昭和３０年のいなか町で起きた殺人事件。夫が刺殺され、不倫関係にあった男が背信の証言をしたことで夫殺しの容疑者となった妻の苦悩を描く。◆伸江は小学生の和夫を連れ子に、行商人・平造と再婚した。平造はヤクザ者で酒癖も悪く、毎晩伸江に暴力をふるう。伸江は近所のクリーニング屋で働き、そこの主人の石田とは不倫関係にあった。石田は３年前に妻を亡くしており、息子の信一も和夫と仲がよい。ある日、平造が包丁で胸を刺されて死んだ。死体のかたわらには呆然自失した伸江がいた。

熊本県内各地で歌い継がれる「ふるさとのうた」を紹介するシリーズ（１９８８年４月３日～１９８９年３月１９日放送、全５０回）。『肥後シリーズ』は１９８６年日本民間放送連盟賞（放送活動部門）受賞。◆昔から米どころとして知られる阿蘇地方には、豊作を願う「田唄」が歌い継がれている。田植えのあとにおこなわれる二つの御田植祭を紹介しながら、「田唄」が阿蘇の生活に根ざしていることを考える。

京友禅と加賀友禅を巧みに融合させる友禅作家・羽田登喜男。新しい感覚を盛り込んだ独特の文様を創造し、友禅に新風を吹き込む。モチーフは「おしどり」。仲良く、めでたいこの鳥を写生し続け、意匠に多く用いる。作品『遊鳥』の小下絵から糊置き、色付け、染めまでの、丹精の日々を追う。◆イメージに従い自在に描かれる、匂うがごとく美しい絵模様の製作風景と数々の作品から、技の極致を探る。

捨て子を丹精して美しく育てあげた男の王道楽土建設の夢の物語。◆１９１２年（明治４５）、東京・根津の異人館にある梔子写真館の主人・玲三（松田優作）は、家の玄関脇で女の赤ん坊を見つける。その子の耳たぶに鮮やかなほくろがあるのを見た愛人のお遊（加藤治子）は、男に大きな夢を見させる相と解く。玲三はその子を桜子と名付け、自分で育てることにした。◆玲三には大陸で自由に生きたいという野心があり、足がかりとして桜子を清国最後の皇帝・溥儀に近づけようとした。桜子は美しく育ち、目論見どおり溥儀に愛されることになる。

現代の中学生に取材し、抱えている問題をドラマ化して伝える長寿番組。関心の高いテーマをいち早く取り上げることにも定評があり、１９８８年は「校則」をテーマに２回連続シリーズとして放送した。◆抜き打ちの服装検査で、純子は苦労して見つけた目立たないリボンを没収され、昌子はカバンを開けろといわれて反発する。制服のない私立から転校してきて、制服が嬉しかったはずの昌子だが、校則を振りかざし、生徒のいうことを信じない先生たちには息がつまる思いだった。翌日、昌子は思い切って私服登校に踏み切るが、周囲の目は冷たい。

世界の政治や経済に影響力を持つ一流の学者や知識人が、現代の様々なテーマを論じる。第１シリーズは５人の学者による「時代を読む」。（全３回）◆“２０世紀経済の証人”と呼ばれ、「豊かな社会」「新しい産業国家」「不確実性の時代」など数多くの問題作を著したハーバード大学教授ジョン・Ｋ・ガルブレイス。社会主義の抱える深刻な問題が明らかになりつつある現在、資本主義国の人々が持っていた社会主義への恐怖はなくなったと語る。社会主義国家の市場原理導入、一国経済から国際経済へと進む流れの末はどこへたどりつくのか。◆副音声は英語

「強いアメリカ」の復活を目指したレーガン政権の８年間で、様々な国内の矛盾が吹き出し始めたアメリカ。その現状をレポートするシリーズ。（１９８８年５月１日〜５月８日放送、全３回）◆最終回。アメリカは財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」に苦しんでいる。カードとローンで所得の８５パーセントの借金を抱えているという国民。しかし「消費拡大が豊かさへの決め手」と政府は言い続け、ますます借金は膨れてゆく。この際限ない借金体質を、消費と生産の二面から検証する。

囲碁の指南がとりもつ縁で、人はいいが平凡な夫と、経営手腕と広い趣味を持つ社長とのあいだで心を揺らすようになった妻。夫婦に初めて訪れた危機、大人の愛のあり方を、ほのぼのとしたタッチで描く。◆美人で家柄も良い妻・風美子と、捨て猫に餌をやるような、優しいが平凡な夫・大輔。しかし大輔は会社では社長・勝山の碁の対局相手であった。大輔に碁を教えたのが風美子と知って、勝山は一度対局をと迫る。説得されて対局に応じた風美子の美しさりりしさに、数年前妻を亡くしている勝山はいつしか夢中になる。