下町の庶民のシンボル浅草。その中心、浅草寺の歴史は意外に古く、７世紀推古帝の時代にさかのぼる。家康入府以来の都市開発の歴史をたどり、明暦大火（１６５７年）以降の再開発により、らせん状に発達していく江戸の町並みの中で、経済と歓楽の中心に変わっていく浅草の地位を浮き彫りにしていく。三社祭りは浅草神社の祭礼であり、神社に祭られる三神の由来からきた。そこに行けば何でもそろっている江戸の不思議空間・浅草の成り立ちを見る。◆【国宝】法華経〔浅草寺〕◆【重要文化財】浅草神社本殿、幣殿、拝殿、浅草寺二天門◆【その他】江戸名所図屏風〔出光美術館〕

１９７０年を舞台に、高校３年生の男子４人が人生の壁にぶちあたりもがきながらも成長してゆく姿を描いた青春物語。◆２０数年前の西脇誠は豊橋の普通高校の３年生で、仲間からノンポリと呼ばれていた。時計屋の息子でけんかの強い金子仁、新車運送をアルバイトにしている北川昌之、米屋の息子の林和夫、みんな成績は悪いがウマのあう親友だった。この落ちこぼれ４人組とミドリ・恵子という二人の女子が初めて真剣に人生に立ち向かわざるを得なかった卒業までの３カ月を描く。

強制収容所に収容されたユダヤ人の子供たちが、激しい飢えと死の恐怖の中で残した絵の数々を通して平和の意義を問う。◆アウシュビッツで殺された無名のユダヤ人の子供たちが描いた絵、４３００枚がプラハ市内の博物館に残されている。第２時世界大戦中、プラハ郊外の町テレジンに１４万人のユダヤ人が収容されていた。その中の子供たちに希望を失わせまいと、教師たちの間で密かに美術教育が行われた。いずれも粗末な紙に描かれたこれらの絵だけが、子供たちが残した唯一の生の証となった。

かつて秘境といわれた只見川流域の自然の風物誌と、そこに生きる人々の生活を伝えるドキュメンタリー。◆福島県三春町出身の登山家、田部井淳子をリポーターに、本州最大の湿原尾瀬に源を発する只見川流域の自然、町、村を紹介する。過疎化が進む地区、しかし美しい自然は残されており独自の生活文化が育くまれている。また活性化を図るさまざまな試みも成果をあげている。人間と自然の共生についても考える。

浪曲界の革命児といわれ、単なる寄席芸に過ぎなかった浪花節を、大劇場の芸にした桃中軒雲右衛門の話。師匠のつれ合いと駈け落ちをして東京に居られなくなり、地方で苦闘のすえ人気を得て九州から一座を率いて上京し、大劇場で興業を打つことになる。◆「桃源の風雲児」・作／榎本滋民・曲師／伊丹秀敏・太田英夫

言葉一筋に、人の心を耕して、聞く人に生きる喜びを与える。そんな話芸の名手を招く番組である。一回目は、陽気な長屋の人たちのお花見風景。長屋の住人が大家の招待で、上野の山へ花見に行く。しかし大家とてふところが豊かなわけはなく、酒は茶を薄めたもの、卵焼はたくわん、かまぼこは大根といったふうに見立て花見を楽しむ。貧乏を笑いに変えてしまう庶民の陽気さがたのしい。

ＴＢＳ宇宙特派員の秋山豊寛が、１４９２年、アメリカ大陸の存在をヨーロッパに伝えた“ナゾの人物”クリストファー・コロンブスの、出生から生い立ち、新大陸発見までの過程とその時代背景を、現地に赴いて取材。ナゾの部分の解明と、彼の発見が世界に与えた影響を考察する。◆コロンブスは１４５１年イタリアの港町ジェノバで生まれ、憧れの船乗りになった。青年時代はポルトガルに移り、２８才でポルト・サント島の総督の娘・フェリパと結婚。３２才の時「インディアスまでの西廻り航海計画」のプランをポルトガル王室に提案するが失敗。新たなスポンサー、スペインのイザベラ女王の援助で航海に出発する。苦難の末到着したのは現在のバハマ諸島のサン・サルバドル島。コロンブスは死ぬまでそこをアジアの一部と思っていた。

三重県津市にある専修寺を訪ね、如来堂を中心に大建築の見どころを解説し、あわせて落慶法会の模様を紹介する。◆津市一身田町にある専修寺は、浄土真宗高田派の本山。高田教団中興の祖とされる十世真慧が、東海・北陸の布教の拠点として開いたもの。広大な寺域を擁し、山門・御影堂・如来堂がその威容を誇っている。◆この専修寺で１９８３年（昭和５８）から行われていた如来堂（本堂）の半解体修理が７年ぶりに完了し、「如来堂落成慶讃法会」が営まれた。今回修理された如来堂は２７年がかりで１７４８年に完成した大建築で、軒の尾垂木には龍や象などの彫刻が施されている。