九州・宮崎の「堀切峠」は「山桜」の名所、春の彼岸を待たずに満開となる。３月中旬、ソメイヨシノはまだ蕾が膨らみ始めたばかりだが、堀切峠は、山桜が淡い紅色の清楚な花とともに赤い若葉を伸ばし、山は静かに春の色に染まりはじめている。昭和１０年代、地元宮崎の実業家が「桜で大地に絵を描く」という壮大な構想のもとに山桜を増やしはじめた。今では、１万本の山桜が道路沿いに２キロも続いている。

大酒飲みの親子が、将来のためにもと、禁酒の約束をする。ところがある晩、父親がかなり酔って帰宅する。息子も出かけていると聞き、「また酒を飲みに出たのか。今夜こそ厳しく意見してやる」と言いつつ寝入ってしまう。一方、息子もたいそう酔い、屋台のうどん屋を困らせたりしたあげく、ようやく家にたどり着く。

”器量よしの娘お花のいる水茶屋に役者のような色白の若旦那が通ってきて、互いに心を寄せ合うようになる。ある日、お花は誘われて芝居に出かけ、深い仲となる。父の許しも出て、二人は長屋で暮らし始めたが、世間のことをよく知っている長屋のばあさんが若旦那の顔を見て、あっ、あれは色男の盗人、八百蔵吉五郎￥””だと言う。盗人吉五郎は、当時の名優市川八百蔵に似ていたのでこの名で呼ばれていた。￥”””

南予地方の秋祭りには「牛鬼」と呼ばれる怪獣が登場する。人を困らせた妖怪が縁起物として人々に愛される姿を追う。◆宇和島には牛鬼を描いた絵巻が幾つも残っている。人を困らせた妖怪を逆の発想で味方に付けた昔の人の知恵と、民話の面白さを祭りに結び付けたロマンが見事に生きている。神を喜ばせ、豊作を占うものとして始まった闘牛と牛鬼の結び付きも無縁なものでないことが分かる。◆宇和津彦神社の秋祭り〔愛媛県〕、一宮神社の秋祭り

人生の転機を迎えたひとりの男とその家族を中心に、それぞれの生き方を模索する人々を暖かく描く。（９月１６日～３０日、全３回）◆出向先に適応できない明は悩み続け、明が悩みを打ち明けてくれないことに不満を感じている妻・久子は、昔の恋人に心を動かされる。娘・奈美は妻子のいる桑野と交際しており、紹介された明は激怒。奈美は家を飛び出す。しかし桑野が正式に離婚したと聞いた明はあらためて奈美に桑野のことを知りたいと伝える。いっぽう、明が姉のように慕っている百合子が不審な行動をとっていた。

終戦直後の昭和２１年、日本で初めての「放送記者」が誕生した。事実と真実のはざまで悩み、試行錯誤を繰り返しながらも人間的な記者を目指した放送記者一期生たちの姿を描く。（１９９５年３月１８日〜４月１日放送、全３回）◆最終回「はるかなる真実」。昭和２５年、朝鮮戦争が勃発。米軍が事前検閲を復活させる。杉浦（高嶋政伸）たちは、宣伝放送にならないようにと自戒する。戦中の脇田（萩原健一）の苦悩がしのばれる。日本も再軍備を迫られる中、組合運動に熱心だった桑原（榊原利彦）が突然解雇される。レッドパージだ。石山（仲村トオル）は、講和条約締結の同行取材で初の海外取材に出る。が、講和条約の裏で安保条約が国民不在で締結されたと知り、報道の限界にぶつかり悩む。

南米エクアドル共和国のガラパゴス諸島にはイグアナやゾウガメをはじめ、独自の進化を遂げた生きものたちが暮らす。観光客や移民の増加、家畜の野生化などの影響で、大きく変わりつつある生命の楽園・ガラパゴスの“今”の姿を生中継でダイナミックに伝える。現地中継のゲストはガラパゴス研究の第一人者・長崎大学の伊藤秀三教授と動物写真家・岩合光昭。東京・スタジオのキャスターは平野次郎解説委員と宮崎淑子。

古来、人間の暮らしは水と切り離すことができない。山紫水明、豊かな水にめぐまれた日本全国から、水と共に生きてきた人々の営みとふるさとへの思いを伝える。◆木曽川が丘陵を抜けて平野部に差し掛かるあたりにひらけた城下町、犬山市。古い町並みには鍛冶町、鵜飼町など職業を表す町名が今も残り、城下町ならではの風情を醸し出している。江戸の風情が残る城下町のたたずまいと、激動の明治の息吹を木曽川の流れとともに描く。