彫金家・帖佐美行宅のアトリエを訪ね、帖佐の話を交えながらその制作風景、作品の数々を紹介する。◆銅や銀、真鍮といった平らな板金を火で焼きなまし軟らかくしては金槌で何度となく打ち続ける。変化に富んだいろいろな形が鍛金によって作られ、そこに彫金が施されて器が誕生する。帖佐の求める器の形は、素材に使う金属の固く冷たい感触をいかに柔らげ、温かく柔らかな印象を与えるものにするかである。

インド北西部のカシミール地方に幻の仏教王国ラダックがある。ラダックはチベット語で「峠のむこう」の意。大パミールの厳しい自然環境の中で、人々は昔から仏教を信じ多くのゴンパ（寺）を守ってきた。最古のアルチ・ゴンパの中は仏教美術の宝庫で、色鮮やかな曼陀羅壁画や菩薩像で埋め尽くされている。◆荒涼たる岩山に建つ古びた寺院に、高野山と相通ずる智拳印を結ぶ仏の姿があった。この取材後は門戸を閉ざし再び秘境になった。◆アルチ・ゴンパ、チクセ・ゴンパ

あらゆる動物や人間、植物の姿を借りて、人生の様々な教訓を分かり易く描いた物としてイソップ物語は世界の童話寓話の原点とされている。毎回３人の異なった性格の猿、シグナルモンキーが登場、本篇に対する意見を述べる。原作：イソップ「イソップ寓話集」。（１９８３年１０月１０日〜１２月２３日放送、全５２回）

日本初の盲人マラソン大会が１９８３年（昭５８）８月末、１７６人の視覚障害者が参加して、大阪市の長居公園で行われた。超音波メガネで参加した青年など、マラソン大会に備えた半年間の訓練をおりまぜながら、暗やみを全力で完走した視覚障害者たちがマラソンに挑戦した晴れやかな笑顔を描くドキュメンタリー。

ベトナム難民のブイ・コック・ディックさんは、鹿児島市に定住して３年が経つ。不自由な日本語をあやつりながら２人の男児と１人の甥を育てている。そこへ、妻と下の子ども３人が合法出国をしてやって来ることになった。生活の当てもない日々に頭を悩ましながらも、再会の日を待つ。成田空港に迎えに出た彼は、妻子のほかに義父までがやって来ているのを見て、憤りに唇をかむ。その日から、激しい口論がはじまった。

貧しい農村に生まれた少女が幾多の苦難を乗り超え、やがてスーパーマーケットのチェーン店を経営するようになるまでを、生まれ故郷を旅する彼女の回想という手法で描く。作：橋田寿賀子。ＮＨＫ連続テレビ小説第３１作。（１９８３年４月４日～１９８４年３月３１日放送、全２９７回）◆おしんの奉公先は最上川の下流にある材木店だった。そこでは女中頭のつねの厳しい監視のもとで、早朝から夜遅くまで満足に食事もできないほど働かされた。母を恋いながらもおしんは一人で生きてゆかねばならないつらさと覚悟を自分に言いきかせる。

テレビ３０年の歩みが、日本人の生活と意識に与えた影響を、多角的な討論によって明らかにしていく特別企画。（全２回）◆文字放送、衛星放送、ケーブルテレビと、新しい技術発展を背景に、ブラウン管の世界に大きな変革が訪れようとしている。それら新分野をめざして、多様な資本が参入の機会を狙う。ニューメディア時代とは、いかなる実態をもつものなのか。その現状と問題点を分析し、その意味を探る。

１９８３年（昭和５８）２月。住民の４割、１５００人もが犠牲となった沖縄戦の激戦地・伊江島で、厚生省と沖縄県による３８年ぶりの遺骨収集が始まった。地下十数メートルの洞窟から、集団自決した住民たちなど１９５柱の骨が収集された。沖縄全島ではまだ１万柱以上が地下に眠っているという。戦争の傷跡を遺骨収集を通して探る。