身体障害者の手足となって日常生活の介添えをする猿の訓練をアメリカからレポートする。◆「ヘルピングハンズ」とも呼ばれる介添え猿は、ボストン大学のメリー・Ｊ・ウィラード博士の発想から始まった。選ばれた種類はオマキザル。小さい猿の中で一番賢く、病気にも強く３０年も長生きする。現在フロリダのディズニーワールド、ディスカバリーアイランドで６３匹のオマキザルが飼育されており、赤ちゃん猿だけが訓練を受ける。訓練は盲導犬と同じように里親に預けて人間に馴れさせることから始まり、全米から３千人の里親希望が寄せられる。その後、ボストン大学で介添えの本格的な訓練を受ける。今、アメリカでは９匹の介添え猿が重度身障者と暮らしている。番組では、ボストン大学での訓練の様子と、ニューヨーク、ポートランド、ダラスで実際に介添えをしている例を紹介する。そこには猿と人間との愛情から生まれる信頼、身障者の生きる勇気と自立心を支える情愛の世界が展開される。

“パ”ワーのある笑福亭鶴瓶と上岡龍太郎が“ペ”アを組み“ポ”ップ感覚でくりひろげるトーク・ショー。話術を駆使して究極の“だべり”を展開、まじめな話題からやわらかいネタまで料理してのける。◆レギュラーではゲストを招かない番組だが、新春スペシャルとあって飛び入りゲストも加えて爆笑トークとなる。

東大寺戒壇堂の四天王像は、高い芸術性、精神性、さらに技術力で、天平彫刻の中でも最高傑作の一つとされる。戒壇堂近くで生まれ育った写真家の入江泰吉さんが、その表情について語る。◆東大寺大仏殿の西側に建つ戒壇堂は、鑑真和上によって日本で最初に築かれた戒壇である。四天王は、正式な僧になるための戒を授けるこの堂の二体の本尊を守っている。◆入江さんは４０年以上にわたって大和の仏像や風景を撮り続けてきたが、初めて撮影したのがこの四天王像という。「生きている眼差しにゾッとした」と、その時を回想する。

幸せそうにみえた一家が息子の登校拒否をきっかけに崩壊を始め、家族全員に対する精神治療が始まる。どこのでも起こりうる家庭の抱える問題を描く。◆登校拒否で家庭内暴力をふるう息子・浩一、仕事にかまけ家庭を省みない父・武史、娘の明日香は家庭に無関心。母の涼子も酒におぼれて異常行動を示すようになる。武史はついに入院を決意、家族病棟で親子４人の治療を受けることにする。

水俣病問題は患者切り捨てと“幕引き”への準備が進みつつある。高齢化した患者自らが“最後の闘い”という工場前での座り込みの模様や、環境復元の過程でわきだした問題を紹介し、公害のもたらしたツケの大きさと被害者不在の公害行政の現状を描く。

『オレゴンから愛』スペシャルの新作。◆今回の「新たなる出発」は、山本正義と竜志の父子が日本からオレゴンのおばの牧場に跡取りとしてやってくる物語。自然環境保全にめざめ山林を守ろうとする少年のけなげな活躍と、父子の愛情を描く。◆秋のドラマスペシャル

森林破壊の原因を構造的に捉えるとともに、先進国の熱帯雨林を守るための新しい取り組みを紹介、途上国の経済発展と熱帯雨林保全の両立のために日本が何をすべきなのかを探る。◆熱帯雨林の破壊が新たなジャパン・バッシングの火種になっている。熱帯木材の４０パーセントを買い占めている日本はＯＤＡ開発援助でも森林を破壊している。アマゾンでの開発計画は１５０万ヘクタールの荒れ地を作り出しただけだった。環境への配慮を欠いた日本の援助、そして膨大な債務を抱え開発を急ぐ途上国の事情を明らかにする。（１９８９年１０月４日終了、全３回）

戦後間もなく、原爆の惨状を子供たちが綴った作文集が広島、長崎で出版された。その子たちもいま５０代を迎え、あらためて被爆後の半生を手記にまとめようとしている。新旧の手記から「原爆」を背負って生きた歳月を追う。◆長崎市山里小・中学校の生徒３７人の作文をまとめた「原子雲の下に生きて」は１９５９年出版。広島市内の小・中学生１０５人の文章をまとめた「原爆の子」は１９６１年に世に出た。それから４４年、「原爆の子」名簿の消息欄には、行方不明や死亡の記載が多くなった。新しい手記のまとめに入ったものの、「どうしても書けない」という声や、「被爆者、被爆２世と白い目で見られる」という声も寄せられている。