トルコの首都・アンカラから車で４時間半、カッパドキア地方にある地下都市群を訪ね、その巧妙な内部のようすを探る。◆自然の生んだ奇岩がそびえるカッパドキア。地下の都市は、２世紀頃に迫害されていたキリスト教徒たちが隠れ場所として作ったもの。調査によれば内部は温度や湿度の安定性が高く、通気性もよいという。ティル村、デリンクユ村にある地下都市の内部のほか、東方キリスト教文化の先駆となった壁画のある洞窟教会、数々の出土品もみもの。

画家の池田満寿夫さんが、海の正倉院とよばれる沖ノ島を訪ね、巨大な岩が立ち並ぶ原生林の中で、古代の人々の祈りに思いを寄せながら、国宝の数々を紹介する。◆福岡県玄海町にある宗像大社には鏡・勾玉・唐三彩をはじめ、国宝・重要文化財が１０万点以上納められている。これらは玄界灘に浮かぶ孤島・沖ノ島の沖津宮祭祀遺跡から出土したもの。古代の人々は島の岩の上や岩陰などで鏡や馬具をささげ、国の安泰や航海の無事を祈ったと考えられる。１９５４年（昭和２９）から始まった調査の結果、４〜１０世紀半ばの長期にわたってこの島で祭祀が営まれたことが明らかとなった。

明るくたくましく生きている文楽人形師の娘おさとが老舗の鯛味噌屋「幾村」に嫁ぎ、のれんの再興にかける。（１９８８年４月１日終了、全１２７回）◆日中戦争が始まった昭和１２年の大阪。おさと（沖直美）は新町の目抜き通りにある鯛味噌屋「幾村」で通いの使用人として働き、５年前から寝込んでいる父親・亀造（芦屋雁之助）の面倒を見ていた。幾村は江戸創業の老舗で、家つきのご寮人・タツ枝（丹阿弥谷津子）と婿養子の清兵衛（長門裕之）が切り盛りしているが、あとつぎ息子は妻を無視して芸者狂いする放蕩者だった。

現在、教育界はさまざまな問題を抱えている。学校の１００年をふり返り、学校とは何かを探る３夜連続のシリーズ。（１９８７年１２月１５日開始、全３回）◆機会均等、実力主義が裏返って生み出した学歴社会、受験地獄。最終回は過熱一方の受験戦争のルーツをたどる。受験戦争は戦後高度成長以後のものという認識をされているが、過去にさかのぼれば大正期にその端を発している。１９１７年（大６）頃から、受験に失敗して自殺、娘の落第に両親が縊死などの悲劇が報じられている。昭和に入って、文部省は二度、試験をなくすための通達を出すが失敗に終わった。

今を生きる人々の悩みや不安など心の問題を主題にした番組。作家・大江健三郎氏の東京女子大学での講演「信仰を持たない者の祈り」を収録したもの。◆大江氏は２２歳で作家としてデビューして３０年、常に新しい文学の創造に挑戦し、核や人権など時代の当面する課題を正面から見据えてきた。無宗教を自覚しながらも、重い障害を背負って生まれてきた長男と暮らす中で、「最近、自分の中に祈りと呼ぶほかにないものが動くのを感じる」と語る大江氏。講演では信仰心を持つか持たないかにこだわりつつ、人間の根本にある祈りについて思索的に話を進め、人類が豊かに生きていくための環境を残しておくことが世界の祈りだと強調する。

エリート商社員の殺害事件、そして横領事件。数か月後に社内結婚した二人はお互いを犯人と疑いはじめる。入り組んだ謎を描く。原作：森村誠一。◆専務の娘との婚約を決めた秋本が殺害され、その直後に５０００万円の公金横領が発覚したが、事件はそのまま迷宮入りしてしまった。数か月後、秋本の同僚・三宅は、秘書課の弓子と結婚した。三宅が毎月多額の積立をしていることを知った弓子は、金の出所を疑ううちに横領の犯人は夫ではないかと思いはじめる。一方、三宅は秋本を殺したのは弓子ではないかと考えていた。

両側大腿骨頭壊死、それに慢性肝炎という重病を克服、新曲のレコーディングも果たした美空ひばりの退院後初のテレビ出演。年末特別番組。◆「愛燦燦」にはじまり、懐かしいヒット曲も含めて全１６曲を歌う。ゲストには萬屋錦之介、山城新伍、松方弘樹、横山やすしらを迎えて激励の言葉を贈る。

１本の糸を自分の手で紡ぎ、染め、織り上げていく芭蕉布は、琉球の普段着であり、野良着であった。原料となるイトバショウはバショウ科の多年草で、約２年で成熟する。その後、糸紡ぎから織りまで３年を要する。◆その気の遠くなりそうな作業を、沖縄県北部の喜如嘉の女性たちが伝承している。代表を務める平良敏子が戦争未亡人に声をかけ、保存会を結成。沖縄の心を紡ぎ続ける。