図書館の本の中に挟まれていた人妻あての愛の手紙。その手紙はやがて人妻の思いもかけぬ心理を明らかにしていく。繰り返し打ち寄せる波が長い時間のうちに岩肌を削っていく“波食”に象徴される男と女の不思議な宿命を描く。◆予備校教師の洋介は図書館で借りた「波食」という本に手紙が挟んであるのを見つける。“遠山久志”から“佐伯博子”あてのその手紙には、「室崎岬で毎週金曜あなたを待ち続けます」とあった。洋介は電話帳で博子の家の番号を調べ、毎日のようにいやがらせの電話をかける。驚き、否定する博子だったが、ついに二人は会う約束をする。

年齢のことなる３組の男女のさまざまな愛憎の姿を、静かに見つめる一人の女の視点から描いたドラマ。（１９９０年３月５日終了、全５回）◆東京・青山でクラフトセンターを営む並木久美子（香山美子）。彼女の兄・啓一郎（杉浦直樹）は過去の女性関係を言いたてる妻・真穂（藤村志保）に悩まされ続けている。彼は仕事で知り会ったデザイナーのゆかり（秋吉久美子）に惹かれており、真穂はそれを感じとってさらに嫉妬している。ゆかりは結婚目前で婚約者に自殺された経験があり、８年たった今も独身。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆永井路子：作家。１９２５年東京生まれ。１９４９年小学館に入社し、雑誌編集のかたわら文筆活動に従事する。１９６１年に退社し、本格的な文筆活動に入る。１９８４年に菊池寛賞を受賞。主な作品に「北条政子」（１９６９）、「一豊の妻」（１９７２）など。

第２次大戦中にアメリカの手で開発された核兵器が、戦後にソ連をはじめとする各国にどう広がっていったか、また朝鮮戦争やキューバ危機などの国際紛争や外交の舞台で核がどんな役割を果たしたかを描く。（１９９０年３月４日〜９日、全６回）◆第３回は、１９６２年１０月、ソ連によるキューバのミサイル配置計画に端を発するキューバ危機を取り上げる。核戦争の瀬戸際での米ソのやり取りを、世界はかたずをのんで見つめた。関係者の証言を軸に１３日間を再現する。

奈良・大和路には多くの遺跡が存在するが、本格的な学術調査は昭和になって始まった。そのさきがけとなった１９３３年（昭和８）の石舞台古墳掘から最近までの大規模な調査を中心に紹介する。◆昭和３０年代から６０年代にかけては、平城宮跡をはじめ大化改新のあった飛鳥板蓋宮跡、天武天皇の飛鳥浄御原宮跡など大規模な発掘が相次いだ。これらの宮跡からは平成になってからも次々に新しい成果が報告されている。１９７２年（昭和４７）に極彩色の壁画が発見された高松塚古墳では、１９７６年（昭和５１）から１０年がかりで科学的な保存作業が実施された。

雪舟（１４２０〜１５０６）は日本の絵画史上、最も偉大な画家といわれている。現存する作品２０点のうち、国宝に５点、重要文化財に１２点が指定され、これほど多く指定されている例は古今を通じ雪舟のほかはない。画業は日本画境に測りしれない影響を与えた。岡山に生まれ、山口で画房を営みながら日本各地を旅し、後に中国に学んで独自の画境を確立していった。◆涙でネズミを描いた幼いころから８７歳までの生涯をたどる。◆【国宝】天橋立図〔京都国立博物館〕、山水図（破墨山水図）、秋冬山水図〔東京国立博物館〕、四季山水図（山水長巻）〔毛利博物館〕、山水図〔個人〕

奈良県橿原市今井町は、中世末期の環濠集落の町割りを今に伝える。７５０軒の町家のうち５００軒あまりが歴史的な民家で、そのうち８軒が国の重要文化財に指定されている。時代小説の舞台にタイムスリップしたような町並みを紹介する。◆今井町は中世戦国時代に本願寺一門がいわゆる寺内町として濠をめぐらし、土塁を築いたのが始まり。その後、信長や秀吉に優遇され、特権的な大和の自由商業都市として繁栄した。最も栄えたのは元禄時代で、大商人がひしめき、蔵元・両替商・米・酒・味噌・油などの商家が軒を並べていたという。町は元禄時代を最後に衰退してしまうが、現在もその町並みを大切に残している。

テーマは“外国人労働者問題”。世界中の人が動き、物と金が国境を越えていく、いわば国境のない時代。経済大国日本にはアジアからの労働者が目だって増え、その対応がおくれている。単純労働に不法就労する外国人に対し、国は入国管理法を改正、６月より実施することとなった。改正に対するそれぞれの立場からの評価、そして国際化が進む世界環境の中で日本の進むべき道を考える。