時代と自分が合わなくなり落ち目になったロックシンガーが、世の中の流れとの葛藤に悩みながらも出直しを図るまでを描く。◆人気絶頂のロックシンガー・片桐行人（萩原健一）。しかしコンビを組んでいた作詞家・藤崎拓（宇崎竜童）が、時代からのずれを指摘してガンで死んでから、彼の歯車は狂い始めた。感覚の新しい藤崎の弟子・白根恵子（樋口可南子）と組むように言い残されていたが、それを受け入れず、かたくなに自分のスタイルを崩そうとしない片桐。新曲披露のコンサートでのノリも悪い。ポリープができて声が出にくくなったが、失敗を恐れて手術を受けない。フォローしていたメンバーがソロで立ち、片桐はいよいよ取り残されてゆく。

四方を山に囲まれた甲斐に生まれ、あと１０年生きていれば天下をとれたといわれる武田信玄。本音の生き方を求めて肉親や家族との間で悩みながらも、人材育成や領国経営に近代的な手腕をふるった生涯を描いた大河ドラマの総集編。（１９８８年１２月２４日～２８日、全５回）◆長尾景虎改め上杉政虎が、信濃・川中島に出陣した。晴信改め信玄は政虎を攻めるために“キツツキの戦法”をとったが気づかれ、本陣へ攻め込まれた。作戦失敗を知らせようとした山本勘助（西田敏行）は力尽き、討ち死に。ついに八幡原で両軍が激突、武田軍は防戦一方で、信玄の弟・信繁（若松武）らも討ち取られる。

京都・西本願寺の一画、滴翠園の池に面した三層の楼閣・飛雲閣を演出家の蜷川幸雄さんが訪ね、その美を探る。◆飛雲閣の外観は二層、三層を左に寄せた左右非対称で、変化に富み自由な造形である。「柳の間」「茶室」などのある一層は静かな落ち着いた雰囲気、二層の「歌仙の間」は壁に三十六歌仙の「歌仙図」が描かれ、ここで人々がにぎやかに詩歌に興じた様がしのばれる。天井、壁すべてを金色に施した三層の「摘星楼」は、その輝きで客人の眼を奪ったに違いない。「各層それぞれに違う宇宙が広がり、不思議な体験を連続的にさせられる。まるで一つの芝居を見るような建物で、大変な演出だ」と蜷川さんは感動する。

１９４２年（昭和１７）中国奥地の風俗・生活等の調査の為、内蒙古からチベットの首都ラサへの巡礼行を敢行した西川一三（当時２２歳）。彼の足跡を４回にわたって紹介する、その第１回。◆取材班は西川の著書「秘境西域八年の潜行」をもとに６０００キロの旅に挑戦するべく、内蒙古の大草原を出発する。遊牧民達の生活を紹介しつつ砂漠に入り、シルクロードの交易市・アラシャンに到着。西川が修行したアラシャンのラマ廟であるバロン廟の荒廃した風景の中、西川一三を覚えているという僧と対面する。死の大砂漠テングリをラクダで進んで行く取材班の行手に驚異の大自然が広がる。

日本経済新聞紙上で１９５７年（昭和３２）３月に始まった「私の履歴書」のテレビ版。一時代を築いた人物が出演、自らについて語る。（１９８７年４月８日〜１９８８年９月２８日、全７８回。出演者の肩書・年齢は放送当時のもの）◆第４７回は日清製油会長の坂口幸雄さん（８７歳）。

熊本県内各地で歌い継がれる「ふるさとのうた」を紹介するシリーズ（１９８８年４月３日～１９８９年３月１９日放送、全５０回）。『肥後シリーズ』は１９８６年日本民間放送連盟賞（放送活動部門）受賞。◆明治時代の終わり頃に歌われていたという「どっこいせ節」。農村では収穫のあとの村まつり、漁村では漁から帰ってきた時、酒盛りの席で必ず歌われた座敷唄である。

岡山県阿哲郡神郷町釜村に住む農民作家、太田忠久さんの生活を通して、日本の農業政策を問う。◆日本農民文学賞を受賞した太田さんは作家であると同時にこの村に代をかさねてきた農民でもある。その作品は、いずれも日本の農家のおかれた厳しい現実を徹底したリアリズムで描いたもので、転作・減反などの農政にゆさぶられている過疎の山村の現実そのものでもある。両眼を病に冒され、原稿を書くことさえおぼつかなくなってきた太田さんの暮らしを追う。

代議士として成功する男の野望のために、４人の女性の人生は別居、忍従、嫉妬、挫折と振り回される。“女はいつも涙する”。原作：家田荘子。（１９８８年４月４日〜５月２３日放送、全８回）◆第一回「夫の実家」。代議士、清原正明（高品格）の次男・健二郎（山下真司）は平凡な生活を求めて、就職も結婚も自分で決めた。妻・律子（大原麗子）は元バスガイド。ある日、正明が脳いっ血で急死した。律子は、亡父の跡を継いだ息子の妻として、政界と関わることになる。