甲府盆地の桑畑のただ中に立ち並ぶ３本の大ケヤキを中心に、人々の心の風景として存在してきたケヤキと人間、そして生き物たちのこまやかな関わり合いを描く。◆甲府盆地の南東、見渡す限り桑畑の続く豊富村。この村のある家の庭にケヤキはそびえている。この家の家相図には「ここらの木切るべからず」と記され、さすがに勢いは衰えを見せるものの樹齢は約５００年を数える。老いて節くれだった幹には大小のうろがあき、小動物や小鳥の住みかともなってきた。

正倉院にある金属工芸品に魅せられて、上代の意匠を基本に独自の金属工芸の道を歩んできた金江宗観。作品は、日本間のふすまにさりげなく付けられている引き手などの飾り金具。◆材料は金・銀・銅・鉄。技は彫金・らでんなど、あらゆる技法を駆使して金属工芸と取り組んできた。東大寺の唐鞍や香炉の修復など上代の技術を忠実に再現する一方、高い技術力を生かして現代的な創作にも挑戦する。

画家・杉本健吉さんが東大寺を訪れ、大仏殿や大仏の美しさの魅力を語る。◆電車が奈良の町に近づくとまず目に入るのが、東大寺大仏殿。正面の幅５７メートル、高さ４７メートル、世界最大の木造建築である。その大仏殿に入るとだれもが仰ぎ見る巨大な仏が東大寺の本尊・蘆舎那仏坐像。高さは台座を含めて２１メートル。創建当時は金色に輝いていたその大仏が納まる空間は、天井までの高さ３０メートル。９階建てのビルに相当する。◆杉本さんは、４０年以上も東大寺の伽藍や大仏を見続けてきた。「ここから見るのが一番美しい。やはり、同じ高さではなくて、仰いで見るようにできているのだと思う」と、杉本さんは大仏を仰ぐ。

囲碁の指南がとりもつ縁で、人はいいが平凡な夫と、経営手腕と広い趣味を持つ社長とのあいだで心を揺らすようになった妻。夫婦に初めて訪れた危機、大人の愛のあり方を、ほのぼのとしたタッチで描く。◆美人で家柄も良い妻・風美子と、捨て猫に餌をやるような、優しいが平凡な夫・大輔。しかし大輔は会社では社長・勝山の碁の対局相手であった。大輔に碁を教えたのが風美子と知って、勝山は一度対局をと迫る。説得されて対局に応じた風美子の美しさりりしさに、数年前妻を亡くしている勝山はいつしか夢中になる。

“麻薬警察”と異名をとるマイアミ警察の２４時間を密着取材。そこからアメリカ社会が抱える病根を徹底的に探る。◆いまアメリカで最も過激な犯罪都市、マイアミ。ここにはかつての華麗なフロリダの保養地のイメージはなく、殺人発生率は全米一、アメリカの麻薬の半分はここを通る。また中南米の激動する政情を背景に、亡命者・難民も多い。

四方を山に囲まれた甲斐に生まれ、あと１０年生きていれば天下をとれたといわれる武田信玄。本音の生き方を求めて肉親や家族との間で悩みながらも、人材育成や領国経営に近代的な手腕をふるった生涯を描いた大河ドラマの総集編。（１９８８年１２月２４日～２８日、全５回）◆長尾景虎改め上杉政虎が、信濃・川中島に出陣した。晴信改め信玄は政虎を攻めるために“キツツキの戦法”をとったが気づかれ、本陣へ攻め込まれた。作戦失敗を知らせようとした山本勘助（西田敏行）は力尽き、討ち死に。ついに八幡原で両軍が激突、武田軍は防戦一方で、信玄の弟・信繁（若松武）らも討ち取られる。

岩手県内を中心にオールロケしたＳＦドキュメンタリー・ドラマ。原作：高橋克彦。◆地球滅亡、それは１９９Ｘ年。それを救う方法はただひとつ、ダビデの星、六芒星の謎を解くこと。六芒星は岩手の山中６ヶ所を結んだところにあらわれる。主人公・信子の冒険がはじまる。

東北・上越方面へ向かう定期夜行列車の中で唯一残る急行「八甲田」に乗り込んで上野から青森へ。深夜の停車駅の表情を織り込みながら１２時間の人生ドラマをレポートする。◆「八甲田」はいま残る夜汽車の最長距離列車。上野発２１時１８分、青森着９時８分、７３５．６キロを約１２時間で走り抜ける。北海道まで帰る出稼ぎの労働者、セールス回りのサラリーマン、観光旅行のＯＬ、受験生、駅弁売りなど、北を目指す乗客は様々だ。