのような人たちによってどのように進められていくのか。

世界初の商業用核燃料サイクル施設施設の開発が進められている青森県六ケ所村と、カナダのサスカチュワン・ウラン採掘鉱山周辺の住民の生活とを対照しながら六ケ所村の未来を考える。◆六ケ所村は下北半島の過疎の村。この村の住民の多くは、かつて満蒙開拓民として外地の遠い「はずれ」に送り出され、今は日本の「はずれ」で核の汚染物と共に暮らすことを強いられている。先祖伝来の土地とともに農業・漁業を営む人々、開発に土地や漁業権を売った人々、どちらも「国策」に揺れる「個人」の姿である。