作家が自作とその背景を語るシリーズ。（１９８９年７月２４日〜７月２６日放送、全３回）◆第２回は中沢けい「水平線上にて」を取り上げる。この作品は、戦争体験と従来の女の倫理感をふりかざす母親に反発し、「全共闘」にコンプレックスを感じている女性主人公の日常と心象風景を描いたもの。中沢の原風景となっている千葉県館山や幼年期を過ごした横浜などを訪ねながら、彼女の戦争観・戦後観を聞く。

およそ１００年前、イギリスでは議会全体を巻き込んだ選挙違反や贈収賄が頻発した。その後行為規範、利害関係登録制など英国議会は着実に改革を進めた。記録を基に、腐敗選挙の実態と国会論議の模様などを通してようやく厳しい政治倫理の確立に成功した英国議会の苦闘の歴史を描く。

作家・村松友視さんが、当時のスコアブックや選手・関係者たちの証言を元に、西鉄が巨人を相手に奇跡の逆転優勝を成し遂げた１９５８年の日本シリーズを再検証する。

横浜に日本初の近代水道を完成させたイギリス人、Ｈ・Ｓ・パーマーの足跡をたどり、大都市の水道の今の姿をリポートする。◆パーマーの孫にあたる樋口次郎さんと共に水源地・津久井湖に行き、当時の水路を見る。また、新しい水源地や新ダム建設地などを訪ね、急増する都市の水需要の様々な問題点を浮き彫りにする。

市長が天皇の戦争責任に言及したことで脅迫状が送りつけられたり、市役所に銃弾が撃ちこまれたりする事態となった。戦後ナチスドイツの戦争責任を厳しく追求してきた西ドイツを取材し、日本ではなぜこのような異常事態が生じるのかを検証する。◆長崎市の本島等市長は、１９８８年（昭和６３）１２月市議会で昭和天皇には戦争責任があると思うと発言した。それ以来、市長に対する脅迫などが続き、また長崎市の特別交付税の対前年比の伸び率が自民党の国会議員の圧力によって県内８つの市の中で最も低く抑えられた。

日本中で地下水が死にかかっている。有機溶剤などの廃棄による水質汚染、野放図な汲み上げによる水量減少・枯渇。最良の飲み水であった地下水の危機を追い、またそれを守ろうとする各地の動きを紹介する。◆人口５７万の熊本市は、一切の水を地下水に頼っている。その水に汚染が忍びより、熊本県では地下水の水質を守るための要項を決めた。アメリカのシリコンバレーでは、半導体メーカーによる汚染に対して住民訴訟が起こされている。福井県大野市ほかで、地下水を市民の共有財産と考え、守ろうとする動きが広がっている。

俳優であり画家でもある米倉斉加年さんが、江戸時代初期の風俗画の傑作「彦根屏風」と「松浦屏風」を紹介、町人文化の興隆期の華やかで自由なデザインの美しさを伝える。◆現代の浮世絵を目指すという米倉さんが最も心をひかれるという彦根屏風は、彦根城主であった井伊家の家宝として伝えられた。当時の流行の最先端の装いをした伊達男、洒落女など１５人が生き生きと描かれている。◆また肥前浦戸の松浦家に伝わった松浦屏風は、１８人の遊女とその豪華な衣裳を徹底して描きこんでいる。鹿の子絞り、金糸の刺しゅうなど、当時のデザインの自由さや高度な技術まで見て取ることができる。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆高山辰雄：日本画家。１９１２年大分生まれ。１９３４年帝展初入選、１９３６年松岡映丘に師事、１９４１年一采社結成。１９７５〜１９７６年日展理事長。１９７９年文化功労者、１９８２年文化勲章受賞。主な作品に「日月星辰」（１９７３）、「部屋の中」（１９８２）。