多くの血友病患者が生きるために欠かせない治療薬、血液製剤によってエイズに感染した。その数は全国で２０００人にも及ぶという。政府は外国からもたらされた未知の病気にどう対処したのか。国の対応が遅かった原因、理由を探る。◆エイズという未知の病気がアメリカで発生し、血液製剤の危険性が初めて報告されてから対策を講じるまでに日本では３年余りかかり、結果として大きな悲劇が生まれた。対策の決め手となった加熱した血液製剤の製造承認に長い年月がかかった背景は何か。事実の発掘・追跡に基づいて検証する。

小児ガンに侵された息子の命はたったの６ヵ月。父と母は大自然の中で最期を迎えさせようとする。（１９８９年１０月２２日〜１９９０年２月２５日放送、全５回）◆最終回。吾郎（滝田栄）と秋子（原日出子）夫婦が、ガンに侵された息子・伸一（伊崎充則）とともに信州の山村のログハウスに暮らし始めて半年が過ぎた。伸一はすでに体中の関節が痛みだし、一日の大半をベッドですごしている。ある日、秋子が伸一のノートをみると、そこにはカレンダーが書いてあり、この半年間を伸一は一日一日塗りつぶしていたのだった。

名古屋流の「お嫁入り」をコミカルに描くドラマの第２弾。◆名古屋で代々警察署長を勤める伊藤桃太郎一家。桃太郎（植木等）はひとり娘の名美（かとうかずこ）に警察官の婿をとり、自分の跡を継がせるのが夢。ところが名美が連れて来た恋人・健一（永島敏行）は、東京生まれの新聞記者だった。健一の実家は東京でも老舗のそば屋で、両親はともに江戸っ子気質。両家の親同志が折り合わず、２人の結婚は絶望的となる。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆江戸家猫八：芸人。１９２１年東京生まれ。１９３０年初代猫八一座で初舞台を踏み、１９４９年に三代目を襲名、俳優としても活躍をみせる。１９８１年に芸術祭優秀賞を受賞。

鎌倉時代の初め、日本に初めて禅宗を伝えた明庵栄西（１１４１〜１２１５）の寺・建仁寺。建仁の年号を寺名とした。臨済禅は迫害や布教禁止などを受けながらも栄西の「死後５０年最も興るべし」の予言通り、鎌倉・室町にかけて発展した。禅の教えと厳しい戒律のもとに修業を受け継ぐ現代の僧侶の姿や、禅の文化を端的に伝える桃山時代を代表する画家・海北友松の建仁寺方丈を飾ったふすま絵の遺構など。五山建築中、最も禅寺らしい建仁寺の神髄に迫る。◆【重要文化財】建仁寺勅使門、方丈、竹林七賢図〔建仁寺〕、花鳥図、雲竜図、山水図

１９８８年、交通事故死者は１３年ぶりに１万人を突破した。以来死者は増え続け、第２次交通戦争とまでいわれる。日本で交通事故を減らすにはどうしたらいいのか。緊急レポートと徹底討論の２部構成で問題を探る。（第２部は同日２１時４５分から放送）◆乗車中の死者の多さが目立ち、高速道路では２年連続で３０パーセントを超えている。車自体の安全性はどうなっているのか日米の基準を比較したり、道路の問題点、大型トラックと乗用車との衝突事故の多発という日本独特の現象の検討など、多角的に問題を提起する。

野辺にあって人々に語りかける「微笑仏」。民芸家・柳宗悦によって見出され、そう呼称された木喰上人の仏像である。木喰行とは木の実を食し修行すること。◆木喰上人・五行（１７１８〜１８１０）は行を終え、貧しい民衆救済を志して全国を行脚した。北海道で円空仏と出合い、６３歳から仏像制作を始める。本願成就の後も精力的に全国行脚を続け、笑いこそ衆生を救う道と９３歳で死ぬまで微笑仏を彫り続ける。残された多くの仏像からその軌跡をたどる。◆如意輪観音、大黒天、行基菩薩〔小栗山観音堂〕、地蔵菩薩、木喰自刻像〔日本民藝館〕、薬師如来、子育地蔵、子安地蔵〔太田山霊場〕

１９７９年１２月のソ連軍・アフガニスタン侵攻から１０年。その後ソ連軍は完全撤退したが、今なお政府軍と反政府ゲリラによる内戦が続く。取材班は、いまだに政情不安が続くアフガニスタンに入国。ヒンドゥークシュ山脈の奥地、バーミヤンに残る大仏２体は６世紀に建立されたもので、高さ５５メートルと３８メートル、世界最大の立像だという。パキスタンのぺシャワールからゲリラに変装してバーミヤンへ向かう。