良寛（１２１７〜１３０３）が書を始めたのは、諸国行脚の末、ふるさと越後の口上山中腹の『五合庵』に落ち着いた５９歳から。１日５合の米があればよいという生活の中で、書と歌の日が続く。万葉のかな文字に憧れ、『秋萩帖』を手本とした。１つの点や線のわずかなずれが文字の生命を奪うといい、もみじの書はもみじが舞うごとく心がそのように動いたから筆をとる。ただそれだけのことに７４年を生き、子らと手まりに興じ清廉な姿を世に残した僧だった。◆【重要文化財】歌切（もみじの歌）〔個人〕◆【その他】五合庵〔国上寺〕、原田家茶室〔個人〕、秋萩帖〔国上寺〕、鍋蓋刻字の心月輪、愛語〔個人〕

年齢のことなる３組の男女のさまざまな愛憎の姿を、静かに見つめる一人の女の視点から描いたドラマ。（１９９０年３月５日終了、全５回）◆東京・青山でクラフトセンターを営む並木久美子（香山美子）。彼女の兄・啓一郎（杉浦直樹）は過去の女性関係を言いたてる妻・真穂（藤村志保）に悩まされ続けている。彼は仕事で知り会ったデザイナーのゆかり（秋吉久美子）に惹かれており、真穂はそれを感じとってさらに嫉妬している。ゆかりは結婚目前で婚約者に自殺された経験があり、８年たった今も独身。

石川の信仰の歴史について、東四柳史明さん（県立図書館加能史料編さん室主任）に聞く。◆能登加賀は信仰史の上で画期的な歴史をもつ。出発点は、素朴な民間信仰を起源に平安時代に確立した白山比?神社信仰と、九つの霊山を支配した石動山の信仰だ。ともに農耕のための水の信仰として名高い。◆中世になると、人間救済を唱える鎌倉新仏教が伝えられた。そこに蓮如上人の浄土真宗が急速に広がり、在地武士を駆逐して一向一揆の国をつくる。番組では数々の貴重な御物も紹介される。

障害者への差別や偏見をなくし、あらゆる場で真の仲間として受け入れる「開かれた社会」の実現について考える“障害者の日”特別番組。第１部「人間らしく生きたい」では、生きることに挑戦し、自己の可能性を広げようとする障害者の姿をドラマやドキュメンタリーで伝える。◆東京都立大学大学院の博士課程で教育学を学ぶ福島智さんは９歳で失明し、盲学校の中等部では様々な楽器に挑戦して音だけの世界に生きる決意をした。しかし高等部に入ってから耳に異常を感じるようになり、２年の冬ついに聴覚も失う。彼を支えたのは指先と指先で交信する「指点字」だった。１２人の通訳者に支えられて学ぶ彼の将来の夢は大学で教えること。障害者の先駆者となれという父の教えを実践する。◆解説副音声あり

能の大成者・世阿弥の「風姿花伝」、世阿弥の作品、その功績を中心に話をすすめる。ゲストに能楽界の展望を聞く。◆前回までのおさらいを資料映像と実演で見る。世阿弥については『屋島』『箙』を中心に、能の二番目物である修羅物について説明する。また増田正造に能楽界の今後の見通しや能の現代性について語ってもらう。

子供のいない中年夫婦が破局にいたるまでの愛憎を描く。原作：夏樹静子。◆北海道函館市。運送会社の修一郎（クロード・チアリ）と結婚して１３年。子供の産めない身体ながら、文子（桃井かおり）は幸せだった。しかし、文子はふとしたことから夫に愛人と５歳の子供がいるのを知り、ショックを受ける。夫が子供好きであることを理解しようとするが、空しさはつのるばかり。

日本の伝統芸、猿回しを復活させた“太郎・ジロー”コンビ。だが１９９０年の春にジローが病死してしまった。１１年間のパートナーを失った悲しみを越えて２代目ジローを育てる村崎太郎さんの姿を追う。◆１９７８年（昭和５３）周防猿まわしの会は猿回し芸を復活させ、村崎義正会長を中心に伝統芸を守ってきた。会の第一人者でありながら異端児でもある村崎太郎さんは、独自の猿回し芸に挑戦している。その太郎さんが１７歳のとき以来コンビを組んできたジローが急性肺炎で死んでしまう。その不幸をのりこえ、京都嵐山で餌づけされている猿の中から先代に似た猿をさがし、見つけたチビジローの調教をはじめる。

アメリカやヨーロッパに関する知識と比べ、日本人の知識がきわめて乏しい中央アジア・モンゴル・シベリア地域に光を当て、これらの地域の生活・文化について、講師が現地で自ら収集してきた豊富な資料と現地調査での様々な体験をもとに語る。講師は創価大学の加藤九祚教授、聞き手は京都大学大学院の谷真澄。（２回シリーズ）◆第２回はモンゴルとシベリア。モンゴルの遊牧民の生活や、地域ごとに特色のあるシベリアの人々の暮らしについて、資料を見ながら解説する。