作家・大岡昇平が、自ら体験した太平洋戦争のもっとも悲惨な戦場の一つを描いた「レイテ戦記」は、戦後文学の金字塔といわれる。消え去っていく個人の戦争体験をまとめあげて「集団の記憶」としてのこそうとしたこの作品と、その取材ノート、さらにあらたに発見された米軍による捕虜調書などを手がかりに、戦場で死んでいった人々の運命を再構成するドキュメンタリー。

聴覚障害を持つ新進画家と女優の卵との純愛を描いた同題の金曜ドラマを、完全保存版としてダイジェストで紹介。◆紘子が健一と夜を過ごした事を知らない晃次は、紘子を探し出し、家に連れ帰る。晃次は描きかけの紘子の絵を見せ、「描きあがったらプロポーズする」と告げる。が、紘子は晃次を騙す事ができず、裏切りの事実を打ち明け晃次の元を去り、実家に戻るという健一について行く事を決意。しかし、東京を去る前夜、紘子は晃次と偶然に再会する。

町内の小屋に出ている東京から来た講釈師が人気を呼び、連日の大入り。しゃくに障ると常連の男二人、講釈師を困らせようと企み、八百屋でトウガラシを買い小屋に行く。二人は前の席に火鉢を置いてすわり、かの講釈師の話が修羅場にさしかかった頃、トウガラシを火鉢に入れ扇で下からあおったからたまらない。講釈師、くしゃみを連発して話が進まない。

急な斜面を耕して畑を作り集落を作った、秩父地方の「耕地」と呼ばれる所に暮らす人々の１年の暮らしを見つめる。◆ここの人たちは畑と集落を併せて「耕地」と呼ぶ。１年の天気を占う。疫病を防ぐ。お盆。子供たちが「ワラ鉄砲」を作って地面をたたき、モグラを追い払う。てんぐを山に帰す。小正月の祝い等々、ほとんど毎月のように行われるもろもろの行事の中で、少しでも多い収穫を願って互いに助け合い、神を祭って生きてきたのである。◆伊豆沢上郷の的矢の神事〔埼玉県〕、棚倉のフセギの行事、門平のトウカンヤ行事

熊本県内各地で行なわれている祭りを紹介するシリーズ（１９９５年４月２日～１９９７年３月３０日終了、全１０１回）。「肥後シリーズ」は１９８６年日本民間放送連盟賞（放送活動部門）受賞。◆荒尾市は、福岡県の大牟田市と境を接する県北の町。古くは、玉名郡長洲町を含む広い地域が野原荘と呼ばれる荘園として栄え、その野原荘の鎮守として野原八幡宮があった。この野原八幡宮のお祭りが、古い時代の農民芸能の姿を残す“風流”と五穀豊穣を願う御田植祭り。

東京から北海道・富良野に移り住み、地に足のついた生活の中から人生を学んでゆく子供たちの成長を中心に描く家族の物語。１９８１年１０月９日～１９８２年３月２６日放送（２４回）の連続ドラマのその後を描く、単発６作目のドラマスペシャル。◆間もなく還暦を迎える黒板五郎（田中邦衛）は、麓郷で一人で暮らしている。息子の純（吉岡秀隆）は東京から富良野に戻り、ごみ収集の仕事をしている。ある日、純はシュウ（宮沢りえ）という女性と出会う。二人は急速に親しくなっていくが、シュウには純に話したくない過去があった。一方、札幌で看護婦として働いていた蛍（中嶋朋子）は、つきあっていた勇次（緒形直人）と別れ、妻子ある医師と根室へ駆け落ちする。

熊本県内各地で行なわれている祭りを紹介するシリーズ（１９９５年４月２日～１９９７年３月３０日終了、全１０１回）。「肥後シリーズ」は１９８６年日本民間放送連盟賞（放送活動部門）受賞。◆四月末、芦北町では佐敷・湯浦のそれぞれの諏訪神社で祭りがひらかれる。どちらも四百年以上の歴史を持ち、奉納相撲で賑わう。昔から里の人々の五穀豊穣を願う場であり、またそれ以上に数少ない娯楽のひとときでもあったのだろう。

日本語の使用が強制されていた植民地時代の朝鮮で、朝鮮語の詩を書き続けてきた尹東柱（ユン・ドンジュ、１９１７〜１９４５）。尹東柱は日本に留学中、独立運動に加わったとして逮捕、獄死。戦後、韓国・北朝鮮で国民的詩人となった尹東柱の詩の世界と、日本統治下に生きた２７年の生を描く。日韓共同制作。