延暦寺を開いた最澄は、延暦寺本像と同じ材で彫ったもう１体の薬師如来を安置すべき聖地を求め諸国行脚をした。美濃山中でお告げを得、庵を結びそこに安置した。横蔵寺の起源である。延暦寺の消失により、その像は横蔵寺から延暦寺本像として持ち去られる運命となる。◆「美濃の正倉院」といわれ、希有の仏像・絵画・書蹟類が寺宝としてあまた残る。数奇な運命をたどった寺跡と日本文化の底深さを、美濃深山に見る。◆【国宝】延暦寺根本中堂◆【重要文化財】深沙大将立像、大日如来坐像、金剛力士立像、四天王立像、十二神将立像〔横蔵寺〕

古代中国の宇宙観から生まれた朱雀・玄武・青龍・白虎の四神思想は、中国皇帝に倣い天皇家の儀礼に取り入れられた。しかし平安時代以後、朱雀・玄武は鶴亀に、青龍・白虎は戦いや守護の神として姿を変え庶民化していく。方位を示す四神と古代日本とのかかわり、時代とともに和様化していく過程、おめでた好きの江戸庶民の間に浸透していった軌跡を追い、復元された千葉・松戸神社神幸祭の盛儀の中に四神の変ぼうを見る。◆【国宝】薬師如来像〔薬師寺〕◆【重要文化財】竹虎図〔曼殊院〕、竜虎図〔無量寺〕、難陀龍王立像〔長谷寺〕、鳳凰文甎〔南法華寺〕

毎日放送４０周年特別番組の後編。毎日放送が資金援助して発掘調査を行った「マヤ・ヤシュチラン」遺跡の発掘のもようを伝える。今回は、かつてマヤの王国に君臨した、ある大王の墓の発見がテーマ。ジャガーの顔と楯を組み合わせたマヤ文字で表されているところから「楯ジャガー王」と命名されたこの王は、８世紀の始め、大都市ヤシュチランの大王としてたび重なる戦いに勝ち続け、息子の「鳥ジャガー王」とともに黄金期を築いたという。密林の暑さ、毒虫、雨にたたられながらの作業がつづく。

関門海峡を挟んで本州に接し、九州の玄関口として栄えた門司。そのにぎわう港町の面影を伝える、数々の近代建築を訪ねる。◆門司に港が建設され、石炭の積み出し港として出発したのは１８８９年（明治２２）。大陸との交通にも地の利があったため、九州を走る鉄道の起点が置かれ、数多くの企業が進出。以来、日本屈指の貿易港に発発展した。◆大正時代に築かれた旧門司三井倶楽部、旧大阪商船門司支店ビルは木造で、外装はモルタルやタイルを使った丁寧な作りである。門司港駅（旧門司駅）は１９８８年（昭和６３）の文化財指定を機に建設当事の姿に復元された。これらの建物は今も人々に利用され、街の中で生きている。

汚染の進む東京湾を舞台に、海一筋に生きる兄と、その頑固さに反発しながらも次第に心が通い合う異母弟を描く。（１９９０年１０月１８日～１１月１５日、全５回）◆第１回。島洋平（緒形直人）はパイロットになるという夢に破れ、腹違いの兄・甚平（大地康雄）の釣り船屋を手伝っている。が、人生の目標をなくし、仕事にも身が入らない。浮気をして家を出ていた義姉の久美（かたせ梨乃）が洋平に会いに来た。洋平は久美を兄のもとに連れ戻す。

新春の３日間、人間国宝をはじめとする邦楽界の第一人者による演奏や舞踊を紹介するシリーズ。第１日は、箏曲の演奏及び舞踊を紹介する。◆「操り三番叟」は、ご祝儀舞踊の代表・三番叟を糸操りで見せる、いわゆる人形振りが趣向になっている。◆「海士」は、能「海人」を下敷きにして作られた作品である。竜神に奪われた珠を取り戻し、乳の下をかき切り押し込めて持ち帰り、命を落とした海人の伝説に基づくもの。ほかに筝曲「松上の鶴」「松竹梅」「萌出づる」。

幕末、農民や郷士を新選組という武装集団に作りあげ、近藤勇の投降後も節と義に殉じて闘い抜く土方歳三を描く。原作：司馬遼太郎。テレビ東京開局２５周年記念。◆第二部。新選組は京都守護職から正式に市中見回りの任務を与えられ、京都の治安を一手に握った。一方で芹沢らの横暴が目に余るようになり、歳三（役所広司）と近藤（石立鉄男）は、ついに芹沢暗殺を決行する。実権を掌握した歳三は、隊の規律を強め“局中法度五ヶ条”をつくった。罰則はすべて切腹という激烈なもので、これによって多くの隊士が命を落とすことに。池田屋事件の後、さすがの歳三も人を斬ることにむなしさを覚える。歳三は次第にお雪の姿を追い求めるようになった。このころ沖田のかっ血がひどくなる。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆谷村裕：元東京証券取引所理事長。１９１６年東京生まれ。大蔵大臣官房長、主計局局長をへて、１９６７年事務次官。１９６８年退官後、公正取引委員会委員長や証券取引審議会会長などを歴任。