四季美しい姿を見せる南アルプス。この大自然の中で多くの人々が暮らしている。番組では、冬間近い南アルプスの風景を折り込みながら、南アルプスのふもと井川の人々と朝市、電源開発に従事する人々などを紹介してゆく。更に山岳写真家白旗史郎氏の撮影風景にカメラが同行し、その感動的な作品も併せて紹介する。

太平洋戦争中、大東亜共栄圏の指導者を養成するとして、東南アジア各国から日本へ留学させられた「南方特別留学生」。その数１９５人。彼らの当時を探りながら、その生涯を追うドキュメンタリー。福岡市が管理する墓地にただ１つ異邦人の墓がある。墓の主はマレー出身のサイド・マレスール。かつて南方特別留学生だったと伝えられているが、旧制福岡高校の南特生名簿にマレスールの名前はない。代わりにノンチックの名前が目にとまる。調べていくうちに、この２人は同期・同郷だったことが分かってくる。１人は異国で志半ばに果て、１人は戦後独立した祖国で名を成していた。さらにマレスールの弟が、兄の墓の所在を長い間探していることもわかった。

興福寺の阿修羅像は、その美しい顔と６本の手のしなやかな姿で古来から人気のある仏像である。この阿修羅像に魅せられた演出家の野田秀樹さんが、興福寺を訪ねる。◆阿修羅はもともと人々に釈迦の説法を聞かせないように邪魔をする悪だった。ところが説法を聞いているうちに感化され、仏門に帰依する。それから釈迦を守る守護神として活躍することになった。その若々しい顔は、仏門に帰依した最高の喜びを表している。

遠くイタリアまで赴きながら夢破れた女性が心機一転、現地で珍商売を成功させる。セゾンスペシャル。◆ファッションデザイナーを目指してミラノに渡った田代優子（大地真央）。しかし夢はかなわず、南国シチリアでタコ焼き屋を開店する。土地の温かい人々に見守られ、店は大繁盛する。やがて坂口（林隆三）という中年男と知り合った優子は、しだいに彼に惹かれていく。坂口はかつてオペラ歌手を目指し、挫折した過去をもっていた。

「シルクロード」に続く本格的な日中共同取材番組の第２弾。世界４大文明の一つ、黄河文明を生み育てた黄河全流域を旅し、千変万化の大自然、文明と歴史、さまざまな民族の暮らしを混然一体としてとらえる。全１０回の大型ドキュメンタリーシリーズ。（１９８６年４月１３日〜１９８７年３月８日放送）◆第１集は、中国の歴代王朝が威信をかけてつきとめようとした河源探索の旅。チベットの結婚式、黒くび鶴、白唇鹿、高原の真珠といわれるオーリン、ザーリンの２湖、無数の沼沢が星空のように散らばる星宿海。難航の果てにたどりついた黄河の源は、夢幻のような高原の一角にあった。

家庭を捨てた母と３０年ぶりに会った息子。しかし、母は末期ガンで余命いくばくもなかった。献身的に看病する母の今の夫は、妻の願いをきいて安楽死の刃を握る。母と子、夫婦の絆を描く。◆おもちゃ会社に勤める暁を、見知らぬ男が訪ねてくる。「１２年前に結婚した典子という妻がガンで入院している。典子は実は暁の母であるから、会ってやってほしい」というのだ。５歳のときに捨てられて以来、母はいないものと思っていた暁は、複雑な思いだったが、妻・優子の勧めもあり会う決心をする。

「科学の目」を持って世界を紹介する、科学ドキュメンタリー番組。（１９７５年４月６日～１９８６年１２月２８日）◆オホーツク海は、凍る海としては世界で最も緯度が低い。つまり流氷の南限である。流氷下の海底は、もの静かな、ファンタジックな世界であった。荒波にもまれ、けずられ、シャーベットのように円やかな氷塊が幾重にも重なった、洞窟のようでもある。鍾乳洞を思わせる、丸く細長い氷もある。ところどころ、うすい氷から水色の光が射し込んでいるオホーツク海が凍ってゆく様子を撮り、同時に海岸や海底の様々な生物の様子を記録した。

筋萎縮性側索硬化症（ＡＬＳ）という難病を背負いながらも、同じ病に苦しむ全国の患者たちの組織化を目指して活動を続け、ついに「日本ＡＬＳ協会」の設立を果たした川口武久さんの４年間を描く。（１９９４年に逝去）◆川口さんがＡＬＳにかかったのは１９７３年。全身の運動神経を侵されていく毎日のなかで全国にメッセージを送って患者組織の結成を目指した。また治療法の解明や機器開発のために、北海道や山陰地方、さらにグアム島までも車椅子の旅を続けた。その熱意と努力は１９８６年春の協会設立となって実を結んだ。