大分県の日出町は古くからの港町、そして江戸時代には、城下町として賑わっていた。目の前の別府湾は魚の種類に富んでいる。前夜仕掛けた網に魚がかかっている。マコガレイは、シロシタカレイとして全国に名の通った特産品だ。城の近くの海に真水の湧き出るところがあって、そこに育ったマコガレイは、臭みがなく淡白な味が珍重されてきた。遠浅の砂浜が続く糸ヶ浜では、「たてぼし漁」の準備が進められていた。たてぼし漁は、潮の千満を利用した古くからある漁法だが、多くの人手を必要とするためすたれ気味。そこで、網元の佐藤さんたちは、何とか、伝統漁法を残そうと、夏の大潮の日に町のレクリエーションを兼ねた行事として行うことにした。日一日と夏の日ざしが強くなる中、海の好きな日出町の人たちは、きょうも魚を求めて別府湾に舟を出す。

ヨーロッパの新しい歴史を切り開いたルネサンス。その大きなうねりの頂点に立つレオナルド・ダ・ヴィンチは、芸術も科学も技術も一体のものとして人間の限りない可能性を追求し、その才能を遺憾なく発揮した。しかし、この天才もその生涯は栄光と挫折の繰り返しであった。生地ヴィンチ村から没したアンポワース（フランス）まで、名取裕子がその足跡をたどりながら、自然と人間を見つめ続けた彼のロマンを追う。「モナリザ」のモデルへの仮説、修理中の「最後の晩餐」の映像が見どころ。

オランダに住むシェリー・レイコ・ランドヘントさんが、１８歳のときまで存在も知らずにいた父親を捜しに、日本へ渡る。インドネシアから日本、オランダへと移り住んだ彼女の人生をたどり、その思いを描く。◆太平洋戦争中、オランダの支配下にあったジャワ島を日本軍が占領した。バンドンにいたレイコさんの母は口ひげをたくわえたハンサムな海軍士官Ｋ・Ｆｕｊｉｉと出会い、子供を身篭る。しかしレイコさんが生まれる前に、彼は姿を消した。その後、母は大石という鉄道技師と知り合って再婚し、日本へ移住。レイコさんは彼を実父と思って育ってきた。

日本における四天王の造像は、聖徳太子が戦勝を祈願して建立した四天王寺に安置したことに始まる。甲胄を身につけ憤怒の表情で虚空をにらむ四天王は、東方を守る持国天、南の増長天、西の広目天、北の多聞天。それぞれに役割を持って仏教世界、国家鎮護の守り神として信仰を受けてきたが、平安時代以降はやや影が薄くなり本尊の四方に守護神として配されるようになる。各時代の四天王の姿を多くの寺に求めながら、古き武神の性格や仏教伝来のときからの役割を探っていく。◆【国宝】東大寺大仏殿、盧舎那仏坐像（東大寺）、四天王立像（東大寺）、四天王立像（法隆寺）、四天王立像（東寺）、毘沙門天三尊像（鞍馬寺）、弥勒仏坐像（当麻寺）

１９９５年１１月競艇選手としてデビューした若者たちを、前年９月から密着取材４００日。本栖湖にある研修所での厳しい訓練を乗り越えて、成長する若者の群像の記録である。◆研修生の応募者は全国から１２６８人もいたが、合格者はわずか４４人。全寮制の研修所で７７期生の訓練が始まる。団体行動、時間厳守、厳しい操縦訓練で次々に叱責が飛び、耐え切れずに去っていくものもいる。冬を乗り越え、春、夏、そして最後の終了記念競艇を迎える頃には、彼らの表情に以前の幼さはもうない。

伊勢屋の器量よしの一人娘にはこれまで三人の婿さんが入り、夫婦仲が円満なのに次々と婿さんが早死にしてしまう。八っつぁん不思議に思い、ご隠居にどうしてかときく。ご隠居、「それは仲良くご飯を食べるときに指がさわったり、炬燵で手足が触れる、短命だな」、と遠まわしに言うが、八っつぁん飲み込めない。そのうち、短命の意味がわかった八っつぁん、家に帰ってみると…。

熊本県内各地で行なわれている祭りを紹介するシリーズ（１９９５年４月２日～１９９７年３月３０日終了、全１０１回）。「肥後シリーズ」は１９８６年日本民間放送連盟賞（放送活動部門）受賞。◆遠く阿蘇外輪山に端を発する菊池川が有明海に注ぐ玉名市。その菊池川の左岸、河口近くにある伊倉には、道をはさんで向き合う二つの八幡様、伊倉南八幡宮と伊倉北八幡宮があり、同じ日にそれぞれ春祭り、練り嫁まつりをひらく。丸まげの花嫁に稚児たちも加わって、一家総出のほほえましい練り嫁行列が行われる。

南三陸では契約講という組織が生活互助や祭典を取り仕切っている。２つの集落で、生活の原点ともいえるこの講を見る。◆講は一種の自治組織で、構成は一家の主たちである。講には結婚して初めて加わる事ができ、集落の一員としての責任も持つ。寄り合いと一緒に行われる祭りは、集落内の悪霊を追い払い繁栄と無事を祈る。志津川町波伝谷集落と雄勝町名振集落の契約講に、生活を守りふるさとを大切にしてきた姿をうかがう。◆波伝谷の祭り〔宮城県〕、名振の春まつり