「家」を中心に生きてきた日本の家族は、経済の高度成長が始まった頃を境に大きく変わってきた。個の追求の結果、いま家族はどうなっているのか、評論家・川本三郎さんが、ユニークな視点から家族を見つめてきた人々との対話の中から、この３０年の日本の家族関係の移り変わりと問題点を浮き彫りにする。（１９８７年６月９日、全３回）◆第一回は、家族をテーマにした作品を世に問い続けてきたシナリオ作家の山田太一さんを招いて家族論を展開する。

民営化により「国鉄」は「ＪＲ」に生まれかわる。国鉄１１５年の歴史を締めくくる夜を、全国各地からの生中継と著名人の国鉄に寄せる思いなどで綴る。司会は竹下景子と田畑光永。ＴＢＳ報道局制作。◆上野発青森行きの「津軽」に乗り込んだ作家・開高健と写真家・立木義浩は、旅と人間について語り合う。宮城県仙石線の新駅で、たった一日国鉄の駅となった東矢本駅からさとう宗幸、廃線となった福岡の筑前宮田駅からは米倉斉加年のレポート。野坂昭如はかつての国鉄貨物の中心地・新鶴見操車場跡を訪ねる。鉄道マニアの斎藤茂太、片岡仁左衛門、松本零士、真鍋博のメッセージ、全国の国鉄列車の走りを集めた“国鉄百景”などを、東京・丸ノ内の特設スタジオから最新生情報を交えつつ紹介する。

北海道から沖縄まで、日本各地の“絶景”に人気俳優が飛び、雄大なパノラマ、感動の一瞬など、工夫を凝らしてリポートする。司会は愛川欽也。ネイチャリング・スペシャル。◆北海道は「白鳥」をテーマに、萬田久子が一万羽の北帰行や日本一早い朝日を伝える。東北「ストーンサークル、古代からの伝言」田村高廣、中部・山岳「フォッサ・マグナ、土を食べるシカの謎」江守徹、近畿「水中テレビロボットが琵琶湖の底の謎に迫る」あおい輝彦、四国「７００年前に２１世紀の未来工学があった」浜三枝、九州「今に伝わる古代の舞・筑紫舞」若林豪、沖縄「ウンジャミ祭、幻の大地・八重干瀬」露口茂、と地域ブロックごとの報告が続く。

截金は平安時代、仏像仏画の装飾法として日本独自の発達を遂げたが、あまりにも精密なため鎌倉以後、完全にすたれていた。が、西出大三が２０年余りの研究の末、見事現代に復活させた。◆純金度９９％の金ぱくを極細に切り、彩色された木彫りの上に張り付けていく。若いころ、仏像修復を依頼された時、小さな地蔵菩薩に描かれた截金を見て、とりこになったという。

ひとつの町が消えようとしている。石炭の島・長崎県高島町である。円高・貿易摩擦に始まった産業構造の調整によって、国際競争力のない国内炭の切り捨てが始まり、６１年１１月、１２０年続いた三菱高島炭鉱が閉山した。炭鉱にすべてを頼ってきた一島一町一企業の高島町５５００人の人口は、閉山後半年で半減、極端な税収減により財政は悪化の一途をたどり、町はその機能を失い始めた。行政史上例をみない自治体の崩壊が始まっている。町としての生き残りにかける役場の苦悩と決断、町を捨てざるをえない町民たちの姿を追い、高島町の半年を記録したドキュメント。

日本の高度経済成長を支えた陰の主役の一つは、全国に８７万軒以上あるといわれる中小の下請け製造業者である。いま、それらの町工場に何が起こっているのか。３５年間旋盤工として働くかたわら作家活動を続ける小関智弘さんが東京都内にある町工場を訪ね、そこに生きる人々の意見と生活を３日間にわたってリポートする。（１９８７年５月１４日終了、全３回）◆第１回目は、工場の中でも特に、機械加工、メッキ、溶接のそれぞれを行う工場の人々に話をきく。

日本経済新聞紙上で１９５７年（昭和３２）３月に始まった「私の履歴書」のテレビ版。一時代を築いた人物が出演、自らについて語る。（１９８７年４月８日〜１９８８年９月２８日、全７８回。出演者の肩書・年齢は放送当時のもの）◆第５回は日本ビクター技術最高顧問の高柳健次郎さん（８８歳）。

「シルクロード」に続く本格的な日中共同取材番組の第２弾。世界４大文明の一つ、黄河文明を生み育てた黄河全流域を旅し、千変万化の大自然、文明と歴史、さまざまな民族の暮らしを混然一体としてとらえる。全１０回の大型ドキュメンタリーシリーズ。（１９８６年４月１３日〜１９８７年３月８日放送）◆最終集では、約５０００キロの旅をへてようやく河口へたどりつく。渤海沿岸に広大な河口を開く山東省は、古代東方文化の中心地であった。泰山と曲阜、ふたつの聖地の北を流れ、黄河は人を寄せつけぬ大泥濘地帯と化す。河と海は干潮時には干潟でさえぎられており、満潮になってはじめて、黄河は海へとたどりつく。