アジアの人々が“何をどのように食べてきたか”を各地の食生活と風土の中に探り、食べものがいかに民族の精神を形づくり、文明に影響してきたかを紹介するシリーズ。（１９９０年１月５日〜１０日放送、全５回）◆第２集「カレー」。過酷な気候・風土を背景に壮大な民族の交流が作り上げたカレーについて探る。大航海時代の西洋の文化とともに伝わったスパイス。インドのカレーには、さまざまな民族の香りがあるという。南インドではコショーなど腐敗を防ぎ内臓の働きを活発にする香辛料を大量に使い、ベジタリアンは色や香りの強い香辛料を大切にしてきた。カレーの中に食を楽しんだ人々の知恵を見る。

太平洋戦争の時代の、日本とアメリカそれぞれの二人の新聞人の生き方を通して、ジャーナリストのあるべき姿を問う。◆アメリカ側はワシントン州シアトル沖にある島の週刊新聞ベインブリッジ・レビューの社主兼編集者のウォルト・ウッドワード。日本は毎日新聞西部本社の編集局長・高杉孝二郎。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆なだいなだ：作家・精神科医。１９２９年東京生まれ。医局員時代に「文芸首都」に参加する。井の頭病院精神科を経て、都立荏原病院精神科研究員。作品に「海」（１９５９）、「お医者さん」（１９７０）など。

タタール語で「眠れる土地」を意味する「シベリア」。東西８０００キロに及ぶ酷寒の地で厳しい自然と闘いつつ、昔ながらの伝統的な生活を守り続ける北方少数民族たちの姿を２夜連続で紹介する。◆第２回はユーラシア大陸最東端デジネフ岬から３０００キロを走破する。トナカイ飼育民チュクチ族は雪下の苔を求めて一年中移動する民族。北太平洋沿岸のチャブリーノの村にイヌイットを訪ね、昔ながらのセイウチ漁を取材する。さらに内陸へ進み最古の狩猟民ユキガールに出会う。またスターリン時代の流刑地であったコリマ街道で、当時流刑囚だった老人から話を聞く。

人知れず続けられている文化財の保存修理。それがはるか昔の仏像彫刻の驚くべき生命力を支えている。三十三間堂の中央に端座する国宝・千手観音坐像が、平成元年に解体修理された。湛慶最晩年の傑作とされる３メートル余の巨大像。天蓋から台座まで完備した唯一の千手観音像として価値の高い仏像の修理は、美術院の手によって慎重に行われた。半年間の長期取材により、この解体修理の全容を紹介する。◆【国宝】千手観音坐像〔妙法院〕、阿弥陀如来及両脇侍立像〔浄土寺〕、持国天・増長天立像〔東大寺〕◆重要文化財】千手観音立像〔妙法院〕

「一期の晴れを飾る」甲胄は戦に命をかける武者の晴れ着。源平時代から燃え立つ赤の鎧が多用された。敵を威圧する赤糸威鎧は晴れがましく、死んで辱めを受けまいと武士たちは華々しさを競った。壇ノ浦で鎧二領をまとって海に身を投じた平知盛。源義経の鎧と伝えられる赤糸威鎧は今も大山祇神社に残る。◆栄光と滅んだものの対比を無言で物語る鎧。赤色にこだわった武士たちの美意識と心情を解析し、甲胄の歴史を振り返る。◆【国宝】赤糸威鎧〔大山祇神社〕、赤糸威鎧〔春日大社〕◆【重要文化財】鉄黒漆五枚胴具足〔仙台市博物館〕◆【その他】壇之浦合戦絵図〔赤間神宮〕

孤独感にさいなまれ、いまにも崩れそうな心をもつ女と、家庭を失い傷ついた孤独な男がバーで出会い、ふとしたことから一緒に旅をすることになった。つかの間の旅に出た大人の男女の哀愁を描く。◆江藤萌子（佐藤友美）は４３歳、独身のファッションアドバイザー。はつらつと仕事をこなしているが、最近一人暮らしの寂しさや生きることのむなしさを強く感じていた。大学時代の親友・悦子の悲報が入る。萌子と悦子は昔、ともに高杉という男を愛したが、結局萌子が失恋し悦子が高杉と結婚した。悦子の葬儀に出席すれば当然高杉に会うことになる。気の重い萌子は半年前、一緒に旅をする約束をした男・今宮良一（田中健）のことを思い出した。

農業を営む男が情熱を失い田畑の売却を考えている時に、娘が夫と渡米して農業をやるという。◆修造（田中邦衛）は５３歳、５年前に事故で長男を亡くして以来、農業を捨て、長距離運送の仕事をしようかと考えている。そんな折、娘の祐子（山口智子）が長男の友人だった和也（伊原剛志）と結婚したいといってくる。修造と妻の稲子（馬渕晴子）は反対する。実は長男は和也が運転していた車に乗り合わせていて、事故に遭い、死亡したのだった。家族の反対にも祐子たちの気持ちは変わらず、２人はアメリカに行って農業をやるという。