架空の研究室の講師・仲谷昇が歴史上の大事件にことよせて１９８０年代の事物を考証する。第１回のテーマは「ホテル」。４大文明の発生・発展から論を展開する。

どうしようもない男と肝の座った元芸者の夫婦を描いた織田作之助原作のテレビドラマ化。◆西横堀の老舗の長男・柳吉（小林薫）は妻子持ちだというのに芸者の蝶子（黒木瞳）と深い仲。得意先の集金をごまかしたのがばれ、とうとう勘当されて蝶子と間借り生活をはじめた。生活は苦しく、蝶子は芸者より格は下でも稼ぎの良い“やとな”として働きはじめた。しかしそうやって爪に火をともすようにして貯めた金を柳吉は持ち出して遊びにつかってしまう。蝶子もとうとう愛想を尽かして家出した。しかし惚れた弱みで柳吉のもとに戻ってしまう。柳吉は心を入れ替えるどころか、妹が婿養子を迎えて店を継ぐと知って、ますますやけをおこす。

町立診療所の医師の後任が見つからず困っていた北海道のえりも町に単身赴任した５０歳の“母さん医師”の奮闘ぶりにスポットを当て、医療過疎地に求められる医師像を探る。◆北海道日高地方えりも町のたった一人の女医、鈴木さん。専業主婦だった１６年前にテレビのドキュメンタリーに触発されて辺地医療を志し、子育てをしながら医学部に通って４２歳で医師になった。関西に夫と子ども二人を残して来たここでは毎日百人前後の患者を診察し、時期には学校の健康診断をこなすなどの激務が待っていた。“人々に安心をあげたい”と頑張る彼女の姿を通して、医のこころを問い直す。

日本名を名乗って暮らす在日韓国人の塾教師が、教え子が受けたイジメをきっかけに自分らしい生きかたを探し始める。◆イ・カンホは２４歳、大阪生まれの在日韓国人。東京の大学を出たあと大阪に戻り、日本名の吉本を名のって進学塾で中学生に英語を教えている。そこへ韓国人少年の昌海が入塾してきた。同じクラスの日本人生徒たちは「ニンニク臭い」と昌海をいじめ、帰国子女の南だけが彼をかばうような状態がつづくうち、昌海はついに「日本脱出」を決行する。◆原作「李君の憂鬱」「キンモクセイ」（元秀一著）

アジアの人々が“何をどのように食べてきたか”を各地の食生活と風土の中に探り、食べものがいかに民族の精神を形づくり、文明に影響してきたかを紹介するシリーズ。（１９９０年１月５日〜１０日放送、全５回）◆第３集「タロイモ・ヤムイモ」。日本各地に祝いの席でサトイモを食べる習慣があるが、これは稲作文化以前、古代日本にイモを主要産物とする農耕文化があった名残りだという。タロイモを主食とするトンガやパプアニューギニアなどの南太平洋の民族を訪ね、そこを出発点に台湾から日本へと続く黒潮を媒介とした壮大な海のフード・ロードを描く。

岐阜市から長良川を北上して郡上八幡までを訪ね、伝統工芸に生きる職人の知恵を探る。岐阜市では江戸時代から和傘作りが盛んである。複雑な工程を必要とし、十数人の手を経て仕上げられる和傘作りを紹介する。関市は名刀「関の孫六」で知られる日本刀の産地。切れ味の良さを守る関の刀作りの、職人の技を見る。八幡町では４００年の伝統を守る藍染屋、ふすまや障子などを作る指物師などを訪ねる。旅人は白石まるみ。◆第１０１２回　◆日本刀

横溝正史が生んだ名探偵金田一耕助が連続殺人事件の謎を解くシリーズ。岡山の山村で郷土の手毬唄の歌詞にならって殺されていく娘たち。金田一は過去に埋もれた事実を掘り起こし、現在の事件の謎を暴く。◆金田一と等々力警部は、岡山県警の磯川警部の招きで鬼首村へ湯治にでかけた。磯川は２０年前にこの村で起きた湯治宿の主人の殺人事件を今も調べている。その宿に泊まった一行だが、翌朝、女将リカの息子・歌名雄の恋人が死体で見つかった。死体は口にガラスのじょうごをくわえていた。

延暦寺を開いた最澄は、延暦寺本像と同じ材で彫ったもう１体の薬師如来を安置すべき聖地を求め諸国行脚をした。美濃山中でお告げを得、庵を結びそこに安置した。横蔵寺の起源である。延暦寺の消失により、その像は横蔵寺から延暦寺本像として持ち去られる運命となる。◆「美濃の正倉院」といわれ、希有の仏像・絵画・書蹟類が寺宝としてあまた残る。数奇な運命をたどった寺跡と日本文化の底深さを、美濃深山に見る。◆【国宝】延暦寺根本中堂◆【重要文化財】深沙大将立像、大日如来坐像、金剛力士立像、四天王立像、十二神将立像〔横蔵寺〕