昭和初期、結核にかかったことが原因で婚家を追われた母と子の悲しい愛をサンゴ礁の海を舞台に描く。◆さわは前夫との間の子・稔を連れて、鹿児島の船員・平田のもとに後妻として嫁いだ。しかし結核にかかり、稔とともに追い出されてしまう。故郷の奄美大島に帰ったさわは老母・ちかと暮らすことにした。島の人々はさわたちに優しい。

１９８８年１１月、ＮＨＫ放送文化研究所が行った「昭和世論調査」をもとに、激動の昭和を個人史と全体史の両方から分析、表現する。◆調査は１６歳以上の男女３６００人を対象に、昭和という時代の時代観を２９項目にわたって質問し、２５７３人（７２パーセント）から回答を得たもの。この調査の結果をもとに日本人の“昭和像”を評論家の草柳大蔵さんが分析するほか、女優の沢村貞子さん、美容家の山野愛子さん、脚本家の早坂暁さん、作家の安岡章太郎さん、漫画家の水木しげるさん、女優の森光子さん、ジャズドラマーのジョージ川口さんなどから昭和の個人史を聞き、価値観を探る。

“学校不適応”になった娘とその母親の物語を通して、義務教育の現状を追求する。（１９８９年１０月５日〜１０月７日放送、全３回）◆第一回。美容室を経営している史子は９年前に夫を亡くし、中学生の夏美と小学生の春男の３人暮らし。夏美はささいなことからいじめにあい、学校へ行かなくなり、母親にも背を向け部屋に閉じこもる。そして、母親の前に姿を現した娘は、髪を黄色に染めていた。

親子３代にわたる刑事一家を主人公に、事件を解決していく中で、ひよっこ刑事が成長していく過程を笑いと涙でつづる。◆剛（川谷拓三）の幼なじみの正二（上方柳次）が借金を苦に自殺した。数日後、正二の息子で高校生の道夫（植草克秀）が窃盗で検挙される。剛が身柄を預かるが、担任の三枝（岡田奈々）から退学処分と聞いた道夫は姿を消す。「高校に爆弾をしかけた」という脅迫状が阪南署に届いた。（全２回）

兵庫県小野市にある極楽山浄土寺は、鎌倉初期に浄土宗の高僧重源が建立。８００年の時を経た今日も当時のままの姿を残す、貴重な国宝の１つである。宋風建築様式の浄土堂と同時進行で作られた阿弥陀三尊像は、若き日の快慶作といわれる。◆山辺に沈む夕日が堂内の床板に反射し、堂内の三尊像が黄金色に浮かび上がる。まるで極楽浄土がそこにあるように弥陀の本願が地上に具現され、衆生救済の道を開く。◆【国宝】浄土寺浄土堂（阿弥陀堂）、阿弥陀如来及両脇侍立像〔浄土寺〕、山越阿弥陀図〔禅林寺〕◆【重要文化財】當麻曼荼羅図〔當麻寺〕

旅の楽しみに、駅弁をあげる人は多い。ブームといわれる駅弁にスポットを当て、業者間の激烈な争いをさまざまな角度からレポートする。◆駅弁はいまや駅だけでなくデパートやスーパーマーケットでも人気イベントに据えられている。駅弁の数も全国で５００種、各業者は新作・珍味・目立ったパッケージなどあの手この手で人気駅弁づくりに懸命である。三つの駅弁業者が競っている上越新幹線長岡駅を中心に、過熱する駅弁戦争の実態を探る。

春、土佐湾から高知県の河川に稚アユの遡上が始まる。放流ものが主体となった日本のアユ、高知県は自然遡上のアユが見られる数少ない県のひとつである。「年魚」としてのアユの一生を追い、天然アユの現状を探る。◆高知県のアユ漁獲は昭和５０年に２２５７トン、昭和６２年には１０５２トンと約１０年間で半減している。乱獲、台風などの自然災害、ダムなどの開発など河川はアユにとって棲みにくい条件となっている。生息域はほぼ日本に限られ、地球上で２００万年を生きてきたアユは川魚の代表格で、日本人とは縄文時代からのつきあいである。

過疎化と高齢化が進む山間の町の老人福祉への取り組みを追い、そのあり方を考える。◆中国山地の奥深くの島根県瑞穂町では、町を離れる若者が相次いでこの３０年間で人口が半減、６５歳以上の高齢化率はおよそ３０パーセントと全国平均の１１パーセントを大きく上回っている。町の社会福祉協議会に勤めている５１歳の男性は、老人が多くなる町では住民がお互いに支え合うことが必要と考えてボランティア活動に力を注いでいる。福祉の町づくりに情熱を燃やす彼と独居老人の生活を描く。