昭和初期、結核にかかったことが原因で婚家を追われた母と子の悲しい愛をサンゴ礁の海を舞台に描く。◆さわは前夫との間の子・稔を連れて、鹿児島の船員・平田のもとに後妻として嫁いだ。しかし結核にかかり、稔とともに追い出されてしまう。故郷の奄美大島に帰ったさわは老母・ちかと暮らすことにした。島の人々はさわたちに優しい。

青森県下北半島のニホンザルは、世界のサル類のなかで最も北に住んでいる。立花隆が下北を訪ね、その生態や環境、また保護にかかわる人との活動に触れ、自然と人間の在り方を探る。◆特別天然記念物にも指定されている下北のサルは３つの地域に分かれ、それぞれの群れで生息状況が大きく異なっている。ある群れは住民の給餌で救われ、ある群れは生息環境の悪化が心配される。一方、群れが拡大、分裂して農作物の被害が広がり、科学的研究に基づく保護、管理が求められている。

１９８９年（平成１）のスポーツ界の話題を振り返る、年末のスポーツハイライト。◆プロ野球はダイエー、オリックス新球団が誕生。セ・リーグは巨人優勝、パ・リーグは近鉄が優勝。村田兆治投手は２００勝を達成した。大相撲は貴花田が活躍し、外国人力士小錦が初優勝した。また伊藤みどり選手が世界フィギュア選手権で日本人初の銀盤の女王となった。

古代から中世にかけて大陸・半島との交流の玄関口であった福井県若狭。この地方の仏教文化を代表する明通寺を、文芸評論家の川村湊さんが訪れ、交通の要所・若狭の民俗と信仰のかかわりを考える。◆明通寺の本堂と三重塔は、いずれも鎌倉時代の建立で、京都古代からの流れをくむ純和様の外観をもつ。しかし細かい装飾や本堂の内部は、時代の流行を取り入れた構成になっている。本尊は薬師如来であるが、従えているのは菩薩ではなく降三世明王と深沙大将という他に例のない組み合わせとなっている。「なぜこんな組み合わせになっているのか、ということに当時の信仰のあり方を解く鍵がある」と川村さんは語る。

西はローマから、紅海、アラビア海、インド洋を経て、東南アジア、中国へと到る“海のシルクロード”。インドの胡椒、東南アジアの香料、中国の絹や陶磁などの産物や、宗教・文化の伝播に大きな役割を果たした航路をたどる。（１９８８年４月２４日〜１９８９年３月２６日放送、全１２回）◆第１１回は、泉州にいまも残る“藩坊”、外国人居留地を訪ね、寧波を経由して終着地・長安へと航海を続ける。「アレキサンドリアの１００倍の船が入ってくる」とマルコ・ポーロが驚嘆した泉州。港に沈んでいた宋代のジャンクからは、胡椒・乳香・陶磁など海のシルクロードを代表する交易品が発見されている。今も活躍するジャンクに乗り、中国南海道を帆走した。

１９６４年（昭和３９）、東京に生まれた三つ子の成長記、２５年目の集大成。今回のテーマは“三つ子の母・百合恵さんの自立と恵太の結婚”。シリーズ第１４作めで、２５年間の取材はテレビ技術の歴史をもたどれるものになった。◆青木家の三つ子、恵太・雄平・洋治も２５歳。父・久米雄さんの死から７年、それぞれの道を歩いていた息子たちが七回忌に全員集合した。百合恵さんは一人で家を守り、店を経営していたが、三回忌をきっかけに店を売り、家をたたんで１３年間暮らした土地をはなれ、大阪の生活科学研究所のメンバーに入った。恵太は転職して恋愛、結婚。青木家のドラマは新しい局面にはいった。

１２月９日の「障害者の日」に、障害者と健常者がともに支えあえる社会の実現をめざして、障害者問題を多彩な角度から取材し、スタジオへ電話・ＦＡＸ・電子メール等で意見を募って考える。２部構成。◆第２部は、障害者の自立を受け入れる街・アメリカのバークレーの実情や東京で自立を目指す女性のレポートを紹介、障害者が自立して生きられる社会の条件を探る。

外務省の外交資料館の倉庫にある録音盤に残された独立運動のリーダーたちの声を手がかりに、戦時下で民族独立に燃えるアジアが日本をどのように見てきたのかを検証する。◆１９４３年に東京で開かれた「大東亜会議」に出席した今は亡きアジアの指導者６人の声が、９０枚の録音盤に記録されている。このうちフィリピンの元大統領ホセ・Ｐ・ラウレルの声の再現を中心に、彼の足どりを日本国内や各国の取材によって明らかにする。