長崎で被爆し、東京で３７年間の教師生活を送った江口保さんは、停年まで３年を残して辞職し、家族と別れてひとり広島に移った。広島への修学旅行に一つの型を作った江口さんの新しい旅立ちを追う。◆１９７５年、新幹線が博多まで開通したのをきっかけに、勤務先の上平井中学でヒロシマへの修学旅行を実現させた江口さん。被爆者の証言を聞いたり事前学習をするスタイルの旅行を定着させ、上平井方式と呼ばれるようになったこの旅行を全国に広めた。しかし、年々年老い、逝く被爆者の声をより多くの学生につたえてもらうために自ら広島で行動する決心を固めて広島に移り住んだ。

自らの人生に疑問を感じはじめた女性３人が、それぞれの悩みを胸に“グルメ旅行”へ出発、旅先で新たな人生を発見する。（１９８６年４月１日〜４月３日放送、全３回）◆栄子（香山美子）は女子高時代の後輩・みつ江（酒井和歌子）にさそわれて百合（岡江久美子）を加えた３人で、長崎・雲仙、博多、神戸へ３泊４日の旅に出た。福岡に単身赴任中の夫を訪ね、探偵社の調査で知った浮気を自分の目で確かめたいという目的もあってのことだった。３人は、相手の女のアパートを訪ねて真相を問いただす。

開園５０周年を迎えた名古屋の東山動物園の半世紀をふり返るドキュメンタリー。初代園長、北王英一氏や関係者の証言で、開園に至るあゆみから、戦中の悲話、戦後の「ぞう列車」などのエピソードを盛りこみ変遷を語る。◆北王さんは１９１３年（大１２）から動物園に勤め、１９２７年（昭２）に園長となった。１９４４年（昭１９）、空襲の激化により猛獣射殺令が出たが、必死の嘆願で４頭の象を守る。しかし２頭は栄養失調で死に、戦後日本に象は２頭いるだけとなった。上野動物園にもいない象を東京の子供たちに見せるために、「ぞう列車」が走ることとなる。

長崎・高島砿閉山までの過程を克明に記録するドキュメンタリー。◆長崎港の沖合に浮かぶ島・高島。周囲６．４キロのこの小さな島は三菱グループ発祥の地で、戦後の日本経済を地底から支えた炭鉱のある島であった。１９８６年（昭和６１）１１月２７日、産業構造の転換によって累積赤字３５０億円を抱えていた高島炭鉱は閉山に追い込まれ、１０５年におよぶ歴史に幕を降ろした。

信州人物風土記は、明治～昭和期に各界で活躍した長野県ゆかりの人物を取り上げ、その功績と生涯を解説するシリーズ。◆今回は、長野県豊田村出身の国文学者で、数々の唱歌の作詞でも知られる高野辰之を紹介する。高野辰之は１９１０年に東京音楽学校の教授となり、邦楽、歌謡、演劇の芸態とその歴史の研究で、先駆者として未踏の分野を開拓した。１９２６年からは東京大学で日本演劇史を講じた。後に大正大学教授に就任。晩年は、長野県野沢温泉村の別荘で過ごした。高野が作詞した「故郷」「おぼろ月夜」「紅葉」「春がきた」「春の小川」などの唱歌には、彼が幼少期を過ごした信州の自然が織り込まれている。郷里の豊田村には「故郷」の記念碑や高野辰之記念館があり、野沢温泉村には「朧月夜」歌碑が建てられ「おぼろ月夜の館」記念館がある。

毎週日曜の朝に、岡山・香川県下の町おこし、村おこしにつながる新しい動きを、産業や観光の面から捉えて伝える。また、その週のホットニュースにもスポットを当てる。

　日本人にとって“国際性”とは何か。また経済摩擦の背景、本質となっているものは何か。ある日本人一家の１か月半にわたる訪米を密着取材しながら体験的に追跡していく。◆東京・小金井市に住むエッセイストの宮本美智子さんの一家は１８年間アメリカで生活し、２年前にアメリカで生まれた娘のリーナさんとともに帰国したばかり。この訪米は宮本さんたちにとって自分とアメリカとのかかわりを確認する旅となった。

エミリー・ブロンテの名作「嵐が丘」をモチーフに、舞台を昭和初期の日本に移して、風雲児・猛の波乱に富んだ人生を描く。（１９８６年６月３０日〜１９８６年１０月３日放送）◆甲州の裕福な一家・三枝家に拾われた猛（渡辺裕之）と三枝家の娘・ひかる（田中美佐子）はいつしか愛し合うようになるが、周囲の目は冷たい。三枝家の没落、ひかるの政略結婚などの困難に負けず、猛はその生涯をかけて、ひかるへの愛を貫く。