徳島県の土成町は、お寺の多い町として知られているが、町内には四国霊場８８か所のうちの３札所、法輪寺、十楽時、熊谷寺があり、今も多くの人が、弘法大師ゆかりの霊場を訪れている。土成では、田植が終わりそろそろ暑い夏が近づく頃「ジンゾク狩り」が行われる。「ジンゾク」とはハゼ科の小さな魚で、水のきれいな清流にすんでいる。ジンゾク狩りの名人に、ジンゾク狩りに使う珍しい道具について話を聞く。

富士山は神が宿る聖地であるという信仰は関東周辺で強い。「富士講」はそんな人たちによって伝承されてきた。◆「六根清浄」と唱えながら山頂に向かうこの言葉は信者でなくても知っている文句である。角行法師が富士山で悟りを開き弟子たちが広めた富士講は、遠く室町時代から続いている。昔は１０日かかった富士登山も簡便になったが、講の人たちは登山の苦しさを喜びと感謝に変えて富士山と向き合うのである。◆富士講習俗〔山梨県〕

ソメイヨシノが真っ先に咲く桜前線の上陸候補地の一つ、高知県宿毛市（すくもし）は、黒潮が磯を洗う温暖の地、３月半ばには山桜が野山を彩り、そのあとを追うようにしてソメイヨシノが花を咲かせる。この１０年間に２回も、全国で一番早く開花宣言をしたほどの土地なのに、ことしはまだ咲かない。宿毛測候所の開花予想担当者の動きが慌ただしい。一本の木に二つ以上の花が、別々の枝に咲けば「開花した」と判断するという。「早く開花宣言を出してください」と町の人たちは、ことしも日本一になることを期待している。

椀久こと、豪商椀屋久兵衛と傾城松山の恋模様を描いた舞踊で、長唄の名曲かつ難曲として知られる。椀久の幻想の中で、松山が椀久の衣装を纏って踊る処から、「二人椀久」と題された。世話物の代表的な演目であり、杵屋社中の長唄が舞台を盛り上げる。番組後半は、終戦直後から一時期、全国的に興業を広げた市川少女歌舞伎で、立女形として活躍した市川梅香さんに、当時の思い出話をきく。梅香さんは今も、少女歌舞伎発祥の「豊川をとめ歌舞伎」を中心に、演劇活動を続けている。◆舞踊　長唄「二人椀久」

　日本への出稼ぎ者の増加により、タイの農村部が急激な変貌をとげつつある。人の心まで変わりつつある状況を報告する。◆タイ北部のパヤオ県ドッカムタイ村。５〜６年前から豪華な住宅が目立つようになってきた。日本へ出稼ぎに行った者への目は冷たく、日本人との間にできた子供を抱えて強制送還された女性などは「金はない、夫はいない、子どもだけ」と近所からひどく軽蔑されている。さらに男たちも日本を目指すようになり、働き手を失った農村は崩壊しつつある。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、京セラ名誉会長で京都商工会議所会頭の稲盛和夫さん。

清和源氏の流れを汲み、十代二百三十年のあいだ続いた武家の名門・今川氏。しかしその姿は徳川三百年の下にうずもれてしまっている。戦乱の渦巻く時代に長く栄えた今川一族の謎を追う。（１０月８日〜１２月２４日放送、全１２回）◆今川氏七代氏親の正室であった寿桂尼。京の公卿中御門家から嫁ぎ、八代氏輝と九代義元の母となった。病弱な氏輝を助けて家督争いを収め、義元の死後はその子氏真の時代まで強力な政治力をふるった。死後は今川氏を守るため遺骸を館の鬼門に葬るように遺言するほどの女丈夫であった。

人生の転機を迎えたひとりの男とその家族を中心に、それぞれの生き方を模索する人々を暖かく描く。（９月３０日終了、全３回）◆明は妻・久子と娘・奈美との３人家族。自動車会社で設計の仕事に携わってきた。ある日リストラ計画で販売店への出向を命じられるが、設計ひとすじだった明にノルマは重くのしかかり、戦時中の空襲の際に自分を助けてくれて以来親代わりのように自分を支えてくれていた百合子のアパートを訪ねる。いっぽう久子は明の悩みに気づいていたが、何も話さない夫に不満を抱いており、奈美は妻子ある男性とつきあっていた。