体罰が生徒の教育に必要と信じ込んでいる体育教師に一人で立ち向かい、荒廃した中学校を変えようとする女性教師の奮闘を描く。

『義志倭人伝』にもマルコポーロの『東方見聞録』にも、日本は真珠の国と記されている。古代日本では、国際通貨として官有化され一般の使用はタブーとされてきた。真珠はまた不老不死の霊薬として、古今の独裁者が躍起になって求めた。◆装飾用真珠に日本が参入するのは明治以降。養殖真珠が御木本翁の手で成功する偉業や、日本の真珠工芸の粋を集めた最高品、幻のジュエリー『矢車』の数奇な逸話を併せ紹介する。◆平螺鈿背円鏡、聖武帝礼冠残欠、聖武帝礼履〔正倉院〕、矢車〔ミキモト博物館〕

かつて染料として使われた紅花は山形が主産地で最上紅花として全国に広く知れ渡った。山形県の県花ともなっている紅花のルーツをたどる。◆紅花は最上川舟便と酒田港西廻り航路を利用して京都に運ばれ、華やかな京文化を支えた。その紅花が西方はるか３０００キロの中国の地で花を咲かせている。中国に紅染めの歴史はあるのか、染料紅を求めて中国新彊ウィグル自治区に取材する。

学問の神様として全国に１万２，０００社もある天神社。平安時代、異例の出世をした文官の菅原道実が神様となった社である。宇多天皇が権力者藤原氏の専横を抑えるため道実を右大臣に登用したことに藤原氏が反発、陰謀によって道実は非業の死を遂げる。菅原一族は離散し、一族の慟哭と道実の怨霊のたたりと思われる不幸が相次ぐ。道実の魂を鎮めようと天神社が造られた。◆古墳造営の土師氏を先祖とする道実の家系と時代相を探る。◆【国宝】北野天満宮の本殿、石の間、拝殿及び楽の間、東大寺金堂、十一面観音立像〔道明寺〕◆【重要文化財】北野天満宮廻廊、阿弥陀如来像〔喜光寺〕

ルネッサンス芸術を拓いた二人の巨匠は、全く対照的な運命をたどった。１４７５年にミケランジェロが誕生した時、２３歳年上のレオナルド・ダ・ヴィンチは若き日の代表作「受胎告知」を完成させ、すでに天才の名をほしいままにしていた。しかし、ダ・ヴィンチはその誇り高さの故にメディチ家の当主たちとの折り合いが良くなく、晩年はフィレンツェを去り、１８年間のミラノ滞在の後フランス王の居城で６７歳の生涯を閉じた。同時代に生きた二人の巨匠の生涯の光芒、作品を参照し、その芸術を追求する。◆副音声は英語

千葉県内に伝わる民俗芸能の中でも異色な「鬼来迎」は、九十九里沿岸の町、光町虫生に８００年ほど前から伝わる仏教劇である。毎年８月１６日の施餓鬼に演じられる舞台の様子を紹介。◆鬼来迎は鬼舞ともいい、地獄を再現して因果応報を説く珍しい仏教劇。鎌倉時代の創建と伝えられる広済寺の境内に舞台を設けて上演される。賽の河原で鬼におどされる子供たちを救う地蔵菩薩、閻魔の裁きによって責め苦を受ける女亡者に手を差し伸べる観音菩薩。本来の上演場所だった地蔵堂はがけ崩れで失われたが、劇の内容は変わっていない。

一番易しくて一番難しいといわれる日本舞踊は、日常の生活を生かしたものである。その基本をバレエと比較して見る。◆洋舞は音楽で踊るが日本舞踊は言葉に沿って踊る。振りは言葉を翻訳して作るが、特別でなく日常の生活を生かしたものである。踊りに使う扇子は気持ちの広がりを見せるための道具で、時代や役どころ、身体の大きさなどで自由に変える。しぐさによる感情表現は、洋舞も同じであることを実演で見る。

不眠不休の“救命医療センター”を舞台に、交錯する人間模様をサスペンス・タッチで描く。◆年末を迎え、入院患者のほとんどが一時的に退院した院内はひっそりとしている。だが救命医療センターには、いつどんな患者が運ばれてくるかわからないという緊迫した空気が流れている。１６歳の佐代子が担ぎ込まれてきた。建設現場から頭上に落下してきた鉄骨で全身を打ち、出血多量で意識不明。医師たちの奮闘が始まる。