江戸の天才画家・久隅守景は、狩野探幽門下の逸材だった。若くして師とともに加賀に赴き、藩主前田家の菩提寺・瑞龍寺の襖絵を描く。その成功を認められて探幽の姪をめとり、地位と名声を確立した。二人の子にも恵まれ安定した生活が続くはずであったが、子の不品行により自ら破門を申し出た。そして金沢に身を寄せ、今日まで残る幾多の傑作をものした。晩年に描かれた「夕顔棚納涼図」には、農家の家族の仲睦まじい姿が描かれている。温かい家庭を夢みながら孤独のうちに世を去った彼の皮肉な一生を追う。◆【国宝】納涼図（東京国立博物館）【重要文化財】瑞龍寺法堂・仏殿・山門・総門・廻廊、四季耕作図屏風【その他】楼閣山水図襖、瀟湘八景図屏風

戦争を知らない若者たちが、太平洋戦争を体験した人々と出会うことで戦争の悲惨さ、戦争の真実を発見するドキュメント・シリーズ。この年のテーマは“外国人が見た日本人”。案内役は作家の山田太一。◆高校２年生の神山優子さんが台湾を訪ねる。旅を通して、戦争中台湾で歌われていた「サヨンの鐘」に秘められた事実を追い、台湾の人々を戦争に巻き込んでいった日本の植民地政策を明らかにしていく。

人間とがんとの戦いを見つめるシリーズ第１０弾。がんを取りまく医療、社会、人々がこの１０年にどう変化してきたかを踏まえ、がん克服の可能性を探る。◆日本人の死亡原因の１位をがんが占めて１０年。２１世紀まであと８年となったこの回のテーマは、「２１世紀、がんは克服できるか」。ＣＴスキャナ、内視鏡など医療技術の進歩により、早期発見、早期治療が可能になってきた。内視鏡を通して手術を行うマイクロマシンの技術も検討されている。◆がんの末期患者が最後の日々を過ごす施設、ホスピスは、“敗北の医学”と呼ばれた時代もあった。しかし、残された日々をより良く、最後まで生き抜こうよすることも、「がんを克服する」ことではないだろうか。患者の姿を通して考える。

奈良・東大寺の南大門仁王像の傷みが進み、解体修理が行われることになった。阿・吽２体のうち「阿形像」の修理の模様を伝える。◆阿形像の体内から発見された納入経から読み取れるのは、運慶と快慶の名であった。運慶総指揮の基に、阿形像は運慶と快慶が、吽形像は定覚と湛慶が制作したと推定される。８００年ぶりの解体修理は多大の成果を上げ、１９９３年（平成５）１１月完了した。

金曜ドラマ「ずっとあなたが好きだった」（１９９２年放送）の続編として放送された「誰にも言えない」の総集編に、新シーン・新事実を加えた特別版。（全２回）◆総集編２。偶然、麻利夫（佐野史郎）と加奈子（賀来千香子）の過去の関係を知った麻利夫の妻・美雪（山咲千里）は、激しい嫉妬の念を燃やし、病的な復讐を試みる。事情を知った美雪の母・愛子（野際陽子）の嫌がらせもエスカレートし、加奈子は夫・伸吾（羽場裕一）に全てを告白。「麻利夫と私との間には、誰にも言えない秘密がある」と。一方、麻利夫は改めて加奈子を諦められないことを確認、手中に入れた社長の椅子を手放そうとする。

領国を堅固に治め、民心をつかんだ戦国時代の名将・武田信玄。武田流兵法書「甲陽軍鑑」には“人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、あだは敵なり”という歌が記されている。風林火山で有名な「孫子の旗」の勇将の顔と、夢窓国師・快川国師などを招く禅に帰依した教養人の顔をあわせもつ信玄。その命日４月１２日にちなみ、甲斐の国山梨県の４月はいまも武田信玄一色に染まる。誕生の地から菩提寺まで、ゆかりの場所をめぐって足跡をたどり、今日まで慕われる信玄の人物像を描く。◆【国宝】楯無鎧（菅田神社）【重要文化財】武田信虎画像（積翠寺）、四脚門（恵林寺）【その他】孫子の旗（快川国師揮豪・放光寺）、渡唐天神像（武田信玄筆・恵林寺）

被爆都市・ヒロシマが、被爆資料を通して世界に発信し続けているメッセージはどのように受け止められているのか。一人の童話作家が各国の戦争資料館をめぐってその実際に接し、ヒロシマ発のメッセージが普遍性をもって世界に受け入れられるために欠けているものを探る。◆童話作家・児玉辰春さんは、原爆遺品にまつわる話を素材に童話を書き続けてきた、いわばメッセージの送り手のひとり。ヒロシマが各国・各地方に送り続けてきた被爆資料はどう見られているのかを検証するため、札幌、京都、舞鶴、アメリカのワシントンやシンガポールの戦争資料館を訪れる。

岡倉大吉・節子夫婦と５人の娘たちの暮らし振りを追いながら、それぞれの世代が抱える問題や悩みを主人公たちと一緒に考え、語り、何が本当の幸せなのかを問いかけていくホームドラマのシリーズ第２作。（１９９３年４月１５日〜１９９４年３月３１日放送、全４９回）◆第一回。岡倉大吉（藤岡琢也）・節子（山岡久乃）夫婦の次女・五月（泉ピン子）が嫁いだ中華料理屋「幸楽」が、５階建てのビルになった。この新装開店を祝い、長女・弥生（長山藍子）ら娘達が岡倉家に顔を揃える。大吉は久しぶりの大パーティーに興奮気味で、板前修業中の腕前を披露できると大張り切り。娘達もそれぞれの近況に花を咲かせる。