現在の日米安全保障条約が締結されてから３０年、アメリカの政府関係文書が公開される年限を迎えた。ワシントンの国立公文書館から入手した２万５千点の資料を分析、最高機密だった交渉の全貌を探る。◆東西冷戦の中、アメリカはアジアでの戦略拠点を求めていた。その状況下での条約締結だったため、軍事同盟の性格が強いと批判された。１９６０年の改定時には国論は二分され、学生を中心とした反対デモが激化した。交渉の中心にあった当時の駐日大使ダグラス・マッカーサー２世の書いた条約草案などの新事実も発見された外交文書から、交渉の全容を明らかにする。

１９９０年２月、熊本県は水俣湾での漁業再開の意向を明らかにした。水俣病問題に早く幕を引きたい行政と、問題のある魚を扱うことを拒む漁業関係者との論理の食いちがいを探る。◆チッソの費用負担で行われてきた、水銀を含む湾内のヘドロのしゅんせつは完了した。県は、国の基準を上回る１６種の汚染魚を指定し、その上で湾内での漁業を再開してほしいと発表した。鮮魚商組合や漁協は一斉に反発、臨時総会を開いた。今の基準以下でも、運動能力や知能にわずかな障害が出ると国際機関では警告している。水俣には、今も慢性微量汚染の患者がいる。

奈良県橿原市今井町は、中世末期の環濠集落の町割りを今に伝える。７５０軒の町家のうち５００軒あまりが歴史的な民家で、そのうち８軒が国の重要文化財に指定されている。時代小説の舞台にタイムスリップしたような町並みを紹介する。◆今井町は中世戦国時代に本願寺一門がいわゆる寺内町として濠をめぐらし、土塁を築いたのが始まり。その後、信長や秀吉に優遇され、特権的な大和の自由商業都市として繁栄した。最も栄えたのは元禄時代で、大商人がひしめき、蔵元・両替商・米・酒・味噌・油などの商家が軒を並べていたという。町は元禄時代を最後に衰退してしまうが、現在もその町並みを大切に残している。

１９９０年代の日本の政治動向を決定づける第３９回衆議院選挙は、２月１８日投票日を迎える。参議院に次いで衆議院でも与野党逆転が起きるのか。各党党首の奮戦ぶりを厳冬の列島各地に追い、消費税を最大の争点として争われた歴史的な選挙戦の模様をたどる。

日本で最初の商業用核燃料サイクル基地建設問題で揺れる、青森県六ケ所村のドキュメントシリーズ。◆六ケ所村を中心とするむつ小川原開発地区の石油コンビナート基地建設構想が挫折した後、村の活性化を図ろうとする人たちは「危険な施設であるが、安全」という国と事業者を信じて核燃料サイクル基地建設の誘致を進めた。当時から村は真っ二つに割れ、村長も１２年間、反対派・推進派・凍結派とめまぐるしく変わった。凍結派の土田浩氏が当選した１９８９年（平成１）暮れの村長選挙にさかのぼり、その後の六ケ所村の動きを報告する。

史上最高の助っ人といわれたランディ・バースが日本のプロ野球界を去ってから２年が経った。彼の故郷オクラホマ州ロートンを訪ね、愛息ザカリー君の２年目の再検査の様子や一家の家族のふれあいを紹介する。◆１９８８年５月ザカリー君の脳腫瘍が発覚、治療のために帰国したバースはそのまま阪神タイガースを退団した。“家族”より“仕事”を優先させがちな日本社会で、彼のとった行動はスポーツ界の枠をこえ、日米文化の違いと言う社会問題にまで発展して当時の世論を大いににぎわした。

用心棒“かかし半兵衛”が大名のお家騒動に正義の剣をふるうアクション時代劇。「四匹の用心棒」シリーズ第２弾。原案・脚本：志村正浩。◆時は天保。浪人が溢れ百姓一揆は頻発、世情不安のおりから、日光街道をあてもなく旅していた半兵衛（渡哲也）は裏街道で数人の侍に襲われていた武家娘・志津（名取裕子）を助けた。わけを聞いてもお家の事情としか答えない志津は、どうやら岩上藩のお家騒動に巻きこまれているらしい。岩上藩では幼君をたてて国家老と江戸家老が権力争いをしており、双方腕の立つ浪人を集めていた。半兵衛は口入れ屋のお虎の口利きで、国家老の山際に雇われる。

ソビエト連邦の共産党大会は、混迷する国情を反映して大荒れが予想されている。その焦点である初代大統領ミハイル・ゴルバチョフの人となりを、映像資料やライバルの政治家をはじめ各国要人、郷里の人々の証言をもとに探る。◆１９９０年７月２日開会の共産党大会では党分裂の危機がささやかれ、政策を問われる大統領は政権発足以来の危機に直面している。１９８５年の書記長就任以来の激動のペレストロイカ５年間をドキュメントするとともに、ゴルバチョフの人間像に迫る。